平成29年1月1日以降、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として、雇用保険の適用の対象となりました。雇用保険に加入することで、わずかな保険料で条件を満たせば高年齢求職者給付金、育児休業給付金、介護休業給付金、教育訓練給付金、4つの給付金を受給できます。

◆わずかな保険料で保障される、雇用保険

高年齢被保険者とは、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがある65歳以上の労働者のことをいい、平成29年1月1日以降、雇用保険の適用の対象となっています。

「人生100年時代」だからこそ、高齢者の活躍の環境が整えられたともいえますが、「老後2000万円問題」を解消するためには、働き続けなければならないといった、必要に迫られた結果にしかすぎないともいえます。

それはさておき、雇用保険に加入することには、わずかな保険料で、要件を満たせば、高年齢求職者給付金、育児休業給付金、介護休業給付金、教育訓練給付金の支給対象になるといった、メリットがあります。

令和5年度の雇用保険料の労働者負担分は、6/1000ないしは7/1000であるため、給与が20万円の場合、1200円や1400円といった保険料で、4つの給付金を受けることが可能となるのです。

そこで、この4つの給付金の内容について、確認していきましょう。

◆高年齢求職者給付金について

まず、高年齢求職者給付金を受けるためには、(1)失業の状態にあることと、(2)離職の日以前1年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が「6カ月以上」あることが、要件となります。

65歳未満の失業等給付(基本手当)を受給するためには、離職前の2年間に被保険者期間が「12カ月以上」(倒産・解雇等の理由により離職した場合は離職前の1年間に被保険者期間が「6カ月以上」)必要になることと比較すると、要件が緩和されているといえます。

さらに、失業等給付(基本手当)とは異なり、高年齢求職者給付金の場合には、「年金と併給できる」ことが、最大のメリットといえます。

なお、支給を受けられる金額は、原則として、離職する直前6カ月間の賃金の総額を180で割った額(「賃金日額」といいます)の50~80%の額となり、被保険者として雇用された期間に応じ、賃金日額の給付日数分が支給されます。被保険者であった期間が1年未満の場合は30日分、1年以上の場合は50日分となります。

◆そのほかの給付金について

さすがに「人生100年時代」といえども、高齢者にとって、育児休業給付金は無縁とも思えますが、育児休業給付金の対象となる範囲については、養子縁組里親、養育里親等も対象となっていることから、活用できるケースも考えられます。

同様に、介護休業給付金の対象家族も、以前は、祖父母、兄弟姉妹、孫は「同居かつ扶養」の場合のみ、対象とされていましたが、「同居かつ扶養」の要件を廃止することで、拡大されています。

「日々精進」という観点から、キャリアアップをするために教育訓練給付金を受けてもよいでしょう(ただし年齢制限があるものもあり)。

◆複数就業者等に関するセーフティネットの整備等

もっとも、以上の各種給付金のメリットを享受しようにも、週1、週2の働き方が基本となる65歳以上の方にとっては、1つの職場で「1週間20時間以上働く」という要件を満たすのは、難しいといった側面がありました。つまり複数の職場をかけもちして1週間の合計で20時間以上働くという人は、雇用保険に入れなかったわけです。

この課題を解消するために、複数の事業主に雇用されている人も雇用保険に入れるようになり、令和4年4月以降は、「1週間の所定労働時間が20時間以上」の要件が、複数事業主に雇用される65歳以上の労働者(複数就業者)にも緩和されています。

つまり、2つ以上の雇用保険適用事業所で雇用される65歳以上の労働者で、1つの事業所において、要件を満たすことができない場合でも、2つ以上の事業所の合算で「1週間の所定労働時間が20時間以上」となれば、雇用保険の被保険者となるのです。

したがって、さらに多くの65歳以上の労働者が、各種給付金のメリットを享受できるようになったといえます。

ただし、複数就業者からの申し出がなければ、雇用保険が適用されないことには注意が必要です。自動的に、対象者全員が、雇用保険加入対象になるといった制度ではないことを知っておかなければならないでしょう。

文=All About 編集部