「GDP」コロナ前の水準に回復、それでも“楽観視”できない理由とは?
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。8月17日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「今年4月~6月の『GDP』コロナ前の水準に回復」。学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。

※写真はイメージです

内閣府が8月15日(月)に発表した、今年4月~6月期の「国内総生産(GDP)」の速報値によると、物価変動の影響を除いた「実質GDP」は、今年1月~3月期に比べてプラス0.5%でした。

このペースが1年間続くと仮定した「年率換算」ではプラス2.2%で、3期連続のプラス成長となりました。

また、4月~6月の「実質GDP」の金額は年換算で542兆円。2019年10月~12月期の540兆円を超え、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を回復しました。

◆3期連続のプラス成長の理由は?

塚越:まず、「国内総生産(GDP)」を非常に簡単に説明すると、国の経済の状況や経済規模を示すものですね。この「GDP」の半分以上を占める「個人消費」が、前期比で1.1%増えています。東京では3月下旬に「まん延防止等重点措置」が解除され、ゴールデンウイークや、今夏のさまざまな休みも3年ぶりに制限がないということで、旅行や外食など個人消費の機会が増えているということです。

また、個人消費のなかでも衣服などの「半耐久財」は3.9%ほど伸びています。なので、基本的にはコロナが落ち着く、あるいは、そうでなくとも「ウィズ・コロナ」を受け入れることで消費が再開していることが、今回、伸びている大きな要因かなと思います。

他にも、デジタル化促進のために企業の「設備投資」がおこなわれたことでプラス1.4%、公共事業などの「公共投資」がプラス0.9%、「輸出」は金属製品や鉄鋼などが伸びてプラス0.9%でした。

ただ、資材の高騰などもあって「住宅投資」は1.9%減で、4四半期連続のマイナスになっているということですね。

◆4月~6月「GDP」、コロナ前の水準に回復した理由は?

塚越:先ほど申し上げたように、基本的には行動制限が全面的に解除されて、「これまで制限されていたことをしよう!」ということで、旅行や外食などのサービス消費が増えたことと、企業の設備投資が増えたことが大きな要因かなと思います。

山際大志郎経済再生担当大臣も記者会見で、「景気が緩やかに持ち直している」と述べています。ただ、同時に「コロナや物価高といった不確定要素もありますので、政府としては万全の態勢を取って、支援を切れ目なく続けることが必要だ」とも述べています。

ユージ:この4月~6月の「GDP」、塚越さんはどのようにご覧になっていますか?

塚越:感染者が非常に増えているのですが、日本社会としてはウィズ・コロナを受け入れつつあるということなので、それで成長することは当然なのかなと思っています。

ただ、重要なのは、「GDP」は前期比年率2.2%増ですが、貿易などの条件の変化を加味した「国内総所得(GDI)」は、前期比年率1.2%減です。つまり、国内での生産が増えても、輸入など、さまざまな貿易関係を調整して、これを踏まえると、実質的に日本の所得が下がっているということなんです。この点は、よく理解しなければなりません。

なので、例え賃金が増えたとしても、それ以上にモノの価格が上がっているのが、私の生活実感でもあります。そういう意味で、実質的な生活所得は少し厳しくなってきているという感じですね。

ユージ:次の四半期、7月~9月の「GDP」がどうなるかが気になります。新型コロナウイルス「第7波」の影響が出てくるのでしょうか?

塚越:「第7波」では、政府が行動制限をしていないので、これまでのような消費の落ち込みはないのでは? と考えられています。実際、お盆の帰省ラッシュなどもあったので、7月~9月の「GDP」も増加すると考えられています。

ただし、これはコロナの回復期にみられる傾向であって、今後どうなるか、なかなか楽観視はできないですよね。特に資源高騰、物価高といった影響、また、先ほど述べた「国内総所得(GDI)」についても引き続き注目する必要があるのではと思います。

また、「海外と比較すると日本の景気回復は遅い」という指摘もあります。例えば、アメリカの昨年4月~6月期の段階で、既にコロナ前の水準を超えて回復しています。しかし、アメリカは現在、大変なインフレになっていて、その対策で大幅な利上げをした結果、「GDP」は前期比年率0.9%マイナスになっているんです。

そう考えると、コロナの回復もあって、日本で一時的に消費が伸びているものの、アメリカなどの事例や長期的なスパンで見ると、先行きは不透明です。もちろん、国内のさまざまな条件もあると思うのですが。

なので「GDP」が上がったことは良いことなのですが、楽観視はできないということは覚えておいていただきたいかなと。

ユージ:アメリカの例を見ると、急激に「GDP」が上がることは、決して喜ばしいことではないのかもしれない。少し様子を見て、段階的に……っていうのが必要なんですかね。

塚越:そうですね。様子を見ながら……ということも考えたほうがいいかもしれませんね。

番組名:ONE MORNING

放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00

パーソナリティ:ユージ、吉田明世

番組Webサイトhttps://www.tfm.co.jp/one/