村上春樹「以来、一貫してMacユーザーです」作家として活動して40数年…愛用する“執筆ツール”の変遷を語る
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。9月24日(日)の放送は「村上RADIO~村上の世間話3~」をオンエア。
村上さんが作家生活で日々感じている話から、旅先でのエピソード、回転寿司にまつわる話から小学生時代の思い出話などを披露。村上DJがセレクトしたお気に入りの音楽も、村上さんの解説とともにお届けしました。
この記事では、「世間話2」と2曲目、「収録中のつぶやき」を紹介します。



<世間話2>
僕は作家として活動を始めてからもう40数年になるんですが、最初は400字詰め原稿用紙に万年筆を使って、こつこつと小説を書いていました。それが『ノルウェイの森』まで続きました。まあ『ノルウェイの森』は外国を移動しながら執筆していたので、だいたいがボールペンでノートブックに書いていたんですが。それから『ダンス・ダンス・ダンス』で富士通のワープロを使い始めまして、『ねじまき鳥クロニクル』からはMacに変わりました。以来、一貫してMacユーザーです。

しかし、一人の作家人生の間で、そんなふうにどんどん技術革新が進んでいって、いちいち適応していくのはけっこう大変でした。フロッピーディスクに入れたものなんて、今では再生できませんものね。正直なところ、もうこの辺で進歩をとめてくれていいよ、とか思っちゃいます。谷崎(潤一郎)にせよ、川端(康成)にせよ、最初から最後まで心静かに万年筆で原稿を書いていますよね。充電だとか、USBに保存だとか、そんなことに気を遣う必要もなかった。うらやましいっていえば、うらやましいかもね。
しかし、じゃあ、今からもう一回、万年筆と原稿用紙の世界に戻れるか? いや、もう戻れません。

◆Articolo 31「Come Una Pietra Scalciata = Like A Rolling Stone」
イタリアのバンドを聴いてください。 Articolo 31が歌います。Like a Rolling Stone、イタリア語だと“Come Una Pietra Scalciata”と言います。

<収録中のつぶやき>
……(イタリア語の題名)言えた(笑)。イタリア語のラップというのもなんかよくわからないよね。それから、この女性コーラスがいいんだよね。



番組で他にも、最近の旅の話、小学生の頃の思い出、東京・千駄ヶ谷に住んでいた頃のエピソードなどを披露しました。

<番組概要>
番組名:村上RADIO ~村上の世間話3~
放送日時:9月24日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/