
ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーパーソンにお話を伺う企画「#お仕事図鑑」。
今回は「株式会社ZOZO」で 広報として企業情報の発信、メディアからの問い合わせ・取材対応、広報イベントの企画・運営など、多岐にわたるPR業務を担当する先輩社会人、土井麻未さんにインタビュー。広報の業務内容や仕事のやりがい、学生時代の経験について詳しくお話を伺いました!
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広報は社会と企業とのつながりをつくる仕事
ーー簡単に自己紹介をお願いします。
株式会社ZOZOのコミュニケーションデザイン本部コーポレート広報ブロックに所属しております、土井麻未と申します。わたしは入社後、当社が運営するファッションEC「ZOZOTOWN」を利用するお客様からのお問い合わせ対応を担当するカスタマーサポート部門に配属されました。その後、社内公募に応募し広報部門に異動しました。現在はコーポレート広報ブロックという部署に所属し、会社や事業の魅力を世の中に伝えるため、主にメディアを通じたコミュニケーションに関する仕事をしています。
ーー現在の仕事内容について教えてください。
広報とは、 企業のメッセージや想い、ミッションを社会に適切かつ魅力的に伝える仕事だと考えています。わたしたちが発信する情報はメディアを通じて、取引先、ユーザー、地域・社会、投資家といったステークホルダーのみなさまに届けられます。そして、その結果、企業やサービスへの期待感の醸成や理解促進を図り、ファンになってもらうことでポジティブな態度変容をもたらすことがゴールです。
当社は多岐にわたる事業を展開しているため、広報部門を「コーポレート広報」と「サービス広報」にわけ、事業や社内で関わる部署ごとに担当者を棲み分けています。
ーー広報の主な業務について詳しく教えてください。
「広報」と聞いても、具体的なイメージがわきにくい方も多いと思いますので、主な業務を6つご説明します。
まず1つ目は、プレスリリースの作成です。プレスリリースとは、メディアに向けて配信する報道資料です。主に新しいサービスや取り組みの発表をする際に、会社のニュースを書いていただくために作成しています。
2つ目は、メディアからの問い合わせ対応です。日々、メディアから電話やメールで頂くお問い合わせへの対応を行っています。
3つ目は、取材対応です。メディアの皆様から取材希望や依頼をいただいた際に、会社としてお受けするかどうかの判断、そしてお受けした場合には、より良い報道をしていただくための社内外調整などを行っています。
4つ目は、メディアプロモートです。自社をメディアに取り上げてもらうためのアプローチ活動で、メディアごとに興味・関心のあるだろう親和性の高い情報を提供します。情報の選定や発信方法、伝え方のプランニング、さらにはお声がけするタイミングまで検討しています。
5つ目は、危機管理広報です。万が一会社がクライシス(危機)に直面した際に備え、その影響を最小限に抑え、企業の信頼やブランドイメージを守るために研修などを行っています 。
最後、6つ目はオウンドメディア運営です。会社のコーポレートサイトや公式SNSなどを運営し、情報発信を行っています。
ーー土井さんが感じる広報職のやりがいについて教えてください。
わたしは、社長や役員の取材対応を担当する機会が多いのですが、広報を介した情報は会社のイメージにも直結する重要な役割を担っています。そのため、取材を通じて社長や社員が語る戦略や今後のビジョンが、世の中に正確に伝わるように準備や社内外との調整を徹底して行っています。その結果、記事として発信され、SNSを含むコメントで読者のみなさまからよい反応をいただけたときに、非常にやりがいを感じます。
また、メディアに取り上げられた放送や記事を見て、「採用に応募しました」という声をいただいたり、自社がメディアでポジティブに紹介されることが社員のモチベーションアップにつながった場面に直面するとやりがいを感じます。
ーーお仕事をなさっている中で、意識していることがあれば教えてください。
企業やサービスが描く未来や想いをしっかり理解し、それを世の中に伝えていくためには、広報を担うわたし自身がZOZOのファンであることが重要だと考えています。
また、会社の取り組みが社会にどのような影響を及ぼすのかを考え抜き、それを伝えたいターゲットに合わせてより魅力的なストーリーとして組み立てていくことも意識しています。
ZOZOは経営戦略に「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」を掲げています。ファッションとテクノロジーの両方に強みを持つ会社だからこそ、ファッションがテクノロジーの力によって世の中にいかに豊かな生活をもたらせるか、という点を伝えることを大切にしています。
ーー広報というお仕事に携わっているからこそ得られたスキルや技術があれば教えてください。
広報は、社外に限らず、社内においてもコミュニケーションの橋渡し役としての役割を担うため、会社の全体像を俯瞰しやすい部門です。会社の理念や経営戦略、IR(投資家向け広報)などに触れる機会も多く、具体的な情報を把握できることから 、会社や事業に対する理解が深まり 、“会社のよき理解者”になれるのも魅力の一つです。
ーー広報のお仕事に就くために学生時代からこれをやっておいた方がいい、というアドバイスがあればぜひお願いします。
広報に限らず、他の部署にも役立つことではありますが、2つあります。
1つ目は、新聞や本をしっかり読むことです。広報は「言葉のプロ」であるべきだと言われることもありますが、プレスリリース作成や取材対応など、どの業務においても、誤字脱字がないか、正しい日本語表現ができているか、簡潔で分かりやすい表現になっているか、という点を常に意識しています。そのため、基本的な日本語能力や語彙力を養うことは非常に重要だと思います。
2つ目は、世の中のトレンドを把握するために、さまざまなメディアに目を通す習慣をつけることです。ファッションやスイーツなど、よくメディアで取り上げられる流行に目を向けるのはもちろん、社会情勢や経済動向といった社会全体のトレンドやリスクにも関心を持って、常にアンテナを張る癖をつけておくとよいと思います。

常に相手軸に寄り添って対応する
ーーZOZOに新卒で入社されたと伺いましたが、就活中はほかにどのような業界や企業を見ていらっしゃったのでしょうか。
わたしは愛知県出身なのですが、地元志向がもともとかなり強く、就職活動中も地元に根付いた企業を中心に見ていました。また、ファッションが好きだったこともあり、アパレル企業なども幅広く見ていました。
ただ、ZOZOだけは、たとえ地元を出ることになったとしても入りたいと思っていて、就職活動中も地元以外の企業としてはZOZOにだけ応募しました。
ーーなぜZOZOの採用に応募しようと思ったのですか?
もともとZOZOTOWNのユーザーだったというのもありますが、たまたま朝の情報番組でZOZOが紹介されているのを見たのが大きなきっかけです。取り上げられていた社員の皆さんが、自然体で、笑顔で楽しそうに働いている様子がとても印象的で、「こんな風に働けたら素敵だな」と感じました。
その後、就職活動の時期にふと思い出し、改めてZOZOについて調べてみたところ、企業理念や会社の考え方が、自分が大切にしている信念や価値観とも合致していたので、「もうここしかない」と思って応募しました。
ーー最終的にZOZOに入ろうと決めた理由を教えてください。
正直なところ、「ZOZOで働きたい」という気持ちが強かったので、決め手というよりも、「一択だった」という感覚です。
選考が進む中で、会社の雰囲気や人のあたたかさに触れるたびに、「やっぱりここだ」と確信が深まっていきました。
また、福利厚生の面でも安心して長く働けそうだなと感じたのも、入社を決めた理由の1つです。
ーー新卒1年目から2年目の間にどのような経験をされたのか教えてください。
入社後に配属されたカスタマーサポート部門での業務では、ZOZOTOWNを利用したお客様からの問い合わせ対応をしていました。単に問い合わせに答えるだけでなく、常に「相手軸」に立って、寄り添った対応を心がけていました。やり取りを重ねる中で、名前を覚えてくださるお客様もいらっしゃって、お友達のような感覚でショッピングやファッションに関する相談をしていただいたこともありました。
ーー1〜2年目をカスタマーサポートで過ごされたあと、現在の部署に社内公募で異動されたと伺いましたが、入社前からずっと広報部門で働きたいと思っていたのでしょうか?
入社前から広報には興味がありましたし、大学では経営学部で消費者行動やマーケティングを学んでいたこともあり、マーケティング部門にも興味がありました。ただ、実際に「広報にチャレンジしてみたい」と思ったのは入社後です。
理由としては、実際に働いてみてZOZOには本当にすてきな人がたくさんいることに気づき、ZOZOで働く人たちのことをもっと世の中に発信していきたい、という気持ちが強くなったからです。それがきっかけで異動を志望しました。
ーー学生時代の経験が今に活きているなと感じることはありますか?
学生時代のマーケティングの授業で学んだ、自社の魅力や価値を「誰に 、何を、どう伝えるか」という視点は、広報戦略を考える上で非常に役立っていると感じています。
ZOZOで働く人たちの思いや背景を伝えたい
ーーZOZOのオフィスの特徴について、簡単に教えていただけますか?
ZOZOのオフィスは、2021年に現在の西千葉に移転しました。「街とオフィスが一体化するようなデザインにしたい」というこだわりを持ってつくられ、本社の執務スペースは大きな窓が特徴の開放的なデザインになっています。これは、社員の様子を外から感じてもらうことで、街とZOZOのつながりを生んでいきたい、という思いが込められています。
また、オフィス内の随所には、主に国内の若手現代アーティストによるアート作品が飾られていますし、執務スペースの本棚にはファッション、アート、デザインを題材にした書籍がたくさん置かれています。これらは、ファッションと親和性の高いアートや本を通して、社員にインスピレーションを与えることを期待して展示しています。
さらに、壁のないオープンな作りになっていることも大きな特徴です。細い木材で織り込まれた屋根や壁など、オフィス全体に「布」のイメージが取り入れられており、ファッションを表現するデザインになっています。かなりこだわったオフィスです。

ーー社内の雰囲気についても教えていただけますか?
まず、人については、ファッション好きの社員が本当に多いなと感じます。それに加えて、仲間やサービスに対して愛情を持っている人がとても多いですね。わたし自身も、仲間が好きですし、尊敬している人ばかりです 。そして、もちろんサービスも大好きです。スタッフ同士でも「いい人が多い」という声をよく聞きますし、人柄のよいメンバーに恵まれていると日々感じています。
また、企業理念に「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という言葉を掲げていますが、「カッコよさ」にすごくこだわっています。たとえば、何かを世に出すかどうか迷った時やデザイン案を考えるときには、「これはカッコいいか?」を判断基準にして真剣に考えながら決められています。
さらに、大きな壁にぶつかった時でも、その状況を前向きに楽しみながら乗り超えようとする人が多いです。そういった意味でも、非常に恵まれた環境で働けていると感じています。
ーー土井さんご自身も、毎日のファッションにこだわりを持っていらっしゃるのでしょうか?
そうですね、現在は週2回出社、週3回リモートワークを組み合わせた勤務形態ですが、出社する日はおしゃれなスタッフが多いので、わたしも好きな服を着てファッションを楽しみながら出社しています。
ファッションはコミュニケーションのよいきっかけにもなっていて、「今日天気いいね」という感覚で、「今日のお洋服いいね」と気軽に声をかけ合ったりしています。
ーー最後に、大学生へのメッセージをお願いいたします。
たくさんの企業がある中で、ぜひ自分の価値観や考え方にマッチする企業と出会えるように、企業が発信している情報や、企業理念、想いに目を向けてみていただきたいなと思います。
また、企業研究や就職活動を通して得た知識や経験は、就職後にも必ず活きてきます。今は大変な時期かもしれませんが、ぜひ楽しみながら頑張っていただきたいなと、心から応援しています。
取材:蒲生 杏奈(ガクラボメンバー)
執筆:田中 妃音(ガクラボメンバー)
編集:学生の窓口編集部
取材協力:ZOZO