“リアルさ”と“細部の仕掛け”で話題、ドラマ『silent』にこめられた想い

見逃し配信の再生回数がフジテレビ全番組で“歴代最高”記録を達成した木曜ドラマ『silent』。主人公・青羽紬(あおばつむぎ)役を川口春奈が、佐倉想(さくらそう)役を目黒蓮が務めている。

【写真】切ないストーリーが話題に、ドラマ『silent』場面カット【4点】

高校時代、紬は恋人である想と幸せな時間を過ごしていた。しかし卒業後、想は突然、紬に別れを告げ、姿を消してしまった。8年後のある日、偶然、再会した2人。想は若年発症型両側性感音難聴により聴力を失っており、紬は想が自分の前から姿を消した理由を知る……。“音のない世界”で再び出会い直した2人を中心に繰り広げられる、切なくも温かいラブストーリーだ。

現在7話まで放送されているが、毎週「涙なくしては見られない」とストーリーの切なさや役者の演技力が話題を呼んでいる。また、回を追うごとに脚本の作りこみの深さにも注目が集まっている。

『silent』の脚本家は今作にて、完全オリジナル作品での脚本家デビューを果たした生方美久。新進気鋭と言われる風間太樹監督とタッグを組み、繊細な描写をリアルに表現することを実現させた。

特に驚かされたのは、ストーリーの背景に隠れる細部へのこだわりだ。例えば、想が使う手話の種類についてだが、そもそも日本の手話には「日本語対応手話」と「日本手話」の2種類が存在する。

日本語対応手話とは、日本語の文法通りに表す手話で、一般的に中途失聴者や難聴者が使用すると言われているもの。それに対し日本手話は、独特の文法体型を持っており、主にろう者(先天性の失聴者)が使うことが多い。

しかし、ドラマ内では中途失聴にあたる想が日本手話を使用している。そのため、第1話放送時は、SNS上で「想って中途失聴だよね。日本手話を使うのはちょっとおかしくない?」「想が日本語対応手話じゃないのは設定ミスかな」など違和感を覚える声もあった。

だが、第6話では想が使う手話は独学によるものではなく、偶然知り合った女友達・奈々(夏帆)から教えてもらった“プレゼント”であることが判明。奈々は、ろう者であったため、ネット上では、これが想の日本手話を使う理由なのではないかと話題になった。実際に「奈々が教えたから想は日本手話を使うのね。もしかして脚本家は視聴者のざわつきまで見越していたのか」「脚本家の生方さん、手話の種類まで考えて作っていたのだとしたら、伏線がすごすぎる」と驚きのコメントが相次いだ。

また、7話ではしゃべれるはずの想が声を発さないことについて触れられるシーンも。少数派であるがゆえに誤解されてしまうことも多く、殻に閉じこもってきた想。どうやら自分の意思で沈黙することを選択しているらしく、「もともと聞こえていたんだから、しゃべらないのは不自然では?」という視聴者の疑問に答える形となった。

このように、初出時は一見、不自然に感じられた設定すら、ストーリーが進んでいくと伏線だったのではないかと、視聴者を驚かせている同作。考え抜かれた見事な構成に思わず納得してしまった人も多いはずだ。もしかしたらそこには“あなたの普通が他人の普通とは限らない。自分の当たり前を押しつけてはいけない”というメッセージが込められているのかもしれない。

さらに作りこみの“正確さ”に対して、実際のろう者・中途失聴者からもリアルだと評判になっている。SNSでは「中途失聴当事者としては、『耳が聴こえないこと』ではなくて『あったものを失うこと』に焦点を当てていて、よくできたドラマだと思う」「音のない世界を丁寧に作っている作品。聴者・中途失聴者・ろう者の壁や葛藤が分かりやすく描かれている」などの声が寄せられていた。

初見では気づけないほどの細かい仕掛けが散りばめられた『silent』。2週間ぶりの最新話放送に向けて、様々な視点から今までのストーリーを振り返ってみてはいかがだろうか?

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