ヒューマングローバルタレントは1月29日、英語力が年収・キャリアに与える影響についての調査結果を発表した。調査は2023年10月~2024年9月、同社が展開する転職・求人情報サイト「Daijob.com」に掲載している企業からスカウトを受けた日本国籍で20代~50代の登録者19,291人のデータから抽出した。
企業からスカウトを受けた人材の英語レベル
Daijob.com登録者で企業からスカウトを受けた人材(日本国籍)は、75%以上が「英語レベルビジネス会話以上」で、男女別にみると女性の割合が58%と多く、年代別では30代の割合が41%と最も多い結果になった。2024年度の調査対象者は2023年度と比べて、全体で3,322人増加し、企業におけるグローバル人材のニーズは高まっている傾向にある。男女別の内訳は、男性が1,402人増加したのに対して、女性は1,920人増加し、女性が大幅に増加する結果になった。
英語力の違いによる年収差
企業からスカウトを受けた人材の平均年収を比較すると、「英語レベルがビジネス以上」の人材は、国税庁が公表した平均年収と比較して、大幅に高い年収になっていることが明らかになった。特に、50代の男女において、英語力が年収に大きな影響を与えていることが特徴的だった。
男性50代では、「英語レベルがビジネス以上」の平均年収が、国税庁の調査結果と比較して、1.4倍(261万円差)高い水準にある。一方、女性50代においては、同条件で1.9倍(301万円差)と、さらに顕著な年収差が見られた。この傾向は、これまでの調査結果とも一致しており、女性における英語力の影響が特に顕著であることを示している。
また、「英語レベルビジネス以上」の人材全体が、「日常会話以下」の人材よりも高い年収を得ているという傾向も確認された。ただし、30代男性では例外的に、「日常会話以下」の人材の方が平均年収が高い結果となった。この年代は一般的に幹部候補やチームリーダーとして活躍している即戦力人材が多く、言語力を問わず人材市場のニーズが高いためと推測できる。
さらに、昨年度の同調査と比較すると、男女ともに英語力による年収格差がやや縮小傾向にあることがわかった。たとえば、男性50代の年収差は昨年度1.5倍から今年度は1.4倍に、女性50代は2.2倍から1.9倍に減少している。この結果は、英語力が依然としてキャリア形成において重要な要素でありながら、その影響が安定してきている可能性を示している。
最終経験職種別の平均年収を英語力別で比較
最終経験職種別に英語力を基準に分けた場合、最も平均年収差が大きかった職種は、「金融/銀行/証券/投資/保険/その他金融関連職種」で1.4倍(208万円差)に達した。この傾向は、昨年度の同調査から最大の年収差として継続している。金融系の企業では、顧客の海外ビジネス拡大に伴って、国際的な業務に対応できるバイリンガル人材の需要が高まっていると思われる。
次に大きな差が開いたのは、「カスタマーサービス」で1.4倍(115万円差)だった。提供サービスのカスタマーサポートなどで、圧倒的にコミュニケーション力が必要になるため、語学力は年収へ大きく影響している。
グローバルに活躍したい人材に求められていること
調査を通じ、年齢が上がるにつれて、英語力がキャリアにおける重要な要素となり、年収に直接的な影響を与えていることが明らかになった。さらに、経済産業省が発表した報告書では、日本のビジネス環境における「弱み」として、先進国との比較で「英語での円滑なコミュニケーション」が最も多くあげられている。
こうした状況を踏まえ、調査では次のようにコメントしている。
「この"弱み"を克服し英語力を身に付けることで、日本のビジネスパーソンはグローバル市場で"強み"として評価される人材へと変化する可能性を秘めています。英語力は単なるスキルの一つに留まらず、収入やキャリアの選択肢を大きく広げる鍵となっています。企業や個人がこの課題にどう取り組むかが、日本全体の競争力を左右する重要なポイントとなりそうです。」