東武鉄道は30日、長期経営ビジョンにおける目標数値等の変更について取締役会で決議したと発表した。長期経営ビジョンの実現に向けた主要プロジェクトも紹介しており、この中で「新型特急車両の開発」が明記されている。

  • 現在、東武鉄道における最新の特急車両は「スペーシアX」(N100系)。2023年7月に運行開始した

同社は2024年度に策定した長期経営ビジョンにおいて、2033年度に営業利益800億円の達成をめざすとしていた。一方で、2024年度は旺盛なインバウンド需要や人流の回復傾向といった良好な外部要因と、構造改革の効果や単価を重視した価格戦略といった内部要因が噛み合い、過去最高の営業利益を記録。物価・人件費・金利等の上昇、労働力不足の拡大が見込まれるものの、同社グループが成長領域として定めた観光事業・まちづくり等のプロジェクトを本格化させ、順調に進捗させることで、さらなる成長が可能と考えているという。

長期経営ビジョンにおける目標数値・目標時期の変更に関して、「足元の収益力の底堅さと観光需要取り込みの力強さ」「ホテル建設等の観光領域におけるプロジェクト見通し」「押上エリアにおける再開発計画などまちづくり計画の深度化」「東武スカイツリーラインと東京メトロ有楽町線との新たな相互直通運転実施」の4つを理由に挙げている。これらの内容を考慮し、目標時期を変更した上で目標数値を引き上げ、2030年代半ばに営業利益1,000億円以上の達成をめざすこととした。

目標の実現に向けた主要プロジェクトは「観光」「まちづくり」「鉄道」「SAKULaLa」に分けられ、「鉄道」において「東京メトロ有楽町線との新たな相互直通運転」(2030年代半ば頃)に加え、「新型特急車両の開発」「ワンマン運転」「自動運転」が明記されている。新型特急車両は2027~2030年前後にかけて設計・導入を進めるとのこと。ワンマン運転は東武スカイツリーライン(緩行線)・東武アーバンパークラインから全線へ順次拡大するとしている。