JR東日本は18日、渋谷駅の山手線(内回り・外回り)線路切換工事を報道関係者らに公開した。11月17日の終電後から11月20日の初電まで、約52時間にわたり、山手線の線路・ホームを高くする線路切換工事が行われている。
渋谷駅では2018年5月以降、これまで4回に分けて列車の運休を伴う線路切換工事を実施してきた。第5回目となる今回の工事で、運休を伴う工事は最後となる。11月18日は山手線外回りの大崎~渋谷~池袋間、11月19日は山手線内回りの池袋~渋谷~大崎間を運休とし、それぞれ日替わりで工事を行う。山手線内回り・外回りのホームに仕切りが設けられていた。
今回の工事で最も重要なポイントは作業規模の大きさ。JR社員や他社の作業員を合わせてのべ約4,600人がこの工事に関わっている。保守用車はバラスト運搬・散布用のミニホキが登場する。重機類は軌陸車17台で、ダンプやユニック(搭載型トラッククレーン)、4頭TT(タイタンパー)、架線作業車となっている。人手や重機類を集めることにより、短時間でも大がかりな工事が可能になる。
山手線の線路の位置を引き上げる「扛上(こうじょう)」も大規模なものとなった。工事の着手から今回の線路切換工事までに最大30cm扛上しており、今回の線路切換工事で最大22cm、切換後に最大41cmとなっている。これにより、山手線の線路下に高さ2.6m以上の東西自由通路を整備できるようになる。なお、埼京線の現ホームはすでに1.3m持ち上がっているとのことだった。
今回の線路切換工事で、ホームが新宿方へ約26m延長され、停車位置が変更となる。一方、ホームの恵比寿方は約25mを通路にする。こうすることで、ハチ公口改札につながる昇降設備や、国道南口改札につながる昇降設備を整備できるようになる。
線路の扛上を行う箇所では、工事桁で扛上しているところもあれば、バラストを突き固めて扛上するところもあった。バラストの箇所で扛上する作業は、まずミニホキがやって来て、線路の両側に大量のバラストを落としていく。続いて作業員が線路・マクラギの上にバラストをスコップで積んでいき、その後、4頭TTが突き固め、バラストを敷き詰める。大量のバラスト投入と扛上作業を繰り返すことで、線路をより高い位置に設けられるようになる。山手線ホーム恵比寿方の端部はバラストを落とす作業が中心だった。
旧外回りホームでは、4頭TTによる作業を見ることができた。こちらの4頭TTは猛スピードで勢いよく突き固めており、作業の速さを感じさせた。
すでに構築された山手線ホームも見ることができた。線路切換工事の後、構造物をしっかりとさせて、ホームドアを設置するとのことだった。旧外回りホームに渋谷駅改良工事の成功を祈るメッセージも記されており、工事の様子を見守っていた。