JR西日本は4日、特急「くろしお」の運行開始60周年を記念したラッピング列車の報道公開を実施した。「くろしお」で使用する287系(HC602編成)の先頭車に、1989年から運行していた「スーパーくろしお」をイメージしたラッピングを施した。7月5日から運行開始する。
「くろしお」は国鉄時代の1965(昭和40)年3月1日、天王寺駅から阪和線・紀勢本線など経由して名古屋駅までを結ぶ特別急行として運行開始し、今年で60周年を迎えるという。現在は新大阪駅(一部列車は京都駅)から和歌山・白浜・新宮方面へ向かう特急列車として活躍しており、283系(オーシャンアロー車両)・287系・289系を使用して運転される。
287系の一部編成は「パンダくろしお」(「Smile アドベンチャートレイン」「サステナブル Smile トレイン」)のラッピングで活躍を続ける予定。他に「特急くろしお『ロケットカイロス号』」も運行しており、ラッピングのバラエティ豊かな車両となっている。今回、「くろしお」の運行開始60周年を記念し、新たなラッピング車両が加わることになった。
報道公開にて、JR西日本和歌山支社副支社長の礒川健太郎氏は、ラッピング車両のベースとなった「スーパーくろしお」について、「JR発足後の平成元年(1989年)、381系電車を改造して運転開始しました。最初の頃は白・赤・オレンジのカラーリングでした」と説明。後に283系(オーシャンアロー車両)が登場し、381系も青系の塗装に変更。2012年に287系、2015年に289系が投入され、国鉄時代から活躍した381系が引退して現在に至るが、「平成元年から運転されたスーパーくろしお号のカラーリングは人気があり、60周年を記念して現在の車両にラッピングしました。当時の雰囲気を感じていただければ」とのことだった。
381系の「くろしお」といえば、クリーム色・赤色の国鉄色や、2015年の引退まで使用された青系の塗装も印象深い。ただし、国鉄色は昨年まで特急「やくも」の381系で再現していたことに加え、「くろしお」オリジナルのカラーリングではないということもあり、今回は平成初期に見られた「スーパーくろしお」のオリジナル塗装を再現したという。先頭車(1・6号車)のみのラッピングだが、「スーパーくろしお」のデザインを模した「60th くろしお」のヘッドマークをはじめ、381系の特徴だった逆三角形の特急シンボルマークやタイフォンカバーも再現するなど、当時のイメージに近づけるためのこだわりが感じられた。
「スーパーくろしお」をイメージした特急「くろしお」60周年記念ラッピング列車は、7月5日の日帰りツアー「くろしお60周年記念号で行く 白浜への旅」で団体貸切列車として運行開始。往路は神戸駅から北方貨物線経由で新大阪駅へ向かう特別な経路で運行され、新大阪駅から大阪駅を経て白浜駅へ向かう。復路は白浜駅から天王寺駅まで運行予定。その後は通常の「くろしお」で運用され、2026年2月28日頃まで運行を予定している。