1月10日からスタートするNHKドラマ10『大奥』(毎週火曜22:00~22:45 ※初回15分拡大)に、8代将軍・徳川吉宗役で出演する冨永愛。以前から時代劇への出演を夢見て準備をしてきたという冨永が、念願となる時代劇の収録現場で感じたことや、タッグを組む水野祐之進役の中島裕翔(Hey! Say! JUMP)の印象などを語った。

  • 冨永愛

よしながふみ氏の人気コミック『大奥』を実写ドラマ化した本作。江戸幕府3代将軍・徳川家光時代に「赤面(あかづら)疱瘡(ほうそう)」と呼ばれる“若い男子”にのみ感染し、発症すれば数日で死に至るという恐ろしい病気が広がり、世の男子が女子の1/4まで減少した世界の物語。日本の社会構造は激変し、女子は男子の代わりに労働力の担い手となり、将軍職も家光以降女子に引き継がれた。そんな家光から大政奉還に至るまでの江戸のパラレルワールドを描く。

「お話をいただいたとき、どの役かまだ知らされていなかったんです。そんななか原作を読ませていただいて、私自身に近いのは、吉宗かなと思いました。吉宗さんってパッと英断するイメージがありましたから。私も男勝りでキリっとしているようなパブリックイメージを持たれていると思ったので、吉宗役なのかなと。実際そうでした(笑)」

モデルとして活動しながら、俳優として作品に参加する機会もあった。歴史が好きだったこともあり、「いつかは時代劇をやりたい」という思いが、心のなかにずっとあったという。

「最初に歴史に興味を持ったのは、10代のときに家族旅行で会津に行き、白虎隊の存在を知ったことが、きっかけです。そこで衝撃を受けて歴史に興味を持ったのですが、その後モデルになって海外に出ると、どの国のモデルたちも、しっかりと自分の国の文化を知っていて、政治の話はもちろん活発に発言をしていたのです。そこで自分が日本についての発言ができないことに、恥ずかしさを感じて、より日本の歴史や文化を学ぼうと思い、着付けを習ったり、歴史小説を本格的に読み始めました」

初めて読んだ歴史小説は司馬遼太郎の『坂の上の雲』。そこから時代劇にもハマり、自分の生まれ育ってきた日本という国のことを改めて学び、自分のアイデンティティとしても日本人であることを意識するようになった冨永。芝居の仕事をすると、必然的に時代劇というジャンルも意識するようになった。

「いつか時代劇に……と思ってから、殺陣の稽古や乗馬の練習はしていたんです。今回お話をいただいて、吉宗という人物を演じるために、伝記や文献でより深い知識を得ることと、また、吉宗は和歌山藩主だったので、初めてその地にも伺いました」

■オンエアに緊張感「胃薬を飲みながら見ていると思います(笑)」

しっかりとした準備をして臨んだ現場。NHKらしい豪華なセットやロケ地での撮影は、見るものすべてが「いちいち楽しかった」と語っていた冨永。なかでも難しかったのが歩き方だ。

「普段はヒールを履いてランウェイを歩くのですが、それとは全く違う。 私はその人の性格や生き様は、歩き方に出ると思っているんです。そういう意味で、武術が達者な吉宗さんの歩き方というものも絶対ある。そもそも江戸時代の将軍の歩き方ということもありますが、どんな風に歩いたら吉宗さんらしいのか……そこは監督やスタッフさんとお話しながらやっていきました。具体的には私は殺陣の歩き方を学んでいたので、つま先を使わず、重心が常に真ん中にあるような。そこにちょっと男っぽいというか、大股で歩幅も大きく、ということを意識して歩きました」

もう一つ、これまで時代劇のために……と習得してきた乗馬のシーンがあったことも「楽しかった」と思える大きな要因になっている。

「最初は台本になかったのですが、インスタグラムなどで私が乗馬をしているのをご覧になったのか、乗馬のシーンを作ってくださったんです。そのシーンはセリフもなかったので、本当に楽しくトップスピードで乗らせていただきました(笑)。乗った馬はバンカーくんという大河ドラマの常連くんだそうで、大河をよくご覧になっている方でしたら、お顔を見れば分かるかもしれません」

一方で、オンエアがスタートするまでは「胃が痛くなる」ほどの緊張感に包まれている。

「収録中はいつも“大丈夫かな”と思いながらずっとモニターをチェックしていました。やはり時代劇も初めてですし、俳優としての仕事もそこまでたくさんの作品に出演しているわけではないので、ちゃんと吉宗という人物を演じることができているのか……という不安は常に抱えています。1月10日がオンエアですが、本当に気が気じゃない。胃薬を飲みながら見ていると思います(笑)」

それでも念願の時代劇を体験し、さらに大きな野望も湧いてきた。

「いつかは時代劇をと思うなか、私は背が高いので、既存の女性ものの着物ではサイズが絶対合わないんだろうなと。もし役が巡ってくるなら、男だと思われていたけれど、実は女だった……みたいな役かなと思っていたんです。だから殺陣も乗馬も男役として習っていたので、もしまた機会があるのならば、男役として殺陣を披露できたらいいなと思っています(笑)」