『ドラゴン桜』(TBS)や『六本木クラス』(テレビ朝日)など話題作に出演し、『silent』(フジテレビ)でさらに注目を浴びた鈴鹿央士。現在放送中のTBS系ドラマ『スイートモラトリアム』(毎週火曜24:58~ ※一部地域を除く)では、元カノと今カノの狭間で揺れる主人公の大学生を演じている。2019年の俳優デビューから約4年。今の俳優業への思いや芸名の由来、本作の裏話など、鈴鹿に話を聞いた。

  • 鈴鹿央士 撮影:奥西淳二

マンガアプリ「マンガボックス」で連載されていた、たまいずみ氏による同名漫画を実写化した本作は、自由奔放な元カノ・大森りんご(小西桜子)と真面目で一途な今カノ・上条小夜(田辺桃子)という、両極端な2人の女性の狭間で揺れ動く大学生・柏木心(鈴鹿央士)が主人公。この三角関係を中心に不器用な若者たちの等身大の姿を描く。

鈴鹿自身、なかなか決断できない主人公・心と重なる部分があるという。

「学生のときに将来の夢も決めていなくて、英語が好きだったから英語の先生に『英語は何で使えるんですか?』と聞いたら『通訳さんとかじゃない?』と言われて、『じゃあ通訳って書いておこう』って。高校生のときまでそうだったので、何か決めるのは難しいし、そんな選択を迫られても……と思う自分が今でもいます。心くんが決めなきゃいけないシーンがけっこうありますが、自分も決めていなかったなって思います」

将来の夢を見つけられていなかったという高校2年生のときに、通学していた学校で映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17)のロケが行われ、エキストラとして参加。その際に、広瀬すずの目に留まってスカウトされ芸能界入りした。映画初出演作『蜜蜂と遠雷』(19)で新人賞を総なめにすると、その後、話題作に続々と出演。主人公の恋人・戸川湊斗を演じた『silent』(22)でますます注目を集めた。

デビューから約4年、俳優業にやりがいを感じながら充実の日々を送っているようだ。

「いろいろな出会いがあって、その一つ一つが貴重で、すごく尊い出会いをしたなと思っています。お芝居もすごく楽しいですし、そこで出会う人たちとの時間も幸せだなと感じていて、一つでもいい作品を残していきたいと思っているので、これからもできるだけお芝居をしていけたらと思います」

デビュー直後と今とでは、楽しみ方が変わってきているという。

「最初は見たことのない機材があったり、お芝居ってどうするんだろうと思ったり、すべてが新しくて、そこで見えている景色が楽しかったです。今はよりお芝居が楽しく感じるようになっていて、そこで出会う人たちとの時間もより楽しめるようになり、また違った楽しみ方をしている気がします」

芝居に関しては、いろいろな人生を生きられる楽しさを感じているそうで、「小さい頃から考えることが好きだったので、台本を読んで、この人ってどういう人なんだろうって考える時間も楽しいです」と話した。

そして、「すべての作品が大切な経験になっている」としみじみ。特に、『silent』出演で「人生が大きく変わりました」と語る。

「鈴鹿央士という人がより多くの人に認識してもらえるようになったというのが大きかったです。『湊斗』と役名で呼ばれることも多く、作品ごとに、この人って本当に生きているんだなと思ってもらえることがうれしいなと。今は湊斗が強く残っているので、このあと誰になるのか。『心くん』と呼ばれるようになったらうれしいです」