テレビ東京で7年ぶりに新春時代劇が復活! 若かりし頃の徳川三代将軍・家光の『ローマの休日』ならぬ『江戸の休日』というべき恋の逸話を描く、時代劇ラブストーリー『ホリデイ~江戸の休日~』がきょう6日19時30分より放送される。

若手実力派の望月歩と葵わかながW主演を務め、名優・里見浩太朗を筆頭に、高嶋政伸、戸田菜穂ほか、上川隆也、内藤剛志などなど、テレ東人気ドラマ主役俳優が一挙顔をそろえた。語られるのは、現代に遺された“徳川家光が描いた”とされる絵から始まる、歴史の本には決して書かれることのない徳川家光と町娘・お仙の胸がときめく切ない恋物語。

そんな大作で葵わかなとW主演を務め、家光公に扮した望月歩が、大先輩・里見浩太朗との共演や、「撮影が終わるのが寂しかった」という本作を振り返った。また、2023年、本格的デビューから10年目となる望月が、「このところ、足踏みしていた感覚があった。それが2022年前半からようやく抜けてきた」と俳優としての現在の心境を語った。

  • 望月歩

    『ホリデイ~江戸の休日~』で葵わかなとW主演を務めた望月歩 (C)テレビ東京

■家光公の扮装に「嬉しくって、写真を撮って、いろんな人に送りました」

――今回、望月さんが主役ということで、フレッシュな時代劇になりそうだと期待しています。

軽やかや見やすさはあると思いますが、スタッフさんや共演者さんみなさんのおかげで、本格的な時代劇と名乗れる作品になっていると思いますし、やっぱりそこが見どころかなと思います。

――時代劇は大河ドラマ『麒麟がくる』以来ですが、本作では主役、みなが知ってる家光公を演じます。

もうめちゃくちゃ嬉しいです! 2022年はずっと「主演がやりたい」と言っていた年だったので、年明け放送の作品になりますが、こうして演じさせていただけるのはすごく幸せでした。家光というと、少し尖っているというか、常人とは違うイメージが強かったのですが、脚本を読ませていただいて、悩みもあったりして、感覚は今の人にも近いものがあるのかなと思いました。どうやって演じられるだろうかと、すごくワクワクしましたね。

――家光公としての扮装をしてみていかがでしたか?

嬉しくって、写真を撮って、お母さんとかいろんな人に送りました(笑)。やっぱり衣装や髪を変えると、背筋が伸びるというか、感覚も変わりますね。それに今回は、城にいる家光と、町に修行に出る際の扮装がかなり違います(※本作の家光は町の魚屋に修行に出て、そこで町娘・お仙と恋に落ちる)。そのことによって、町に出たときの解放感がありました。いろいろ新鮮に感じましたし、それは家光が外の世界に触れたときに感じたものとも重なるのかなと思いました。

――今回、一番身近で仕える大久保彦左衛門役が里見浩太朗さんです。

はい。里見さんはもちろん、脚本のページをめくるたびに、ものすごい方々の名前が出てくるんです。名前が並んでいる部分を、お母さんに「ジャジャーン!」って見せちゃいました(笑)。すごく嬉しかったのと同時にやっぱりプレッシャーでしたが、現場に行ったら家光として真ん中にいなければならないと思いましたし、里見さんからは「自分の下に家臣がいて、それを背負っているんだという気持ちを大事にしなきゃいけない」と言われました。それから僕が自分のセリフをつぶやきながら練習していると、さっと里見さんが合わせて入ってきてくださるんです。

――里見さんが!?

そうなんです。本当にありがたいですよね。でもそれがプレッシャーにはならなくて、すごく優しいオーラなんです。ほかにも、スタッフさんへの振る舞いとか、現場での余裕がすごいんです。「この人についていけばいいんだ」という安心感があって。本当は主演の者が出さなきゃいけないんでしょうけど、すごく勉強になりました。

――ほかにも印象に残っている先輩を教えてください。

みなさんすごく優しかったですし、とにかく声の通りがすごく良いんです。離れていても普通に話している声がはっきり聞こえてきて(笑)。一番すごいと僕が感じたのは、柳生十兵衛役の上川隆也さんの声の通りです。役者の基礎の部分でもあるので、僕も頑張らなきゃと思いました。

■過去の役のイメージを、新しく書き換えて、どんどん更新していきたい

――ちなみに普段、撮影が終わったら脚本はどうされているんでしょう。

大切にしまっていますが、今回は特に飾っておきたいですね。すごく嬉しい気持ちが強いので。しばらく一番前に飾っておこうかな。

――京都の撮影所はいかがでしたか?

厳しいイメージがありましたが、真逆でみなさんあったかすぎるくらい温かかったです。「俺たちはファミリーだぜ」みたいな空気で。撮影が終わったときに「寂しいってこういうことなんだな」とすごく感じた現場でした。

――さて、望月さんは本格的にデビューされてから、今年10年目になるかと。心を新たにしている部分はありますか?

たくさんの役をやらせていただきましたが、いまだに『ソロモンの偽証』とか『アンナチュラル』とか、その辺で僕のイメージが止まっていると感じさせられることが多いんです。やっぱり印象が強いみたいで。それは嬉しいことではあるんですけど、でも新しく書き換えて、どんどん更新していきたいと思っています。そっか、10年かぁ(しみじみ)。でも最初のころに持っていた気持ちもまだ忘れてはいないので、そこも失わないようにしてやっていきたいと思っています。

――特に大切にしていることは?

やっぱり好きでやっているということと、作品の規模や役柄に関わらず、ひとつひとつの仕事を丁寧にやっていくことを大事にしています。

――10年重ねてきたことで、新たに見えてきたものはありますか?

目指したいものとか、目標といったものが、これまで明確ではなかったんです。こういう役者になりたいとか。ただ、最近、『孤狼の血 LEVEL2』で鈴木亮平さんを見たときに、本当に怖くて。役を超えて「本物」に見えたというか。僕もその作品、作品での、作風を含めた本物になれたらいいな、本物を目指して取り組めたらいいなと感じました。そうした目標は、ここ数年特に強く思うようになったかなと思います。

――2022年は特に主演がしたかったとのことですが、こうして大きな作品での主演を務めて成長できた部分はありますか?

実はこのところ、心的に足踏みしていた感じがあったんです。それが2022年前半からようやく抜けてきて、今ものすごく楽しく感じています。改めてひとつひとつの仕事に取り組む時間が楽しく思えるようになりましたし、先ほども少しお話しましたが、これまでは現場が終わるときに、寂しいと感じたことはなかったのが、2022年になってようやくその感覚が分かってきたというか。「その作品のチームに入っている」と強く思えるようになったのは、大きかったことだと思います。

――ありがとうございます。2023年明け最初の作品になりますが、最後にひと言お願いします。

時代劇を見たことがない人でも入りやすい作品ですが、でも本格的な時代劇で、共演者の方々も本当に豪華です。個人的に僕がすごいと思ったのは、皆さんの殺陣です。ぜひ楽しみにしていただければと思います。

■望月歩
2000年9月28日生まれ、長崎県出身。2014年WOWOWのドラマ『埋もれる』で本格的にデビュー。翌年公開された映画『ソロモンの偽証 前/後篇』にて鮮烈な印象を残す。その後も2018年のドラマ『アンナチュラル』第7話ゲスト出演で話題をさらい、続く2019年も話題のドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』や、初主演映画となった『五億円のじんせい』(19年)で高い評価を得るなど、存在感が光る若手俳優。ほか主な出演作に映画『妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』(22年)、連続テレビ小説『エール』(20年)、ドラマ『監察医 朝顔』第2シリーズ(20年)、『量産型リコ-プラモ女子の人生組み立て記-』『17才の帝国』(22年)など。

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