村上RADIO~アカペラで行こう~
◆The Nylons「This Boy」
レノン=マッカートニーが最も初期につくった曲の1つ、「This Boy」。日本でレコード発売されたときの邦題は「こいつ」になっていました。レコード会社の人もいろいろ考えたんでしょうが、「This Boy」が「こいつ」はちょっとないですよね。たしかシングル盤「抱きしめたい」のB面だったと思うんだけど、うろ覚えなんで、間違えていたらすみません。
1978年にカナダで結成されたアカペラ・グループ、ナイロンズが懐かしいスタイルで歌います、「This Boy」。
<収録中のつぶやき>
今回はレノン=マッカートニーとブラインアン・ウィルソンが2曲入ったんですね。ひいきにしているみたいだね(笑)。
◆The Manhattan Transfer「God Only Knows」
マンハッタン・トランスファーがアカペラで精魂込めて歌い上げます。ブライアン・ウィルソンの名曲「God Only Knows(神のみぞ知る)」。
これもまたビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』からの曲ですね。マンハッタン・トランスファーは何度も来日していて、僕もよく聴きに行きましたが、ステージの中で必ず1曲は素敵なアカペラを聴かせてくれました。リーダーのティム・ハウザーが亡くなってしまって、とても残念です。「God Only Knows」。じっくり聞いてください。
◆The Housemartins「Caravan Of Love」
Isley-Jsper-Isley(アイズレー・ジャスパー・アイズレー)の1985年のヒットソング「Caravan Of Love(愛のキャラヴァン)」を、イギリスのグループ、ハウスマーティンズがアカペラで歌います。このバージョンは1986年に、UKチャートの1位をとりました。オリジナルよりヒットしちゃったんですよね。素敵なコーラスで、聴き飽きしません。
<クロージング曲>
Mimi Fox「Kicks」
アカペラ特集のあとには、やはりインストゥルメンタル曲が聴きたくなりますよね。女性ジャズ・ギタリストのミミ・フォックスが、バリー・マン、シンシア・ワイルのつくった「Kicks(キックス)」を演奏します。僕はこの曲、好きなんです。ジャズのプレイヤーが取り上げるのはとても珍しいんですが。
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今日の言葉は、デンゼル・ワシントンの台詞です。
「ぼくはかつてPIPだった」
これは「イコライザー」という映画の中の、デンゼル・ワシントンが演じる初老の元特殊部隊員の台詞です。彼は血なまぐさい過去を隠して、Do It Yourselfの店で真面目に、物静かに働いているんですが、謎めいた雰囲気があって、周りのみんなから「あんたどういう人なの、何をしてきた人なの?」とよく質問されます。そのたびに彼は“I was a Pip.”と答えます。「僕はピップだった」。でも、誰もその意味がわからない。ピップってなんだ? 要するに「グラディス・ナイト&ザ・ピップス」というソウル・グループのバック・コーラスをやっていたということなんです。だからピップスの1人で「ピップ」。とにかく本人はそう主張します。で、みんな「ほんとかよ?」と古いミュージック・ビデオを見るんだけど、もう昔のことだし、画質もあまりよくないから、よく顔の見分けがつきません。真偽のほどはわからない。この場面、面白かったです。思わず笑っちゃいました。
それではまた来月。
<番組概要>
番組名:村上RADIO~アカペラで行こう~
放送日時:5月28日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/