給与所得者の方が会社から提出を求められる年末調整書類の1つ「給与所得者の保険料控除申告書」は、ご自身で加入している生命保険や地震保険、天引き以外で支払った社会保険料などを申告し、税金の還付を受けるためのものです。

給与所得者の方が会社から提出を求められる年末調整書類の1つに「給与所得者の保険料控除申告書」があるかと思います。

今回は「給与所得者の保険料控除申告書」の書き方について解説します。

◆給与所得者の保険料控除申告書とは

「給与所得者の保険料控除申告書」とは、会社員などの給与所得者が、年末調整の際に生命保険料、地震保険料などの「保険料控除」を受けるために提出する書類のことをいいます。

給与所得者の保険料控除申告書は大きく4項目に分かれています

用紙は大きく4項目に分けられており「生命保険料」「地震保険料」「社会保険料」「小規模企業共済等掛金」について記入する様式となっています。

◆生命保険料控除欄と保険料控除証明書

生命保険料控除は「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3種類に分かれており、合計で最大12万円の控除を受けることができます。

加入している保険がどの種類に該当するのか、年間に払い込んだ(払い込む予定の)保険料がいくらなのかは、生命保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」に記載されていますので、それを転記します。

なお証明書には年間払い込み見込み額が記入されていますので、記入にはその額を使用します。

保険料控除証明書を転記します

◇上限額に注意する

生命保険料控除は「一般」「介護医療」「個人年金」がそれぞれ4万円、合計で最大12万円ですが、それぞれで上限額は決まっています。例えば、「一般」しか加入してない方が、それのみで12万円まで受けられるわけではありません。

また「一般」「個人年金」では、加入した時期により旧契約(平成23年までに契約)と新契約(平成24年以降に契約)に分かれており、各契約時期による上限額と、合算する場合にはそれぞれの区分による上限額があるので注意が必要です。 生命保険料控除には限度額があります

◆一般の生命保険料控除の記入例

ここからは、実際の記入方法を申請書に沿って解説していきます。

モデルケースとする国税太郎さんは、次の2つの生命保険に加入していると仮定します。

1:●●生命/養老保険/期間10年/契約者(国税太郎)、保険金受取人(妻:国税花子)/区分は新契約/年間支払い保険料25000円

2:●●生命/養老保険/期間10年/契約者(国税太郎)、保険金受取人(妻:国税花子)/区分は旧契約/年間支払い保険料80000円

生命保険会社からの「保険料控除証明書」をもとに上記情報を転記します。

次に新契約に該当する保険料の合計額を(A)欄に、旧契約に該当する保険料の合計額を(B)欄に記入します。

モデルケースでは新契約保険、旧契約保険は各1つですので各年間保険料をそのまま(A)欄に25000円、(B)欄に80000円と記入します。

生命保険料控除証明書をもとに新契約と旧契約それぞれを転記します

◇新・旧契約に応じて控除額を計算する

次に、新契約保険料合計額(A)欄、旧契約保険料合計額(B)欄から、それぞれの控除額を計算します。計算には申告書下部にある計算式を使いますが、新契約には「計算式I(新保険料等用)」を、旧契約には「計算式II(旧保険料等用)」を使いますので間違わないようにしてください。

それぞれの控除額は以下となります。

・新契約控除額:25000×1/2+10000=22500円

・旧契約控除額:80000×1/4+25000=45000円

新契約と旧契約それぞれで控除額を計算します

控除額を計算したら、新契約については(1)欄に、旧契約については(2)欄に記入したうえで(1)欄と(2)欄の合計額を(3)欄に記入します。合計する際の控除額上限は4万円ですので、注意してください。

つまりこのケースでは(1)欄が22500円、(2)欄が45000円であり、合計は67500円です。しかし上限額が4万円なので、(3)欄は40000円となります。

最後に(2)欄と(3)欄を比べて大きい額を(イ)欄に記入します。モデルケースでは(2)欄が大きいので(イ)欄は45000円となり、最終的にこの額が一般の生命保険で受けられる控除額となります。

ちなみに今回のケースでは、新契約と旧契約の合計で控除を受けるより、旧契約のみで控除を受けた方が、控除額は大きくなり税負担が少なくなります。申告書を手順に沿って記載していけば、納税者に有利になるよう作られていますので、新旧契約を合わせるかどうか悩む必要はありません。

◆介護医療保険控除の記入例

モデルケースの国税太郎さんは、以下の介護保険に加入されているとします。

1:●●生命/介護保険/期間10年/契約者(国税太郎)、保険金受取人(妻:国税花子)/年間支払い保険料80000円

先ほど同様、「保険料控除証明書」の情報をもとに年間保険料を(C)欄に記入します。なお、介護医療保険が複数ある場合は年間保険料の合計額を記入します。

そののち、(C)欄の金額をもとに、申告書下部の「計算式I(新保険料等用)」を用いて控除額を計算します。

介護医療保険控除額:80000×1/4+20000=40000円

(ロ)欄には40000円と記入し、これが介護医療保険で受けられる控除額となります。

保険料控除証明書をもとに介護医療保険料から控除額を計算します

◆個人年金保険控除の記入例

モデルケースの国税太郎さんは、次の2つの個人年金保険に加入しているとします。

1:●●生命/○○年金/期間30年/契約者(国税太郎)、保険金受取人(国税太郎)/区分は新契約/年間支払い保険料90000円

2:●●生命/○○年金/期間30年/契約者(国税太郎)、保険金受取人(国税太郎)/区分は旧契約/年間支払い保険料30000円

手順は、一般の生命保険料控除の際と同じです。

まずは「保険料控除証明書」に書かれている内容を転記します。そののち、新契約に該当する個人年金保険料の合計額を(D)欄に、旧契約に該当する個人年金保険料の合計額を(E)欄に記入します。

モデルケースでは新契約保険、旧契約保険は各1つですので、各々の年間保険料をそれぞれの合計額として(D)欄に90000円、(E)欄に30000円と記入します。

生命保険料控除証明書をもとに個人年金保険も転記します

◇新・旧契約に応じて控除額を計算する

次に、新契約には「計算式I(新保険料等用)」を用いて、旧契約には「計算式II(旧保険料等用)」を用いて、それぞれ控除額の計算をします。そののち、新契約の控除額は(4)欄に、旧契約の控除額は(5)欄に記入します。

・新契約控除額:90000(80001円以上は一律40000円)=40000円

・旧契約控除額:30000×1/2+12500=27500円

次に(4)欄と(5)欄の合計額を(6)欄に記入します。(6)欄記入の際は、新契約と旧契約を合計する場合の控除額上限が4万円であることに注意してください。

新契約と旧契約では計算表が異なる点に注意が必要です

モデルケースでは、新契約控除額(4)欄は40000円、旧契約控除額(5)欄は27500円であり、合計額は67500円になりますが、上限額は4万円なので(6)欄には40000円と記入します。

最後に(5)欄と(6)欄を比べて、大きい額を(ハ)欄に記入します。モデルケースでは、(5)欄が大きいため(ハ)欄には40000円と記入し、この額が個人年金保険で受けられる控除額となります。

◆最終的な生命保険料控除額はいくら?

これまで「一般」「介護医療」「個人年金」それぞれの種類ごとの控除額を計算してきましたが、最終的な生命保険料控除はその合計額になります。ただし前述したように、生命保険料控除額の上限は12万円であり、それ以上は控除を受けられません。

モデルケースでは「一般(イ)欄」45000円+「介護医療(ロ)欄」40000円+「個人年金(ハ)欄」40000円の合計額は125000円ですが、限度額が12万円ですので、このケースでは最終的に受けられる生命保険料控除額は120000円となります。

一般の生命保険、介護医療保険、個人年金保険の控除額を合算します(限度額12万円)

◆まとめ

いかがでしたでしょうか。一見すると難しく見える保険料控除申告書ですが、保険会社から送られてきた保険料控除証明書をもとに順を追って記入していけば、最終的に正確な控除額が算出されるのが分かるかと思います。

なお「保険料控除証明書」は10月頃に、加入している各保険会社から順次郵送されるかと思いますので、年末調整までなくさないようにしてください。

文:川手 康義(ファイナンシャルプランナー)

CFP・1級FP技能士。製薬会社に勤務し、お金にも詳しいMR(医薬情報担当者)として活躍。日本FP協会に所属しており、協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営活動にもボランティアとしてかかわる。

文=川手 康義(ファイナンシャルプランナー)