ジープ初の電気自動車(EV)「アベンジャー」が日本で発売となった。価格は580万円、フル充電での走行可能距離は486km(WLTCモード)だ。すでに欧州では発売済みで、これまでに累計10万台を受注しているという人気車だが、問題はジープらしいクルマかどうか。実物を見てきた。

  • ジープ「アベンジャー」

    ジープのEV「アベンジャー」に「らしさ」はある?

悪路も走れる電気自動車?

アベンジャーは80年を超えるジープの歴史で初となるEVだ。ボディサイズは全長4,105mm、全幅1,775mm、全高1,595mmとコンパクトで、ジープで最も小さいクルマだった「レネゲード」と比べても全長が15cmも短い。フィアット「600e」やボルボ「EX30」などと同じく、いわゆる「Bセグメント」に属する小型SUVタイプのEVだ。

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    小さなボディサイズで「特に女性にアピールできるのでは」とステランティスジャパン担当者は話していた

搭載するバッテリーの総電力量は54.06kWh。動力性能は最高出力156PS、最大トルク270Nmとなっている。

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  • フロントにはジープを象徴する「7スロットグリル」を配置。サイドではフェンダーの盛り上がりが印象的だ

ジープといえば荒野を駆け抜ける悪路走破性が特徴の自動車ブランドだ。なんとなく、EVとは食い合わせが悪そうにも思える。はたして、EVでジープの個性は発揮できるのだろうか。

アベンジャー発表会に登壇したステランティスジャパン代表取締役社長の打越晋さんは、EVについては「静粛性」や「加速」が優れている一方で、「クルマの個性」が出しにくいのではないかという懸念の声があることは認めつつも、「アベンジャーは違う」と言い切った。その根拠となるのが、オフロード走行も可能にする6つのドライブモードを備える「Selec-Terrain」の存在だ。こうした走行能力を備えるアベンジャーは「これまでのEVとは別のカテゴリーと言っても過言ではない」クルマだと打越さんは主張する。

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    「Selec-Terrain」ではノーマル/エコ/スポーツ/スノー/マッド/サンドの6種類からドライブモードを選択可能。「アベンジャー」は急な下り坂でもゆっくり降りていける「ヒルディセントコントロール」という機能も搭載している

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    発表会にはステランティスグループでジープブランドのグローバルプロダクトプランニングを担当するマット・ナイクイストさんがオンラインで登壇。「アベンジャー」は最低地上高、アプローチアングル、デパーチャーアングルなど、オフロード走行で重要となる車両の要件を満たしたクルマだとアピールした

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  • インテリアは「Design to function」(機能性を考慮したデザイン)を意識。車内には多くの収納スペースを備えており、容量は合計で26Lに達する。ピンポン玉なら580個が収納可能とのことだ。センターコンソールには(モノにもよるとは思うが)リュックがすっぽり入るという

EVは逆風だと言われる昨今だが、日本のEV市場では輸入車の普及がじわじわと進んでいると打越さん。2023年には輸入EVの販売台数が2.2万台を突破し、国産EVを逆転したそうだ。とはいえ、今のところ国産EVは選択肢が少なすぎるので、これは当然の結果かもしれない。

輸入EVの販売増を牽引しているのはSUVタイプのクルマであるとのこと。アベンジャーは拡大する輸入EV市場の「起爆剤」になるクルマだと打越社長は話していた。