ミームトーキョーが語るDIY精神、世界の中心で「己」を叫ぶために

でんぱ組.incの妹分ユニットとして2021年8月にメジャーデビュー。MEW、RITO、SOLI、SAE、MITSUKI、NENEによる6人組ユニット、ミームトーキョー。MEWはバンドの「ヒルネ逃避行」でも活動し、RITOは天沢璃人としてでんぱ組.incのメンバーを兼任、韓国在住のSOLIは日本に来られない時はリモートでグループに参加、NENEはソロで作曲をし、MITSUKIはダンサーとしてだけでなく個展を開催するなど、各自が自由なスタンスで活動に臨んでいる。最新EP『MEMETIC INFECTION』ではオタクカルチャーのカオス感というか、濃さや自由さを凝縮し、音楽というフィルターを通して鮮やかに表現。グループ曲3曲+メンバーソロ or ユニット曲4曲。それぞれの曲に込めた想いを聞いた。

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—2021年、コロナ禍に現メンバーとなってメジャーデビュー。韓国在住のSOLIさんも日本に来られず、リモートでレコーディング等に参加するものの、しばらくライブはできない状況が続きましたが、今年に入り、ようやく6人揃ってのライブが実現しましたよね。

SAE:ミームトーキョーになってから声出しできないままライブをやってて、私もコロナ禍に加入したんですけど、マスクを外したお客さんの顔を見たことがない状態で。でも最近になって声出しもできるようになって、一緒に声を出せるとライブの盛り上がり方も全然違うし、MCに反応が返ってくるのも純粋にうれしいなと思いながらライブをできてます。

—お客さんとのコール&レスポンスも含めて、”アイドルの現場感”が戻ってきた感覚はありますか?

RITO:どうなんだろう。私たちって最初からめちゃくちゃコールがあったわけでもないんですよ。楽曲にコールを入れる隙間がないし、振り付けも、見せる感じの振りというか。そういうこともあって、コロナ禍明けからのコールが聞こえてくる現状が新鮮だったりします。アイドル業界では当たり前が帰ってきたって言うんですけど、私たちからすると新しい世界という感じです。

SAE:コールがなかったときは、ステージと客席の間に境界線があった気がして。”私達”と”見てくれてるお客さん”みたいな感じがちょっとあったんですけど、声が返ってくると一つの空間だなって感じます。

SOLI:私は日本に来られるようになったのが最近だから、声が出せないライブがどんな感じだったのか分からなくて。だから今は素直に楽しいなって思ってます。

NENE:元に戻るっていうより、作ってる感があるよね。ミームを応援してくれる人で、どこで声を出せばいいか今もわかってない人もいっぱいいると思うんですけど、それを今頑張って皆で作ってるよね。

RITO:でも俺らも正直ちょっとわからないんですよ。この曲にどんなコールが入るんだろうとか、謎めいてるところがたくさんあって。それをファンの人たちと一緒に探してるところがあるかも。

SOLI:コールをしてくれたらうれしいけど、私たちがライブするようになったのがコロナの時期だから、オタクさんたちもどうやってコールを入れたらわからないかもしれないよね。

MITSUKI:でもミームの曲って、他の王道アイドルさんみたいに、ガチ恋口上を入れるのはちょっと似合わないっていうか。コールとかがあんまり入らなさそうな曲たちがいっぱいあるなかで、「アニモア」みたいなハイパーポップな、ミームにしかない形に昔からあるアイドル文化のコールが入って新しいジャンルができてる。自分たちもオタクたちも一緒になって、みんなで試行錯誤しながら現場を作ってる雰囲気があって、あったかくて、熱くて、めっちゃカッコいいって思います。

ー今回のEPではグループの新曲が3曲と、ソロ及びユニット曲が4曲入っていますが、コロナの「その次」も見据えた、ミームトーキョーとしての新たな道しるべになる作品なのかなと思いました。まずはグループ曲の「SNSKILLER」について、この曲はどういった経緯で生まれたものですか?

MITSUKI:元々私がアイドルになる前から、作詞をしてくれた”だてぃが”ちゃんとSNSで繋がってて、お友達みたいな感じだったんです。TikTokで見つけて、だてぃがの曲で私もダンスをしてて。で、ミームに歌詞を提供してもらう前に、だてぃがちゃんのワンマンライブで私がバックダンサーとして踊ったこともあって。それから仕事で関わる機会が増えて、こうやってミームとだてぃがで一緒にできる機会が舞い込んできました。曲もけっこう強気で、女の子の強さが表現されてるというか。

SOLI:ミームの曲はだいたい強めなんですけど、今までの曲が”ブッつぶしたい”って感じだったら、「SNSKILLER」はちょっとカジュアル。ピョンピョンってゲームみたいな攻撃をする感じ。そういうところが好きですね。

—歌詞の言語感覚が独特ですよね。

NENE:自分たちのことをすごくよく見て歌詞を書いてくれたんだなって思えて、愛があってうれしいなと思いました。

SOLI:実際に私たちや私たちのファンのSNSとかをめっちゃ見て研究して書いてくれたらしいですよ。

NENE:ミームのオタクをめちゃめちゃ研究した結果”ハイボールより! (up)アイドルかな! (down)”っていう歌詞ができるのは、めちゃくちゃ面白い(笑)。

RITO:みんなお酒飲んでるのをめちゃくちゃ上げてるツイートを見られてるんだろうなって。そこも「SNSKILLER」だなと思って、カッコいいよね。

MEW:2番のサビが”バズの神様鏡よ鏡”なんですけど、振り付けの先生がずっと「バス」だと思ってて、振り付けがバスなんですよ。最終的には気づいたんですけど、そのときの振りがそのまま使われてる。

NENE:でも自分もずっと「バス」だと思ってた。

RITO:そうそう、NENEちゃんもずっと「バスの神様」って言ってた(笑)。

MEW:最初、バスの振り付けって言われたときに、「あれ? バス?」と思ったんだよ。マリカー的なゲームのことかなって思ってたけど、バズだった。

RITO:これめっちゃ笑った。

NENE:先生めっちゃ驚いてたもんね。

MITSUKI:お客さんも気づいてるのかな?

MEW:そこに注目してもらえたら面白いと思います。

SOLI:歌詞で好きなポイントが、サビの「buk✝」が十字架になってたり、「セーブポイント☆」に星がついてたり、「馬鹿なウケを狙ってIKill」が英語になってたりするところです。

—サウンドに関してはどうですか?

NENE:サウンドめっちゃカッコいいよね。途中の、妖怪みたいなところが好き。

MITSUKI:自分のパートになるんですけど、”頭使いすぎて溶けそうだ脳みそ”ってラップが、音源だとケロケロしたエフェクトがかかってて。ライブで聴くときと音源で聴くときの二通り楽しめるから、違いがあって面白いです。

—6人それぞれの色が出てて、キャッチーな曲ですよね。

RITO:メイクさんも覚えてくれて、たまに口ずさんでくれるから、頭に残るいいメロディなんだなって思います。

グループ曲を通して示した新しいビジョン

—同じくグループ曲「GAV RICH」も中毒性があります。

NENE:めちゃくちゃありますよね。

RITO:「GAV RICH」はスタッフの方によると、ミームトーキョーのシャンパンコールみたいなイメージがあるらしいんですよ。

一同:(笑)。

NENE:そうなんだ!

RITO:サビも、落ちついたトーンというよりは、「行っちゃってー!」みたいなノリが伺えて、やっててめちゃくちゃ楽しいです。「SNSKILLER」と「GAV RICH」は、どっちもブチ上げ系の曲ですね。

SOLI:「GAV RICH」って比較的短い曲なんですけど、それが私的にはもったいないなって気持ちにもなるんです。それと同時に儚さを感じて好きです。

NENE:最初に曲をいただいたときから、なぜここをこの人に歌ってほしいのかが明確に記載されてあって、理解しやすかった。すごく考えて歌詞を当ててくれたんだろうなって思いました。

SOLI:曲についての説明もしてくれて、歌い方の例を他の曲でももらったんだよね。一人一人の声もすっごく聞いてくれたんだって思いました。

NENE:作詞・作曲がSTEAKAさんって聞いたとき、カッコいい曲が来るんだろうなって思ったよね。

RITO:カッコいいです。めちゃくちゃ。

SOLI:ダンスも。

NENE:そうダンスは良いものにしようと、いろいろチャレンジしたんだよね。サビとかもちょっと自分たちで作ったし。

SOLI:サビの振りが決められなくて、どうやろうかなってなったときにMITSUKIちゃんが……。

MITSUKI:これやりたーいって。ジャンジャンジャンジャンって裏の音を取りたいって。地球の重力みたいなイメージ。

一同:(笑)。

MITSUKI:先生と、試行錯誤しながらみんなで一緒に考えました。

SOLI:振りが可愛いので、みんなにも真似して欲しい。

MEW:この曲はけっこう声出しができるから、やって欲しいなって思います。

NENE:声出しやコール&レスポンスをやりたいって言ってたのが、伝わってできた曲なのかなと思います。今までのミームの曲には一緒に歌える曲がないから。ここからみんなで一緒にライブ空間を作っていきたい。

SAE:もう一曲のグループ曲の「Feel the Virus」や「GAV RICH」とか、このEP自体に”インフェクション(感染)”っていう一貫したテーマがあって、コロナ禍が明けた世界みたいなものを、STEAKAさんも意識して作ってくださっている感じがします。これからみんなと一緒にできるのが楽しみ。

RITO:新しいミームトーキョーのノリ方っていうか、それぞれのミームトーキョーにしかできない盛り上がり方が生まれるんじゃないかなって思います。

—サウンド的には声の個性も含めて多彩な感じがあるけど、歌詞には怒りみたいなものが感じられて、そういうところにSTEAKAさんの作家性が反映されてるのかなと思いました。

NENE:ミームと通じるものがあって好きだ。

MEW:STEAKAさんもライブを観に来てくれたんです。この曲が来たとき、ライブでイメージを湧かせて作ってくれたのかなって思ってうれしかったです。

—「SNSKILLER」「GAV RICH」と比べて、「Feel the Virus」はどちらかというとドラマチックでまた違った形でライブ映えしそうな曲だなと思いました。この曲を最初に聴いたときはどうでしたか?

SOLI:私たち、めろん(海猫沢めろん)さんに歌詞を書いてもらうことが多いんですけど、この曲は、すぐにめろんさんの歌詞だって思いました。

NENE:うんうん。

SOLI:めろんさんの歌詞って、世の中の闇を指すような歌詞だというイメージがあるんです。この曲も、例えば”co-vid”とか直接的な言葉が多いんですよね。そういうところが魅力かなと思います。

NENE:ツアーにぴったりすぎて、ツアーのために作ったのかなって。さっきSAEちゃんが言ってくれたように一貫してるテーマがあるからこそ、この曲が来たときに、これはツアーでお披露目したら、みんながもっとその世界観に入ってくれるというか、伝わるものがあるんじゃないかなって感じました。

RITO:初めて聴いたとき、一つの劇みたいだなって思いました。メロディが単調じゃなくて、静かなところもアゲなところもあって、聴いていて飽きない。

SOLI:ブリッジのところで”会いたいよ any more 救済の地はどこ”って歌ってて、後ろでコーラスが同時に流れるんですよ。それが映画みたい。

RITO:進撃の巨人が出てくるみたいな。

SOLI:そういう感じがめっちゃ新しくて好きです。

SAE:サビのメロディが、一回聴くと頭から離れなくて、最近はずっと布団に入る前に聴いてる。寝れないんですよ。

一同:(笑)。

NENE:悩みじゃん(笑)。

MEW:「Sweet Dream」って曲を振り付けしてくださったsumireさんって方が振り付けしてくださったんですけど、めっちゃいいよね。

一同:いい!

MEW:sumireさんの振り付けがみんな大好きで、この曲をやっていただけるってなってすごくうれしかったし、実際めっちゃカッコいい振り付けをしてくださって、踊ってて楽しかったです。

MITSUKI:みんなでウニョウニョするとこ。

NENE:自分たちがウイルスになるっていう(笑)。

MEW:いいウイルスだね。

MITSUKI:ミームのカッコいいウイルス。

SOLI:そういう目線で見たら、ウイルス来たな、みたいな感じがする(笑)。

NENE:sumireさんの振り付け、すごい好きだな。

MEW:最初は、マジで踊れないかもって思った。細かくて脳トレみたいな感じなんですよ。右左右左左右みたいな(笑)。どうしようって思ったけど、踊れるようになってよかった。

—「SNSKILLER」「GAV RICH」「Feel the Virus」と、この3曲を通して新しいグループ像を示せたんじゃないですか。

一同:はい!

NENE:一緒に作ってくれる人の愛を感じるし、だからこそ表に出る我々は頑張らなアカンよなと思います。いいものを作ってくれたからこそ。みんなのファーストインプレッションは私たちの声とかダンスだから、頑張りたいよね。

SOLI:うん。アルバムのジャケット写真も、インフェクションって感じ。私たちってウイルスと縁が深いんですよね(笑)。

NENE:そうね、もともと名前がミームだもんね。

SOLI:ミームトーキョーには他のアイドルには感じられない、ミームだけの魅力があって、それをウイルスとして表現してるんです。いつもはジャケット写真も、衣装がバラバラだったんですけど、今回はみんな同じカートに乗って、同じ方向を向いて同じ衣装を着てる。それって、私たちがウイルスに感染して、次はあなたたちも感染するよ、みたいに言われてるのかなって。めっちゃアルバムのコンセプトに合うと思います。

MEW:そう見ると面白い(笑)。

NENE:めっちゃカワイイよね。目を引く。

MEW/SAEのユニット曲、RITOのソロ曲について

—ではソロとユニット曲にも触れたいんですが、ミームトーキョーの多彩な個性を表すっていう意味でも、メンバーごとに曲があるのはいいですよね。まずはMEWさんとSAEさんの「TWEED」から。

MEW:作詞の理姫さんは、アカシックや”可愛い連中”っていうバンドのボーカルの方で、2人ともアカシックを前から聴いていたから、作詞が理姫さんになると聞いたときにイエーイ!ってなったよね。

SAE:ロック系が好きだから。

MEW:他の曲はメンバーが自分で作詞してるんですけど、私たちの事前情報ゼロだったのに普段自分たちが思ってることを書いてくれて、びっくりしました。

SAE:歌詞の意味も理姫さんから教えていただいたんですけど、”つまらない世界でも人生捧げてやろうぜ”みたいなメッセージが込められていて。そういう話をMEWと2人でゴハン食べたときにしたことがあったから、会話を聞いてたのかって思うくらいピッタリで(笑)。

MEW:すごくない?

SAE:ほんと。めっちゃ気持ち込められるよね。

MEW:ミームトーキョーではダンサブルに踊る振りの曲が多いですけど、この曲は歌を聴かせる感じで振りが控えめなんです。虹コン(虹のコンキスタドール)予科生の的場華鈴さんが振りを考えてくださったんですけど、的場さんも演者だからいろいろ分かっていて、サビではほとんど踊らず、感情を込めて歌えます。あとSAEちゃんと私って、ミームになる前から出会ってて。ミームに入って再会したんですけど、この曲の中に2人で交差する振りがあって、そこにもけっこう震えてます。

SAE:別のところからの再会、みたいな。

MEW:って勝手に思っています。

—アイドルっぽい曲の佇まいだけど、歌詞はちょっと尖ってて、いい意味でクセがあるというか。そういう意味で2人にぴったりだなと思います。

NENE:うん、めっちゃ似合ってるしカッコいい。2人に超惚れます。

MITSUKI:感動する。

NENE:熱い気持ちになる。私はMEWちゃんがめっちゃ踊ってるのに感動するんだよね。みんながいると目線も散らばるけど、2人でやると……取り除かれた感?

MEW:言い方が(笑)。

RITO:2人を堪能できる曲だなって思う。よさがすごく出てる。

MEW:イエーイ!

SAE:ユニットっていう取り組み自体が初めてだったんですけど、2人だからこそ表現できるものがあったなって思います。

MEW:SAEちゃんと、「SAE、MEWは行けるぞ!って皆に思わせるために頑張ろう」って話してた。

一同:(笑)。

SAE

MEW

—続いてRITOさんの「Mephisto」について聞かせてください。作詞はRITOさんですよね。

RITO:そうです。最初、全然違う歌詞を書いてて、これじゃないと思って全部消して今の歌詞になったんですよ。でも親に歌詞を見せたら(笑)、何が言いたいかよく分からないって指摘があって。でも自分って、何が言いたいかよく分からないところがあって。自分自身がすごく複雑にできてるというか。それでいいかなと思って、ソロだし自分にしか歌えない歌を書こうってメラメラして書きました。自分のことと、この世の中に対してのことを書いてます。自分って人見知りだし、どちらかというと明るい方じゃないんですよ。大人って、生きていくためにウソをつくじゃないですか。つらくても笑ったり。そういうのが滑稽だなって思う気持ちを書きました。

NENE:カッコいい。私が最初にRITOさんの歌詞見たんだからね。

RITO:そうだね。最初にNENEちゃんに見せました。

NENE:たまたま近くにいたからだけどね(笑)。

RITO:そうですね、近くにいました(笑)。でも私は、MEWちゃんたちの曲の歌詞は皆で共有してるGoogleドライブでこっそり見てた(笑)。どういうの歌ってんだろうって気になりすぎて、好きすぎてさ。

一同:(笑)。

MEW:”ガムシロだらけのミルクの中”って歌詞があるけど、RITOさんってミルクにガムシロめっちゃ入れるんですよ。

一同:めっちゃ入れる!

MEW:だからそれじゃん!って思った。

NENE:ワードセンスめっちゃいい。

MITSUKI:”今日はお家に帰れるかな”とかよく言うじゃん。

RITO:そう、よく言うの(笑)。

MEW:本当にRITOさんの曲だね。

MITSUKI:私ね、あそこが好き。”気がついたのそう すでに隣を歩く答えに”。

RITO:あー。これは横断歩道を歩いてて思いつきました。自分の影がすぐ近くにあるなと思って、答えはすぐ近くにあるんだろうなって。

MITSUKI:カッコいい!

RITO:やったー!

—歌詞を思いついたときは、iPhoneとかにメモるんですか?

RITO:メモりますね。あと、絵を描いたりします。言葉にできないときは絵を描く。

NENE:RITOさんって風刺画のイメージあるよ。

RITO:ほんと?

SAE:けどこれ、RITOさんの絵って感じがする。

NENE:分かる!

RITO:それみんな言ってたよね、最初から。

SAE:めっちゃ好き。

NENE:バンクシーみたいな?

RITO:ありがとうございます(笑)。

—ちなみに最初にボツにした歌詞ってどんなのですか?

RITO:最初はこの世の中に対してのことを書いてて、めっちゃ四字熟語を入れようと思ってたんですよ(笑)。この世は諸行無常、みたいなことを書いてました。でも人の真似だと思ってやめました。結果的には、伸び代もある歌詞になってよかったなって思います。ボカロが好きなんですけど、音もボカロ調で、いろんな音があってめちゃくちゃ好きです。かっこいい。

—サビで加速していく感じがあっていいですよね。

RITO:これが初めてのソロ曲になって、超うれしいです。

RITO

NENE/MITSUKIのユニット曲について

—続いてNENEさんとMITSUKIさんの「Melt」。

NENE:これは、みつきち(MITSUKI)の歌詞なんだよね。

MITSUKI:私が普段、noteやTwitterの下書きにぶつけていた言葉から歌詞を構成しました。

NENE:作るならどういう曲にしようかって話して、メンヘラチックな曲にしようってなったんだよね。

MITSUKI:アゲアゲではないよね、って。うちらってよく元気に見られるんですけど、元気ではあるけどずっと元気じゃないし、暗い面もあって、そういう心の内を歌った方が、自分たちの曲として感情を込められるってなりました。

NENE:暗い面、ないわ。

MITSUKI:ないんかい!(笑)

一同:(笑)。

NENE:みつきちって、ツイートをめっちゃ消すんですよ。なんか思ってることあるんだろうなって思って、下書きとかないの?って聞いたんです。noteも2回くらいしかあげてないと思うけど、文章力があって小説を読んでる感じがして面白いし、素敵な感覚があるから、みつきちのそういう日々の毒みたいな、SNSに書いてるものがあったら見せてほしいって言って送ってもらったんです。それを並べて、ところどころにちょっと足して作りました。

—先にトラックがあったの?

NENE:そうですね。てか私、メロも全部つけたんですよ。

MITSUKI:そうだよねえ!  最初のメロ覚えてるよ。”永遠なんてないかもけど”のところとか違ったよね。

NENE:そうそう。メロもつけろってことで全部作ったけど、とりあえず変更になって。

MITSUKI:歌詞もちょっと変わったよね。

NENE:そうそう。で、このメロでやりましょうって新しいメロが来て、入れ直した感じです。レコーディングしたとき、2人ともテンションが高かったのか、めちゃくちゃキーを上げちゃって。いけるっしょ!みたいな感じで(笑)。キーがだんだん上がっていったんだよね。

MITSUKI:そう(笑)。ライブでは頑張って出さないと。

NENE:なんでこんなにハイにしたんだろうって思ったけど、逆にギリギリにしてよかった。

MITSUKI:ギリギリの感じがでてるからこそ、グジャグジャで、心の叫びって感じ。

NENE:うん。めっちゃいいですね。

—トラックも2人に合ってますよね。

NENE:ヒップホップな、アングラな感じがしてカッコいい。

MITSUKI:2人とも沖縄で育ったけど、沖縄の人ってどこでも踊るし、ストリート感があるから、曲調が2人に合ってると思う。

NENE

MITSUKI

—歌詞の断片にはMITSUKIさんの心の内が表現されている。

MITSUKI:アイドルしてて、みんなからよく、好きとか可愛いって言葉をもらうようになったけど、それが怖いっていうか。責任に感じてしまって、”君からの好きだよも もう貰いすぎたみたいだから 今度は僕が僕を愛せますように”って歌詞をつけました。自分への応援みたいな。自分でも聴いていて強くなれる曲にしました。

—今の一連のフレーズも、近いことをSNSの下書きとかに書いてたんですか?

MITSUKI:書いてました。今も自分のブログかnoteに載ってると思います。

RITO:この間のツアーに沖縄公演があって、そこでこの「Melt」が披露されたんですよ。めちゃくちゃ感動して、リハから泣きそうだった(笑)。生まれ育ってきた凱旋ライブで、自分たちが作った曲を披露する2人を袖から見てたんですけど、めっちゃカッコよくて。しかもフレーズが全部めちゃくちゃ刺さるんですよ。

MITSUKI:えーありがとう。うれしい。

SOLIのソロ曲について

—最後にSOLIさんの「ブルーレター」について聞かせてください。2月にリリースされた1stアルバム『MEME TOKYO.』に収録されていた曲ですよね。

SOLI:前のアルバムに収録されたのは6人バージョンで、これはソロバージョンなんですけど、一番最初にレコーディングしたのはソロバージョンだったんです。その後に、6人バージョンも作ろうってなった流れだったと思います。この曲の歌詞を考えてるときは、歌詞書かなきゃってずっと考えてて、何度もこれはダメだって行き詰まってたんです。何について書けばいいのかマジで分からなくて(笑)。朝起きると目の前に大きい窓があるんですけど、その日は雨が降っていて、その感じを歌詞にしました。”ポップなミュージック流し もう、心地よい 香り”は、シャワーシーンをイメージして書きました(笑)。

NENE:最初からメロウな曲にしようって感じだったの?

SOLI:いや、急に歌詞を書くことになって(笑)。私、長い髪だから乾かすのにめっちゃ時間がかかるんですけど、そういうことを思い浮かべたり。次の”意味なんて生めば生まれるし 愛は求めば可愛くなるし”はメイクシーンをイメージして書いて。私のアイドルの日常で起こった出来事も含まれてて、日本に来られなかったり、いろんな記憶の中にあるトピックを歌詞にしました。

NENE:そういえば「青春っぽい曲」って言って渡されたの、この曲じゃない?

SAE:歌詞がまだついてなくて、曲だけ聴いたよね。

SOLI:全然青春っぽくないかも。すいません(笑)。

NENE:ううん。

SAE:チル曲ができる!って。

MEW:うちら求めてたからね、チル曲。

NENE:そう思ってたら、SOLIちゃんが書いてくれてた。

—すごく素敵な歌詞ですよね。

一同:うんうん。

SOLI:ありがとうございます。

SOLI

—なかなか書けないタイプの歌詞だと思いますけど。

SOLI:でも私は、自分が書いた歌詞ってちょっと恥ずかしかった。鏡を見たら自分の顔があんまり好きじゃないなって思うことがあるじゃないですか。自分のコンプレックスを知ってるから、そこしか見えない。でも他の人からは「可愛いよ」って言われてるときの気持ちに近いというか。自分が書いたものだから愛はあるんですけど、恥ずかしい。

NENE:そもそも私ら誰も、SOLIちゃんみたいに韓国語で書けんもん。

SOLI:最初、韓国語で書いて欲しいって言われたんですけど、実は先に書いたのが日本語で、逆に韓国語の歌詞の方が難しかったんです。

NENE:え、そうなんだ!

RITO:ちゃんと自分でチョイスした日本語なのに、我々ネイティブが見ても素敵な歌詞だなって思うからすごいなって思う。

SOLI:そうなんだ。じゃあもっと誇りを持ちます! ありがとうございます!

—こういう言葉って自然にスラスラ出てくるんですか?

SOLI:最初はもっと難しい言葉をつけたいなと思って、翻訳機を使ったり辞書も見たんですけど、結局自分の言葉で書くのが一番かなと思って、全部知ってる言葉を使いました。

—また日本語で歌詞を書いてみたいですか?

SOLI:うーん、余裕があったら(笑)。

NENE:いま実はSOLIちゃんと2人で曲を作ってるんですけど、上手です。

SOLI:これからは”インフェクション”っていう言葉に合わせて、私たちだけの魅力をウイルスとして感染させたいなって気持ちがあります。まだ世の中にあんまり見つけられていない感じがして、みんながミームトーキョーの中毒になってほしいなと思います。

ミームトーキョーの遺伝子

—ミームトーキョーの遺伝子には、所属事務所のディアステージの影響があると思うんですけど、”ディアステージらしさ”みたいなものを各々が解釈して、それをミームトーキョーで表現している感覚はありますか?

RITO:自分はでんぱ組.incも兼任してるんですけど、ディアステの始まりって、秋葉原のお店からでんぱ組というグループができたことだと思っていて。でんぱ組の歌詞も明るいけど、誰が誰を好きとかじゃなくて、この世界に対して自分がどう思うかでハッピーになれるよね、みたいなことを言ってる。自分が生きていく中で、どういう考え方で自分を好きになれるかを歌ってたりするんですよ。でんぱ組はそれをアイドル的に可愛く明るい曲に乗せて歌ってて、それとミームトーキョーは全然別の世界にいるんですけど、表現の仕方が違うだけで、実はミームも世界に対して思ってることとか、自分がどうやったら自分を好きになれるとか、そういうとことを歌ってる。そこがでんぱ組とすごく近いのかなって思います。

NENE:私は、上の人に言われたからやるっていうよりも、「自分たちがこうしたいからこうやって作りたい」っていう、それぞれにちゃんと意思があるのがディアステだと思う。好きなものがあるから楽しい場所を作りたいっていう感覚が、このディアステージっていう場所にはすごくあるなって感じました。ないなら作っちゃえみたいな感覚が、ここにいる人たちはみんな一貫してあるんじゃないかなって思います。

SOLI:しかもメンバーみんなセンスがよくて、そうやって作り上げたものがめっちゃスタイリッシュだなって思うんですよ。ミームって、めっちゃスタイリッシュだなと思ってます。

NENE:そうやってできてるミームトーキョーってグループは、確かにディアステージの遺伝子を受け継いでるんじゃないかと思います。

SOLI:例えばマンガで言うとでんぱ組が主人公の魔法少女みたいなアイドルだったら、私たちは悪党だと思う。

NENE:それぞれの正義があるからね。

SOLI:そうそう。完全に悪い悪党じゃなくて、それぞれの正義がある。例えば『ペーパー・ハウス』ってドラマも悪党の視点で描かれてる話なんですけど、見てるといつの間にか悪党の方を応援しちゃうんですよね。ミームトーキョーもそういう感じで、他のアイドルさんがえへへ……っていう笑顔だったら、ミームトーキョーはうへへ……っていう笑顔。いつも私はミームトーキョーの曲を歌うとき、そういう感じで歌うんですよね。そういうところも魅力なんじゃないかなと思ってます。

—MEWさんはどうですか?

MEW:えー、難しいな。

MITSUKI:あれじゃない? 今回の衣装とかもMEWちゃんが提案してくれたよね。「SNSKILLER」の衣装って、服のスタイリングのイメージを伝えて、それを元に作ってもらった衣装なんです。

MEW:確かにNENEちゃんも言ってたけど、自分たちが作りたいものを作り上げられるのがディアステのいいところですよね。

NENE:すごくジャパニーズカルチャーを感じる。トラックだけ聴いたらK-POPっぽいって言われることもあるけど、全然違うというか。私が触れてこなかったジャンル感とか音楽性とかファッションが、ディアステにはある。クマのぬいぐるみとかを服につけてるとか、最初に見たときはすごく嫌だったんですよ(笑)。拒絶反応に近かったんですけど、今ではすごく可愛いと思います。

MITSUKI:だってNENEちゃん入ったばっかりのとき、フリフリの衣装は着たくないって言ってた。

NENE:そうそう。知らなすぎたっていうか。異文化に触れて、この世界はすごく楽しいし、可愛いなって思ったから、逆にそれを知らない人もいっぱいいるんだなって思うと、こういうのも面白いんだぜ、カッコいいんだぜって、私は伝えたいなと思った。だからまじで日本のカルチャー最高って感じ(笑)。

MEW:外国の方ですか?(笑)

MITSUKI:私もミームトーキョーじゃないと絶対アイドルになってなかったって思うところがいっぱいあって。衣装がバラバラとか、フリフリじゃないとかもそうだし。フリフリが嫌とかじゃないんですけど、自分は個展とかを定期的に開かせてもらってて、そういう自分のやりたい表現を発表する機会があるからこそ、もっといろんなものを吸収しようって思えるんです。自分がアイドルとしてというより、一人の女の子としてどんどん面白く成長できる場所だなって思います。だからミームトーキョーでよかったって、もう一週間に45回は言う。

一同:(笑)。

MITSUKI:マジでいつも言うんですよ。このインタビューでみんなの言葉を聞いても、あらためてカッコいい仲間がいてよかったって思うし、私はミームトーキョーのオタクであり、メンバーでもあるんです(笑)。めっちゃ面白い場所で面白い活動ができて、日々楽しいです。

<INFORMATION>

『MEMETIC INFECTION』

ミームトーキョー

MEME TOKYO

6月7日発売

https://tf.lnk.to/MEMETICINFECTION_CD

収録曲

M1. SNSKILLER

M2. GAV RICH

M3. TWEED MEW/SAE from ミームトーキョー

M4. Mephisto RITO from ミームトーキョー

M5. Melt NENE/MITSUKI from ミームトーキョー

M6. ブルーレター SOLI from ミームトーキョー

M7. Feel the Virus from ミームトーキョー