福島交通は、飯坂線の旅客運賃の上限変更認可申請を3月10日付で国土交通省東北運輸局に提出したと発表した。認可されれば、初乗り運賃(2kmまで)は現行の150円から180円に値上げとなる。
飯坂線の輸送人員は2016~2019年度にかけて約240万人で推移していたものの、コロナ禍で2021年度は172万人まで減少。その後、回復傾向にあるものの、2023年度の輸送人員は197万人と、コロナ禍前の水準には戻っていないという。こうした状況の中、信号保安設備と踏切安全設備、線路設備の計画的な更新や、岩代清水駅・曽根田駅のバリアフリー化など推進している。
同社は消費税率引上げに伴う改定を除き、1992年11月から運賃改定を実施していなかったが、今後も老朽化設備の更新、動力費・人件費の高騰、沿線の高齢化、労働力人口の減少による輸送人員の減少が見込まれ、現行運賃水準での事業運営が困難との判断に至った。
運賃改定予定日は5月17日。初乗り以外の普通運賃(大人)も、2km超3kmまで現行の180円から210円、3km超4kmまで現行210円から250円など、距離に応じて30円から最大60円値上げされる。通勤定期旅客運賃(大人1カ月)は2kmまでの区間で現行の5,390円から7,020円、通学定期旅客運賃は同区間で現行の3,600円から4,320円に改定する予定。平均改定率は定期外運賃17.006%、通勤定期運賃27.237%、通学定期運賃17.349%となり、全体で20.152%の改定率になるという。改定後の運賃について、国土交通省東北運輸局長の認可を受けた時点で改めて詳細を公表する予定としている。