『ONE PIECE FILM RED』名塚佳織が田中真弓との共演で感じた「贅沢な時間」

現在大ヒット上映中の『ONE PIECE FILM RED』。原作者・尾田栄一郎が総合プロデューサーを、『コードギアス』シリーズなどを手がけた谷口悟朗が監督を務めたFILMシリーズ第4作は、公開から10日で観客動員数500万人、興行収入が70億円を突破し、これまでのシリーズ史上最大の動員・興行収入を樹立するなど、大きな話題を呼んでいる。

世界で最も愛されている歌手・ウタを中心に描かれる本作のドラマは、彼女が ”シャンクスの娘” であると明かされた時から大きくうねり始め、心震わせるライブと激しいバトルをまじえながら怒涛のクライマックスへと突き進む。モンキー・D・ルフィ役の田中真弓さん、ウタ役の名塚佳織さんは本作にどう向かい合ったのか、お話をうかがった。

▲(左から)ウタ役・名塚佳織さん、ルフィ役・田中真弓さん 撮影/大山雅夫

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――本作の台本を最初に読まれたときの感想をお聞かせください。

田中 最初に「RED」と聞いた時からシャンクスのことだとわかったので、シャンクスがどのように登場するんだろうと思いながらドキドキしました。シャンクスが出るのって本当にすごいことなので、台本を読んで「なるほどね~」と思いました。

――3年ぶりに劇場版をやると聞いたときは、どう思われましたか?

田中 このコロナ禍で『ONE PIECE』で関わる人たちと、なかなか会えなくなっちゃったんですよ。尾田先生も含めてみんな宴会好きなメンバーだから、親戚の寄り合いみたいに何かと集まったりして、映画もそういうイベントのひとつとして当たり前のように数年に1回は来るものだったんですよね。

でも、今はその考え方が変わりました。ひとつ終われば「また次も頑張ろうね」っていう感じだったけど、それが当たり前に来るものと思うなよ、みたいな。だから、こうして新作が作られたことが素直に嬉しいし、今までとは意識が変わった大事な1本になりましたね。

――名塚さんはウタ役が決まったとき、どんなお気持ちでしたか?

名塚 オーディションに受かったと連絡を受けた時は、信じられなさすぎて夢かなと思いましたね。その後、資料としてAdoさんの歌の音源をいただいたり、谷口監督と打ち合わせをさせていただいたりして実感してきた感じでした。

ウタはシャンクスの過去やルフィとの関わりが深いので、責任重大だなと思いましたし、とにかく本作の魅力を存分に表現できたらという気持ちで挑ませていただきました。

――TVシリーズでは、ソランというオリジナルキャラクターで出演されたことがありましたね。

田中 そうだよね、出ているんだよね。

名塚 そうなんです。TVシリーズに出させていただいた時も、もちろん楽しかったんですけど、今回は改めて映画で、しかもメインの役をやらせていただき、すごく嬉しかったですね。『ONE PIECE』は大好きな作品なので、より一層ウタを演じられてよかったと思っています。

――今回のルフィとウタについて、どんなところに面白さや魅力を感じましたか?

田中 今回のルフィは無闇に戦うわけではないので、そこにいつもとはちょっと違うカッコよさがありますね。あと、ウタが「シャンクスの娘」って聞くと、どうしても「何で今まで話題に出てこなかったの!?」って思っちゃうんだけど(笑)。

名塚 ウタの魅力は、シャンクスと同じように気持ちが強いところですね。自分の意思がハッキリしていて、やりたいことを貫こうとする強さを持っている。でも、天真爛漫さとか純粋な真っ直ぐさとか、可愛らしい少女の部分もあります。ただ、ちょっと頑固で自分の思いを貫くところは父親譲りなのかなって。

しかも、その強さと優しさは自分のために使うのではなく、みんなのために世界を変えたいと願っている。自分のことは二の次にする考え方も、シャンクスから学んできたことなのかなと思いましたね。

(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

――では、二人のシーンで印象的だったところは?

田中 あれですね。子ども時代のルフィとウタのチキンレースのシーン。

名塚 私もそこですね。

田中 あそこはすっごく動きが早いので、まったく画面を見ずに名塚ちゃんの顔を見ながらアフレコしました。タイミングを合わせるのが難しいので、名塚ちゃんについていこうと思って……。

名塚 私が画面に合わせるところを見て、真弓さんが合わせてくださるという形で一緒にやりましたね。楽しかったです。

――そうした田中さんとの共演と通して、名塚さんはどんなことを感じましたか?

名塚 真弓さんの本番へのエンジンのかけ方は、もう流石としか言いようがないです。真弓さんとは『ONE PIECE』以外でもご一緒させていただいているので、お仕事への姿勢はもちろん知っていましたけれど、ルフィに関してはより一層強く感じると言いますか……。キャラクターがしっかり構築されていますし、本番に気持ちをうまく持っていくための準備としてテストをされているところが、本当にプロフェッショナルだと感じます。

テストでいくら頑張っても本番でうまくやれなかったり、声が潰れたりしたら意味がないので、そこにベストな状態を持っていく自己管理も含めての”表現”がすごいなと、一緒に収録させていただいて改めて感じました。本当に贅沢な時間だったと思います。

――二人が慕うシャンクスは大海賊ですが、ルフィやウタとの関係性をどのように感じましたか?

田中 シャンクスがルフィやウタを思う気持ちには、ちゃんと愛情があったんじゃないかな。何かを与えた分、俺に返してくれとは思ってないだろうし。普通の親子とは違うけど、そういう関係性みたいなものを今回は描きたいのかなと思いました。

名塚 シャンクスにとってのウタとルフィって、一緒に船に乗っている仲間とは明らかに違う存在で、まだまだ知らない世界が多い子どもだけど、すべてを伝えるというよりは今必要なものだけを教えようとしていたのかなと。必要のないことは見なくてもいい。

ウタに関しては、ちょっと失敗してしまった部分もあるけど、そこにシャンクスの温かさというか優しさが出ているような気がしました。

――では、劇場版シリーズについて、田中さんはどんなことを思われますか?

田中 今回こういう話で行くと次の映画はどうなるんだろう……と、余計なお世話ですけど毎回思っちゃいます(笑)。原作的に触れてはいけないこともたくさんあるので、難しいですよね。

私は『ONE PIECE』ってルフィの人生を描く大河ドラマだと思っていて、やっぱりルフィがこの作品の ”太い幹” ですから、どんな面白い話でもルフィにはちゃんとそこにいてほしいですね。映画を作る人たちは、あの手この手でいろいろと考えてくれるので、これからも楽しみにしています。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

田中 『ONE PIECE』における兄弟とか親子って、仲間のことを「家族」と呼ぶ白ひげ海賊団のように、血のつながりがない者同士の関係がすごく大事だったりするわけです。

そういうことって皆さんの身近にも絶対にあるはずなので、今回の『ONE PIECE FILM RED』を観て「家族って何かしら?」ということを、本当の家族で話し合っていただけたらなと思います。

名塚 本当に家族の形って、捉え方ひとつで人それぞれの考え方があります。あと家族であっても、お互いに気持ちを言葉にするのって大事だなと、

私もこの作品を通して改めて感じました。相手がわかってくれているだろうと勝手に思い込むのではなく、しっかりと自分の思いを伝える。そういうことの大切さみたいなものを感じたので、大事な人と会話するきっかけに、この作品がなってくれたらいいなと思います。

(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会