実写映画「耳をすませば」ジャパンプレミアの様子。左から平川雄一朗、荒木飛羽、安原琉那、清野菜名、松坂桃李、内田理央、中川翼、住友沙来。

柊あおい原作による実写映画「耳をすませば」のジャパンプレミアが、本日9月28日に東京・イタリア文化会館 アニェッリホールで開催された。

1989年にりぼん(集英社)で発表され、1995年にスタジオジブリがアニメ映画化した「耳をすませば」。10月14日に公開される実写映画は、原作に基づいた「あの頃(過去)」とオリジナルストーリーの「10年後(現在)」で構成される。本日のジャパンプレミアには大人になった月島雫を演じる清野菜名、天沢聖司を演じる松坂桃李、原田夕子を演じる内田理央、中学時代の雫を演じる安原琉那、聖司を演じる中川翼、杉村竜也を演じる荒木飛羽、夕子を演じる住友沙来、監督の平川雄一朗が登壇した。

同作の撮影は2020年の3月に始まり、2022年の5月に終了。コロナ禍での撮影中断、公開延期を経て2年越しに公開される。清野は「撮影が止まってしまった間にもほかの作品には参加していたんですけど、雫ちゃんがずっと頭のどこかに必ずいて。クランクアップのときは2年前と同じスタッフの皆さんが集まっていて、そのことにすごく感動しました」と涙があふれたことを明かす。

スタジオジブリのアニメ映画が大好きだという松坂は、聖司役のオファーに「プレッシャーに押しつぶされそうでした。でも設定を聞いて、雫と聖司の10年後を見られるのかと興味が大きくなって、背中を後押ししてくれる原動力になりました」とコメント。聖司を演じるうえで大切にした部分については「原作やアニメで見ていた聖司くんから、少し幅が広がった一面が台本には書かれていて。『プロになるよ!』と雫と約束してから、その壁に思い悩む不安や葛藤、揺れ動く気持ち。そこを大事にして、天沢聖司の新たな一面をちゃんと表現できるんじゃないかと思いました」と話す。

内田からは撮影の楽しげな様子が語られ、「菜名ちゃんと山田(山田裕貴)くんと原作の話をしていたときに、山田くんが私たちの知らなかった盛大なネタバレをしてしまって、菜名ちゃんと2人で怒ったということがありました。山田くん、お詫びに焼き肉に連れて行くよって言ってくれたので、もしこれを見ていたらみんなを焼き肉に連れて行ってください」とアピール。清野も「いつ連絡くるのかな?って思ったまま、2年半経っちゃいました。ぜひよろしくお願いします」と呼びかけた。

中学時代の登場人物を演じるキャスト陣は、綿密なリハーサルを重ねてから撮影に臨んだそう。安原は「雫と向き合う時間をたくさんいただいて、監督から厳しくも優しく背中を押していただきました。雫は感情が豊かなので、私も常に心を弾ませて演じて雫になることができたと思います」と振り返る。中川はチェロを弾く際に松坂の演技を参考にしていたとのことで「桃李さんが弾いているときに、雫のほうに目線をクッと上げるんです。そこをできるだけ忠実にまねていました」と回想。平川が「そのときカメラマンがなんて言ったんだっけ?」と振ると、中川は「今、松坂桃李に見えたよ」と少し得意げに答える。その言葉に、横の松坂も満面の笑みを見せていた。

同作ではイタリアも舞台となっていることから、日本とイタリアの親善の印として、映画でも重要なモチーフとなる紳士風の人形・バロンがイタリア文化会館に贈呈されることに。キャストを代表して清野がバロン人形を館長のシルヴァーナ・デマイオ氏に手渡した。最後に松坂は「皆さん、期待していただいていいです! それぐらい自信のある作品になっております。公開まで少し時間はありますので、多くの方に皆様の言葉で伝えていただけると幸いです」と挨拶。清野は「2年半の思いがギュッと詰まってます。原作をリスペクトした青春シーンもちりばめられていてキュンキュンできると思います。ぜひ楽しんで観てください」と言葉を送った。

(c)柊あおい/集英社 (c)2022『耳をすませば』製作委員会