女優の武井咲が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に初挑戦した。担当したのは、8日に放送される「わたしの腎臓をあなたに~小錦を愛した妻の覚悟~」。元大関の小錦と、彼に腎臓を提供した妻・千絵さんの物語だ。

実母が反対する中、夫を助けたい一心で手術に臨んだ千絵さんの決断と、小錦が“ハワイマインド”で伝える彼女への思いに、武井は大きな愛を感じたという――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した武井咲

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した武井咲

移植手術後も母に伝えられず…

2024年12月、千絵さんは腎不全に苦しむ夫のために自分の腎臓の一つを生体間移植する手術を行った。小錦が妻の決断と腎臓移植の現実を世に伝えたいと記録した映像には、千絵さんの不安や葛藤、腎臓の提供に反対する母への思いが映し出されていた。

結婚して21年、夫婦の歩みは病気との闘いでもあった。2008年、303kgある体重を減らすため、胃の縮小手術を行い、130kgの減量に成功したものの、余った皮膚が日常生活に支障を来すように。そこで今度は、20kg以上の皮膚を切除した。相撲で勝つために体を大きくしてきたが、引退後は、その体に苦しめられてきたのだ。

さらに、8年ほど前からは腎臓の機能が悪化。それでも仕事に打ち込む夫を、千絵さんはそばで支え続けてきた。しかし、2024年に小錦が腎不全に倒れ緊急入院。千絵さんは、不安を抱えながらも覚悟を決めたという。

そんな中、脳梗塞で倒れた千絵さんの母が、娘の移植手術に反対し始めた。千絵さんは余計な心配を掛けないよう、母には黙って手術に踏み切る。無事に成功したものの、千絵さんは、そのことを母に伝えられずにいた…。

  • 腎臓移植手術前の小錦(左)と妻・千絵さん (C)フジテレビ

千絵さんの“覚悟”に重ねる自身の経験

小錦の大相撲現役時代は記憶にないものの、幼少期に『にほんごであそぼ』(NHK Eテレ)をよく見ていて親しみがあったため、妻からの生体間移植を受けていたのは知っていたという武井。今回、その裏にあった千絵さんの思いを知って、「ただならぬ決断だと思います」と受け止めた。

「私自身、母になったので、反対する千絵さんのお母様の思いも分かるし、いろんな人の気持ちが交わっていくんだなと思いました。旦那さんが弱っていく姿も目の当たりにしているでしょうし、どちらの気持ちをとっても苦しい。正解がないことを決断しなければならない難しさに、グッときてしまうことがありました。

 しかも、今まではお母様に相談して背中を押してもらうことも多かったと思うのに、その一番の味方に内緒で手術するというのは、自分一人で抱えなければいけないということですよね。その苦しさは、ナレーションを読みながら喉の奥がツンと刺されたような感覚がありました」

この決断をした千絵さんの“覚悟”に、自身の経験を重ね合わせる。

「私はとにかく仕事100%の時期に結婚をしたので、そこからセーブすることによってご迷惑をかけた部分もありました。でも結局、責任は自分にくるものなので、“自分で決めたことなら、この先どうなっても大丈夫”と思える瞬間があります」