『ゴッドタン』(テレビ東京)などの人気テレビ番組を手掛け、2021年3月にテレビ東京を退社しフリーに転身してから、配信番組やYouTubeチャンネルなど活躍の幅を広げている佐久間宣行氏。Netflixの人気トークサバイバル番組『トークサバイバー!~トークが面白いと生き残れるドラマ~』シリーズも生み出し、第3弾となる最終章『トークサバイバー!ラスト・オブ・ラフ』が9月3日より配信されている。佐久間氏にインタビューし、フリー転身後の変化や、Netflix作品の制作において感じた強み、今後のキャリアなどについてについて話を聞いた。
――フリーに転身した理由について、現場から離れる仕事も増えてきて、まだまだ現場にいたいという思いがあったとのことですが、やはりそこが一番大きかったのでしょうか。
そこが大きな一個ではあります。部長を打診されたというか、部長になりそうな時期があって、そうなると勤務管理をやらないといけないですし、やるべきだし、そうなってから辞めたら迷惑がかかると思ったので、バリバリの管理職の仕事が増える前に辞めようと。
――その後、テレビ東京以外で番組を作られたり、配信番組やYouTubeチャンネルを手掛けられたり、自身も番組やCMに出演されたり、お仕事の幅が広がっていますが、このご活躍は想像されていましたか?
想像してなかったです。いろんな仕事を受けていたら変な場所にたどり着いたという感じです(笑)
――現場でガッツリ作品を作られている日々だと思いますが、その喜びを改めて感じられていますでしょうか。
それはすごく感じています。これが面倒くさくなったら職種を変える時期なんだろうなと。今のところそうなることはなさそうですけど。昨日も普通にカンペを出していましたし(笑)
――テレビ以外の番組も手掛けられている今、テレビの力はどのように感じていますか?
テレビコンテンツの力はまだ全然あると思います。テレビでしかできないものもあり、何年も毎週ずっと放送することでしか作れない文化があるので、それは大事にしていきたいです。ただ、不便なんじゃないかなと思う部分もありますね。
――不便に感じる部分とは?
ストックされず、コンテンツ過多の時代に1回見逃してしまうとなかなかたどり着けないというのは、あまりよくないなと思っています。見逃しも1週間で終わってしまうので機会損失しているなと。あと、テレビのコンテンツを測る指標がもっと多角的にあったら評価される番組も変わってくるだろうなと思います。今はやっぱり視聴率なので。
飽きずに続きが見たくなるバラエティを目指した『トークサバイバー!』
――最近は配信系の番組も増え、特にNetflixの存在感がますます高まっているように感じます。佐久間さんはNetflixで『トークサバイバー!』と『LIGHTHOUSE~悩める2人、6ヶ月の対話~』を手掛けられましたが、Netflxの凄み・強さをどのように感じていますか?
Netflixはコンテンツファーストですね。まずクリエイターとコンテンツを大事にしてくれるから、こういった演出がしたいということの相談が早いし、しやすい。あと、判断が早くて新鮮なうちに出せるので、勝負がしやすく、そこはすごいと思います。
――『トークサバイバー!』最終章も、日本のNetflix週間TOP10(シリーズ)で1位を獲得するなど注目を集めていますが、同シリーズの制作でこだわったことを教えてください。
いくつかの目標があり、1個は、飽きずにどんどん続きが見たくなるバラエティを作りたいということ。もう1個は、芸人さんが追い込まれた時に見たことないものを出す瞬間が好きで、話を追うごとにエピソードがなくなってくるから追い込まれて過酷になるんですけど、そこで見たことない笑いが生まれてくるというものにもチャレンジしたいということ。今芸人さんたちは仕事がお笑いだけでなく、笑いの勝負が大喜利のイベントぐらいしかないので、そういう人たちをヒリヒリする現場に連れていきたいという思いもあり、視聴者の皆さんにも、この芸人ってやっぱこんなに面白かったんだと再発見してもらえるような番組を作りたいというのがありました。
――続きが見たくなるバラエティにするためにどんなことを意識されたのでしょうか。
僕も配信番組をたくさん見る視聴者なので、自分が配信番組を見ていて、ここの部分で見なくなるというところがなんとなくあって、その部分を乗り越えられるようなものを用意しようと思って作りました。具体的に言うと、『トークサバイバー!』で1話から3話まででキャストが入れ替わるのは、3話から4話に行くぐらいで1回飽きちゃうなと思ったので、1話から3話で1回残る人を決めて、4話から6話、7話でまた違うキャストが入ってくるとか、そういった構成は自分の視聴者体験から決めていきました。
――各話によって企画も違いますよね。
それも飽きないようにと考えて。それと、芸人さんの多面体のいろんな良さを出したいという気持ちでそうしました。