女優の飯豊まりえが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、同番組のナレーション収録に初めて臨んだ。担当したのは、27日に放送される『母と娘の芸者物語 ~箱根で生きる女たち~』。コロナ禍というかつてない危機に直面した箱根の芸者たちを追った作品だ。

同じ芸能という仕事だけに、共感する部分もあったという飯豊。彼女たちが舞台では見せない裏側の姿から、「ちょっと経験してみたいなと思いました」と言うほど、芸者の世界に興味がわいたそうだ――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した飯豊まりえ

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した飯豊まりえ

■母娘の関係性が「すごく素敵」

番組に登場する芸者は、母親が経営する置屋から独立する予定だったが、コロナ禍で収入が途絶え、目標を失ってしまった茶々さん(32)。そして、アメリカから帰国して、元芸者の母親のような売れっ子になりたいと意気込むが、稽古の成果を披露する場がない、るかさん(20)だ。

彼女たちの姿に、「私も映像を通して演じたり、人に元気を与えたりするお仕事で通じる部分があったので、普段見ることのできない芸者さんの裏側や人柄にふれることができて、すごくいい時間でした」という飯豊。

コロナ禍での苦境を見て、「練習してきたものを、どこに昇華したらいいんだろうっていう気持ちが、見ていてすごく心苦しく思いました。でも、緊急事態宣言から少しずつ落ち着いてきたときに、お座敷の話が来て、これは“芸者を続けなさい”と導かれているのかなと感じて、みんなの思いがかなっているようにも見えました」と印象を話す。

ナレーションを読む中で、思わず「見入っちゃった(笑)」と、語り出しのタイミングを逸してしまう場面もあったが、特に印象に残ったというのは、母娘の関係性。「距離が近いからこそ信頼できて、甘えられる部分もある先輩が近くにいるのがいいなと思いましたし、お母様が昔着ていたお着物を受け継いで舞台に立つというのも、すごく素敵だなと思いました」と憧れを語る。

また、お座敷やイベントが入らない日々が何カ月も続いても、笑顔を絶やさず明るく振る舞う母親たちの姿があったが、「私も、良いものも悪いものも自分で引き寄せるものだと思うので、自分の機嫌は自分で取るということは、心がけているかもしれませんね」と共感した。

  • 茶々さん(左)と母親 (C)フジテレビ

■デビュー15年目で充実の日々「何でも継続」

母親に言われて芸者になったという茶々さん。当初は客に話を合わせることができず、苦しい思いをしたこともあったというが、続けることで道がひらけた。翻って、今年デビュー15年目を迎えた飯豊も「何でも継続だと思います」と力を込める。

このタイミングで、『ちむどんどん』(NHK)、『ヒル Season2』(WOWOW)、『君と世界が終わる日に』(日本テレビ/Hulu)、『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ)、『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~』(読売テレビ)と出演作が続き、「OAではNHKで恋愛して民放で恋愛してという感じで、撮影はゾンビからサバイバルしながら恋愛をやってました(笑)。たまたま重なったんですけど、振り幅のある役になってますね」と充実の日々を送っている様子。

そんな中で舞い込んだ今回のナレーションは、「ずっとマネージャーさんが“『ザ・ノンフィクション』を目指しましょう”と言ってくれて、自分の中でもナレーションというのは誰かの人生の一部に寄り添えるような好きな仕事なので、参加できてうれしかったです」と笑顔を見せた。

■芸者=水商売のイメージは「全くない」

改めて、今回のドキュメンタリーの見どころについて、「箱根の芸者さんの今のリアルタイムな姿を見られる機会はなかなかないと思います。お仕事と家の行き来だけだと、どこか孤独に感じてしまうと思うのですが、他の人の仕事をしている姿だったり、その裏側で生活している姿を見ると、『自分も頑張ろう』と日々の活力になると思うので、皆さんに寄り添ってくれるような時間になると思います」と紹介。

番組で密着した芸者たちと実際に会ってみたいかを聞くと、「自分で着付けして、お客さんとお話しして、踊って…というのがすごく楽しそうだと思って、むしろちょっと経験してみたいなって思いました。(芸者になるにあたって交際相手と別れた)るかさんが『やっぱり水商売っていうのが頭にあって、彼氏がホストとかだったら嫌だから、私がやられて嫌なことはしたくない』と言ってたんですけど、私には全くそんなイメージはなくて、興味がわきました」と話し、「これからどんどんお座敷の機会も増えて、また活気が出たらいいなと思います」と願った。

  • るかさん(左)と母親 (C)フジテレビ

●飯豊まりえ
1998年生まれ、千葉県出身。08年、「avex kids×ニコ☆プチ公開モデルオーディション」でグランプリを受賞し、雑誌『ニコ☆プチ』でモデルデビュー。現在、『Oggi』の専属モデル、『MORE』のレギュラーモデルを務める。女優業でも幅広く活躍しており、主な出演作にドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』(TBS)、『家政夫のミタゾノ』第4シリーズ(テレビ朝日)、『岸辺露伴は動かない』(NHK)、『君と世界が終わる日に』(日本テレビ/Hulu)、『ひねくれ女のボッチ飯』(テレビ東京)、映画『暗黒女子』、『いなくなれ、群青』、『惡の華』、『シライサン』、『くれなずめ』など。今年は連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK)、『ヒル Season2』(WOWOW)、『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ)、『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~』(読売テレビ)に出演し、12月には『岸辺露伴は動かない』第3期の放送が控える。