大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)とパナソニックは、前面開放型にもかかわらず冷暖房した空気を逃さない日本初という駅待合ブースの実証実験を朝潮橋駅で2月7日から開始すると発表した。両社が空調機と送風ファンを組み合わせて開発したものだという。

  • 前面開放型「駅待合ブース」

パナソニックの気流制御技術を活用し、空調した空気を人の周囲から外に逃さないように留めるしくみを採用。内部のダンパーを切り替えることで、夏は冷風を上半身に直接当てて体感温度を下げ、冬は温風を足もとから吹き出して暖かさを感じられるように設計されている。扉や室内の歩行スペースが不要となるため、個室型待合室に比べて奥行を約50%削減でき、ホームの狭い場所でも設置が可能に。1席あたりの消費電力は個室型と同等を維持している。

実証実験では、高架駅(屋外ホーム駅)である朝潮橋駅の2番線ホームに4席分の駅待合ブースを設置し、冬期と夏期の両方で利用者アンケートと各種センサーによるデータ収集を行う。これにより、利用者の体感と実際の温度との関係性を検証。実験期間は9月までを予定している。

  • ホーム幅が狭い場所にも設置できるメリットがある

  • 冷気や暖気を外に逃がさない気流設計が行われている

今回、実証実験を行う背景には、熱中症死亡者数が右肩上がりで増加するなど近年の著しい猛暑傾向により、屋外での暑熱対策が急務となっている現実がある。駅ホームでの暑熱対策としては、従来の個室型待合室が有効である反面、インバウンドによる人流の増加等もあり、スペースに限りがあるホームへの設置が難しいという制約があった。今回開発された前面開放型待合ブースは、これらの課題を解決しつつ、安全性や快適性を確保することをめざしている。