大谷翔平、ついに”最終決戦”へ…WSの主軸打者を徹底比較!カギを握るのは「…

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 ついに実現した大谷翔平選手のワールドシリーズ出場。ロサンゼルス・ドジャースは、アーロン・ジャッジら強力打撃陣を要するニューヨーク・ヤンキースと対戦する。「大谷対ジャッジ」の目線で報道されることの多いこの対戦。今回は、両チームの主力野手に焦点を当て、ポストシーズンの成績や打撃内容を比較して振り返っていく。(文: 島倉孝之)
 

 

43年ぶりの”名門対決”
 1981年以来、43年ぶりにロサンゼルス・ドジャースとニューヨーク・ヤンキースの対戦となった2024年のワールドシリーズ。
 
 東西の伝統チームの対戦であること、大谷翔平選手がドジャースの中心選手として活躍していることもあり、ロサンゼルス、ニューヨークを中心とするアメリカだけでなく日本でも大きな盛り上がりを見せている。
 
 大谷選手とヤンキースのアーロン・ジャッジ選手の本塁打王、両リーグMVP最有力候補の「対決」も話題を呼んでいる。
 
 今回は、大谷選手、ジャッジ選手をはじめとする両チームの主力打者の比較を行っていきたい。対象は両選手のほか、ドジャースのムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン両選手、ヤンキースのホアン・ソト選手、ジャンカルロ・スタントン選手といった、各チーム3人ずつの中心打者に絞って取り上げる。
 
 レギュラーシーズンの主な成績は以下のようになった。
 

 
 打率、OPS、本塁打、打点とも最も好成績を残しているのがジャッジ選手で、大谷選手がこれに続いている。盗塁は大谷選手の数が抜けて大きくなっている。
 
 この2人に続き10割近くのOPSや100を超える打点を記録したのがソト選手である。WPAもこの3人の数値が抜けて大きい。ベッツ、スタントン両選手は故障欠場の影響がみられる。
 
 ドジャースとヤンキースは、レギュラーシーズン中は3試合対戦している。各選手の成績は以下のようになった。
 

 
 ジャッジ選手だけが好成績を残している。大谷選手は1割台の打率、5割を切るOPSに終わった。スタントン選手は出塁すら全くできず、ソト選手は手首の故障の影響で欠場した。






ワールドシリーズまではチームメイトが躍動
 以降は、ワールドシリーズまでのポストシーズンの成績を取り上げる。まずは地区シリーズだ。
 

 
 OPS11割超、4打点のスタントン選手の活躍が目立っている。大谷選手もOPSは6割台と低位ながら4打点を挙げ勝利に対する貢献はできている。一方、ジャッジ選手は打点を挙げられないままシリーズを終えている。
 
 リーグ優勝決定シリーズの成績は次のようになった。
 

 
 ソト、スタントン両選手のOPSや勝利への貢献度を示すWPAの高さが目立つ。シリーズ第5戦で決勝本塁打を打ったソト選手はア・リーグ優勝決定シリーズのMVPのスタントン選手を上回る打率やOPSを残した。
 
 ジャッジ選手は、OPSは8割に達しなかったとはいえ、6打点を挙げ一定の貢献をしている。ドジャースでは、大谷、ベッツ両選手がともに3割台半ばの打率や12割近くのOPSを残したが、フリーマン選手は故障の影響もあってか地区シリーズに続き数字が伸び悩んだ。
 

 
 次に、打球内容の比較を行う。米分析サイト『Baseball Savant』のデータに基づけば以下のようになった。
 

 
 ヤンキースの3選手の打球速度の高さやバレル(一定の打球角度と速度を満たす打球)の割合の高さが目立つ。上記3選手とも時速150キロ台(94~96マイル台)の打球速度を誇り、打席数に対するバレルの割合は、ジャッジは約15%、他の2選手は12%台を記録している。
 
 そうした中、大谷選手はこの3選手に引けを取らない数字を残し、スタントンに次ぐ最大打球速度、ジャッジに次ぐ平均打球速度を記録している。
 
 バレルの割合は、対BBE(バットに当たってインプレーになった打球)、対打席数のいずれも、大谷選手とヤンキースの3選手でMLBの1~4位を独占している。







両チームのスイング比較
 
 最後に、スイング指標に基づくスイングの内容を比較したい。レギュラーシーズン、地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズの順に図を並べた。
 
 なお、スクエア・アップ率とは、バットスピードと球速からの理論上の最大打球速度の80%超の打球(スクエア・アップ・スイング)を打てた割合で、平たくいえばジャストミートの割合ともいえる。
 

 

 

 
 レギュラーシーズンからは、バットスピードの高いジャッジ、スタントン、スクエア・アップ率の高いベッツ、フリーマン、バランスの取れた大谷、ソトという構図が成り立つ。
 
 ポストシーズンに入ると、大谷選手のスクエア・アップ率が落ち込み、特に地区シリーズで10%を切る水準にとどまった。ベッツ選手もポストシーズンでこの数値が低下している。
 
 一方、フリーマン、スタントン選手は地区シリーズでこの高い数値を上げた。こうした中注目されるのがソト選手である。ポストシーズンに入りレギュラーシーズンに比べ高い数値を記録し、特に地区シリーズでは、大谷選手を上回るバットスピードや40%台のスクエア・アップ率を記録した。
 
 以上のドジャース、ヤンキースの主力打者の成績や打球、スイング内容の比較からは、ヤンキースのジャッジ、ソト両選手に並ぶ高いポテンシャルを大谷選手が有していることがいえる。
 
 その大谷選手は、地区シリーズでこそ相手投手の好投に遭って数字を落としたが、ポストシーズンでもチームへの貢献は続けてきた。
 

 
“二大スター”は片や不振、片やアクシデント…?
 そして始まったこのワールドシリーズでは、地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズと不調だったフリーマン選手が2戦終了時点ですでに2本塁打を記録している。
 
 一方、ポストシーズンでの不調が続くジャッジ選手にはニューヨークのメディアやSNSから辛辣なバッシングが浴びせられている。
 
 そして、第2戦終了時でまだ1安打にとどまる大谷選手は、第2戦の7回の盗塁死の際左肩を亜脱臼した。第2戦終了時点ではシリーズの2人の「主役」が厳しい状況に追い込まれている。今後の大谷選手は?ジャッジ選手の巻き返しはあるのか?
 
 次回は、この「答え」として、ワールドシリーズを振り返りたい。

 


 
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【了】