連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、主人公・朝田のぶ(今田美桜)の幼馴染で海軍中尉の貴島勝夫を演じた市川知宏。高校時代に芸能界入りし、2010年4月に早稲田大学に入学、俳優として活動しながら7年かけて卒業した。一度は中退を決意するも、事務所の人の言葉をきっかけに卒業を目指すことに。そして2017年に無事卒業し、その経験が自分の自信になっているという。

  • 市川知宏

    市川知宏 撮影:蔦野裕

――早稲田大学に合格し卒業されていますが、もともと勉強が好きなタイプでしたか?

中学受験をしていて、でも小学校のときは自分から進んで勉強するというわけではなく、言われたことをやる受け身なタイプでした。中学はサッカー部でしたが、下手くそだったので中学でやめて、高校は帰宅部になり、帰宅部で勉強もしなかったらよくないと思い勉強をするように。大学は推薦で、小論文と面接があって、小論文対策で塾に行かせてもらいました。

――帰宅部になったときに、ちゃんと自分で勉強するというのがえらいですね。

何もやらないのは良くないなと思って。自分は1個の目標に向けて頑張るタイプなのかなと思います。

――そして7年かけて卒業。芸能界のお仕事と大学生活との両立が難しくなって中退される方もいますが、絶対に卒業するぞという強い思いがあったのでしょうか。

5年ぐらいでやめようと決めて事務所のマネージャーさんに話したら、「たった数年を頑張れなくて、この先の人生何を頑張れるんだ」と言われて。その言葉がすごく響いて、仕事を言い訳にして大学をおろそかにしていたなと。確かに、この数年頑張れなかったら、この先も全部逃げるなと思い、そこで気持ちを入れ替えたら単位を取ることができました。

  • (C)NHK

――仕事とうまく両立させて授業にちゃんと出るように?

出席が必要ない授業を選んだり、レポートを提出する授業を選んだりしました。それまではそういうことも調べず、蓋を開けてみたら出席日数が必要な授業だったということもあって。心を入れ替えてちゃんと取り組みました。

――ちゃんと向き合って大学を卒業できたということは一つ自信になりそうですね。

やればできるんだと、自信という意味ではすごく大きいです。あのまま逃げていたらたぶん自信を喪失したし、自己嫌悪になっていたと思います。今でも1年に1回ぐらい、単位が足りなくて卒業できない夢を見ることがあって、それぐらい自分の中で気になっているものではあったので。夢から覚めた時に「あ、俺卒業してる」と思うときがあって、卒業証書をタンスから出して確認したり。そういうときに卒業してよかったなと思いますし、「卒業しました」と人に言えるというのもだいぶ違うなと思います。

――叱ってくれた会社の方に感謝ですね。

そうなんです。いまだに感謝を伝えていて、「あのとき、あの言葉がなかったら、この先の人生もたぶん逃げていたと思います」と。あのとき逃げなくて本当によかったです。

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■市川知宏
1991年9月6日生まれ、東京都出身。2008年、第21回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」にてグランプリを受賞し、芸能界入り。2009年、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『カイドク~都市伝説の暗号ミステリー~』で俳優デビューし、数々のドラマや映画などに出演。2020年から2021年にかけてテレビ朝日系特撮ドラマ『仮面ライダーセイバー』でユーリ/仮面ライダー最光役を演じた。2025年度前期の連続テレビ小説『あんぱん』で朝ドラ初出演。