「どこのどいつだ~い? あたしだよっ! にしおか~すみこだよっ」。2007年に『エンタの神様』(日本テレビ)への出演をきっかけに女王様キャラでブレイクしたお笑い芸人・にしおかすみこ。最近では認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父との同居生活を描いた「FRaUweb」での連載「ポンコツ一家」が注目を集め、同連載を加筆修正し、書き下ろしも加えた『ポンコツ一家2年目』が9月20日に発売された。「一発屋ということで思い出して『ポンコツ一家』を読んでくださるというのもあるので、すごくありがたい経験をしたなと思っています」と感謝しているにしおかに、ブレイク当時の心境や女王様キャラが生まれた経緯を聞いた。

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    にしおかすみこ 撮影:蔦野裕

女王様キャラはレイザーラモンHGにヒントを得て誕生

――かなり遡った話になりますが、女王様キャラはどうやって誕生したのでしょうか。

『エンタの神様』に出たかったので、何かキャラクターを作った方がいいと思ってたくさん考えた中の1個なんですけど、当時レイザーラモンHGさんが毎日テレビに出ていらっしゃって、この女性版がいいんじゃないかと思い、衣装を先に買って、キャラクターを作っていきました。

――レイザーラモンHGさんにヒントをもらってSMネタが生まれたんですね。

そうですね。とりあえずやってみて、『エンタの神様』のスタッフさんとか、皆さんのおかげで世に出られたという感じです。

――黒髪のロングヘアが印象的でした。

女王様キャラでバラエティに出演していた頃のにしおかすみこ

なんとなく髪はパッツンでストレートの方がインパクトがある気がして、ウィッグを買ってつけました。

――女王様キャラを演じたことで強くなったなど、キャラから影響を受けたことはありますか?

自分で作ったキャラですが、「ブタ野郎!」とか日常では言わないですし、ムチを持ってお仕置きなんてそれまでしたことがなかったので、心が折れることの方が多かったです(笑)。やり慣れてないから。とはいえ自分で決めたことだし、躊躇していたら仕事にならないので、ずっと迷いながら、迷走しながら言っていました。

――心を鬼にして?

『エンタの神様』は女王様キャラで漫談をするという内容で、漫談は昔からやっていたので好きなことができている感じでしたが、トーク番組やロケなどに出るようになってからがきつかったです。大御所の方に難癖つけて「ブタ野郎!」と言ったり、お仕置きするので、ビビりますよね。

――精神的に鍛えられそうですね。

鍛えられるというより、心が折れっぱなしだった気がします。大概のチャンスも失敗していたので。

――いい思い出というより、大変だったという思い出に?

普通では経験できないようなことをさせていただいたので、それはすごく今でも宝物になっていますが、実力不足で失敗が多かったなという思いはありますね。

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執筆業に強い思い 女王様キャラも「需要があれば…」

――今後、お笑い芸人として挑戦してみたいことなどはありますか?

女王様の需要もないので、私がどうするということでもない気はしますが、もしまた女王様の需要があれば……とは思っています。

――当時の衣装やウィッグはまだお持ちですか?

実家にあります。

――近年は、ずっと同じネタをやり続けてきた一発屋の方々が再ブレイクするというケースも。

聞きますよね。でも、今は書くお仕事が広がってきているので、そちらに集中したいという気持ちが強いです。

――最後にファンの方へメッセージをお願いします。

『ポンコツ一家2年目』もたくさんの方に笑っていただければなと思って書いた自信作なので、手に取って読んでいただけたらうれしいです。

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■にしおかすみこ
1974年11月18日生まれ、千葉県出身。1994年にデビューし、2007年に『エンタの神様』(日本テレビ)で女王様キャラのSMネタを披露しブレイク。2009年には春風亭小朝に弟子入りし、落語家デビュー。高座名は「春風こえむ」。現在は『なないろ日和!』(テレビ東京)などでリポーターとしても活躍中。2021年より「FRaUweb」にて「ポンコツ一家」を連載中。2023年1月に『ポンコツ一家』を刊行した。