トレジャープロモートが運営する「株の学校ドットコム」は6月11日、氷河期世代の株式投資への取り組みに関する分析結果を発表した。

氷河期世代で株式投資に取り組んでいるのは3割弱

株の学校ドットコム金融教育研究所では、2022年以来、全国の個人投資家などを対象に計40回以上のアンケート調査を実施し、これまでに集めた声はのべ7万人分以上となる。これらの調査結果から、1970~1984年に生まれた「就職氷河期世代」(2025年に41~55歳になる人)のデータを抽出。特に、氷河期よりも上の世代(1969年以前生まれ/56歳以上)と下の世代(1985年以降生まれ/40歳未満)との比較によって、株式投資への取り組みや傾向に違いがあるのかについて分析を行った。

まず、全国1万人を対象にした大規模調査(2024年7月実施)から、株式投資に取り組んでいる人の割合を見てみた。全世代で見た場合、株式投資をやっていると回答したのは28.0%だが、氷河期世代でもそれとほぼ同じ28.2%の人が株式投資に取り組んでいると回答している。それに対して、いわゆる「団塊の世代」を含むシニア層にあたる上の世代では30.5%、「Z世代」を含む下の世代は24.0%となっている。

  • 【氷河期世代】株式投資に取り組んでいる人の割合

氷河期世代の株式資産、5人に1人は1000万円超え

そんな氷河期世代は、株式投資でどれくらいの資産を保有しているのか。同じ1万人を対象としたアンケート調査(2024年7月実施)では、株式投資に取り組んでいると回答した氷河期世代(802人)のうち、63.5%にあたる509人が「500万円未満」と回答した。これは、他の世代と比べて見ても大きな違いはない。

次に多かったのは「1000万円以上~5000万円未満」の16.1%(129人)、そして、「500万円以上~1000万円未満」の14.6%(117人)と続く。一般的に株式投資のひとつの目標とされる「1000万円」の大台を超えている人は21.9%(176人)で、5人に1人は株式投資である程度の資産形成に成功しているようだ。

  • 【氷河期世代】株式投資による資産額

氷河期世代が株式投資の取り組む理由は「老後資金」

新NISAが始まった2024年1月に実施したアンケート調査(計800人対象/複数回答)によれば、株式投資に取り組む理由として全世代で最も多かったのは「生活に使えるお金を増やすため」と「人生100年時代を見すえた老後資金を準備するため」の2つで、30.1%の人がこれらを選んでいる。

これに対して氷河期世代では、「人生100年時代を見すえた老後資金を準備するため」が37.3%と最も多くの回答を集め、「生活に使えるお金を増やすため」の31.3%がそれに続く。

  • 【氷河期世代】株式投資に取り組む理由

全体で3番目だった「趣味や旅行など自分のやりたいことに使うお金を増やすため」は氷河期世代でも3位に入ったが、その割合は、全体が17.5%だったのに対して氷河期世代では11.6%に留まり、上世代の20.7%、下世代の18.8%と比較しても少なさが際立つ。

氷河期世代は他の世代よりも短期の視点が少ない

株式投資で達成したい目標については、特に「新NISAを使っていつまでに資産形成を目指したいのか」という視点で調査している(2024年1月実施・計800人対象)。これによると、氷河期世代は他の世代と比べて「5年後」と回答した人の割合が明らかに少なく、10年以上の期間を答えた割合が合計で73.8%にのぼった。

  • 【氷河期世代】新NISAで目指す目標(期間)

「5年後」という短い期間を回答した人は、氷河期世代より上の世代では5割を超える54.5%にのぼり、下の世代でも42.7%と高い数値を出している(全世代では42.1%)。これらと比較すると、氷河期世代では短期での資産形成を狙っている人は少なく、なかでも「20年後」という回答が31.9%と他の世代よりも多くなっている。

氷河期世代はインデックス投資よりも高配当株

氷河期世代の個人投資家は、具体的にどんな株取引をやっているのだろうか。興味のある株取引について訊ねた調査(2024年2月実施・計800人対象)では、氷河期世代の第1位となったのは「高配当株で配当生活を実現したい」(38.9%)、僅差の2位は「株主優待でお得感を得たい」(38.1%)で、これは全世代と似た傾向だった。

ただ、他の世代と比べると、「高配当株で配当生活を実現したい」を選んだ割合が氷河期世代は高く、反対に「投資信託で運用をお任せしたい」は他の世代よりも低くなっている。

  • 【氷河期世代】興味のある株取引

上の世代と比べて特に差が出たのは「定期預金より増えればよい」で、上世代の38.0%に対して氷河期世代は25.5%で、12.5ポイントの差がある。一方、下の世代との違いが見えるのは「インデックス投資で手間なく増やしたい」で、下世代では30.6%と3割を超えたのに対し、氷河期世代では2割弱の19.4%に留まっている。

氷河期世代が株式投資をやらない理由

老後資金のために比較的長期の資産形成として株式投資に取り組んでいる人が多い氷河期世代だが、その一方で、株をやっていない人にはどんな理由があるのだろうか。

1万人調査で「株式投資に取り組んでいない」と回答した人にその理由を聞いたところ、最も多かった回答は「投資する資金がない」の37.7%だった。これは全世代でも36.2%で、上の世代・下の世代ともに同じくらいの結果になっていることから、氷河期世代だけ突出して「資金がない」というわけではないように見える。

ただ、下の世代は「資金」よりも「知識」のなさを選んだ人が多く、「資金がない」と回答した人の割合も氷河期世代より少なくなっていることは、収入面における世代間格差の表れなのかもしれない。

  • 【氷河期世代】株式投資に取り組まない理由