英国演劇界で最も権威のある「ローレンス・オリビエ賞」の授賞式が現地時間2日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われ、スタジオジブリのアニメーション映画『となりのトトロ』を舞台化した『My Neighbour Totoro』が、最優秀作品賞、演出賞、衣装デザイン賞など最多の6部門を受賞した。
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)のプロデューサー、グリゼルダ・ヨーク氏は授賞式で、この舞台の発案者でエグゼクティブ・プロデューサーの久石譲氏を称えた上で、「『となりのトトロ』は優しさと勇気とイマジネーションのお話です。我々は、この魔法のような素敵な舞台を作る作業に関わってくださった数多くの人たちに未来永劫、感謝を捧げます」と語った。
式に出席できなかった久石氏は「作品賞をはじめ、多くの賞を受賞したことはとても喜ばしいことです。RSCや関係者の皆さんに心からの祝福と感謝の気持ちを送ります」、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーも「ぼくらが信頼する久石譲さんがプロデューサーであること。これを条件に、宮崎(駿)とぼくは舞台化のOKを出しました。『トトロ』を深く理解し、新たな命を吹き込んでくれたRSC、そのキャスト、スタッフの皆さん一丸となっての受賞、本当にうれしいです」とコメントした。
最優秀衣装デザイン賞の中野希美江氏は、受賞後のインタビューで「映画の世界を大切にすること、生地などの質感にこだわることを重視して作ってきました。特に、映画の舞台である昭和30年代の日本については、多くの材料を集め、研究しました。演出、パペットを含め、皆のチームワークがあっての賞だと思っています。本当にうれしいです」と喜びを語った。
受賞したのはほかに、最優秀舞台美術賞、照明デザイン賞、音響デザイン賞の各部門。2月に発表された演劇賞「第23回WhatsOnStage Awards」でも最優秀演出賞など最多の5冠を獲得している。
同作は今年1月の終演直後から再演を望む声が多数寄せられており、これに応える形で再演が決定。今年11月21日から来年3月23日まで、初演と同じロンドンのバービカン劇場で上演される。