小栗旬主演の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)が18日、ついに最終回を迎え、北条義時の物語が完結した。稀代のストーリーテラーである脚本家の三谷幸喜氏が大河への愛を詰めこんだ本作は、最後まで視聴者の心を揺さぶった。小栗は「本当に納得のいくラストでした」と清々しい表情。大河ドラマの主演という大役を無事に完走した彼が万感の思いを語ってくれた。

  • 北条義時役の小栗旬(右)と政子役の小池栄子

平安末期から鎌倉前期において、源平合戦や鎌倉幕府誕生、執権政治に至るまでの権力争いを描いてきた『鎌倉殿の13人』。SNSでも大いに盛り上がりを見せた同ドラマだが、小栗は「毎回オンエアが終わると、その回で何らかのキーフレーズみたいなものが上がっていたことは非常にうれしかったです」と喜んでいたそうだ。また「最後は『女子(おなご)はみんなキノコ好き』というのがトレンドに上がるといいなと」と、何度も劇中で登場したフレーズについておちゃめに語った。

後半では、執権に上り詰めた義時が容赦ない粛清をしたことで「闇堕ちした」と話題を呼んだ。

「義時を演じていくなかで、僕に不快な思いや怒りを感じるお客さんが多ければ多いほど、自分は役者冥利に尽きるというか、そういうキャラクターを演じられて良かったと思いました。でも、振り返ってみてください。実は義時ってけっこういいやつだったんです(笑)。いろんなボタンの掛け違いや立場上のストレス、プレッシャーがどんどん積み重なって、今の義時に。三谷さんもおっしゃっていましたが、人間ってそんなに急に変わるわけじゃなくて、じわじわと蝕まれていったと思います」

さらに義時について「みんながみんな自分と自分の家族のことしか考えないなかで、本当の意味でどういう風に政を進めていけば、鎌倉幕府が上手く成り立っていくのかを、最初から最後まで考えていたのは、義時だけだったんじゃないかと。僕自身はそう強く思っていました」と擁護する。

また小栗は、新垣結衣演じた八重に無邪気な恋心を見せていた若き小四郎時代を振り返り「小四郎は女性に対して元々、ストーカー気質を持っている人で、その時は『気持ち悪い』と言われました(笑)。48回まで演じた感じたのは『義時が好きだ』とか『いいね』とか言われることのないままやってこられた主役という点がすごくいいなと思っていて。初めは『気持ち悪い』で、途中から『怖い』とか『ヤバイ』などに変化していきましたが、僕としてはそうした評価をもらえたことが励みになっていました」と語った。

最終回では、最後の山場といえる承久の乱が描かれた。これまで鎌倉を死守するために、非情なジャッジをくだしてきた義時だが、後鳥羽上皇が義時に対して討伐の兵を挙げたことで、朝敵となる道を選択した。

47回では、小池栄子演じる北条政子の演説により、御家人たちが立ち上がったことで、歴史が大きく動いた。

「義時は本当に、あの場では死ぬ覚悟をしたんです。自分が犠牲になる覚悟を決め、それで済むのならしれっと事を収めてしまおうと。自分にとっての天命はここで終わると感じましたが、政子による演説でまた違う形を作ってもらい、結局、官軍と戦うことになります。俺にはまだまだやらなければいけないことがあるという想いを強く抱いたんだと思います」