バールのようなものって何?政府筋って誰?ニュース用語の基礎知識!

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ニュースで使われる言葉には独特のものが多い。よく耳にするけれども本当の意味を知らない言葉もあるものだ。7月24日放送の『そこまで言って委員会NP』ではそんな言葉の意味を『ニュース用語の基礎知識』と題して解説した。



まず、事件ニュースによく出てくる“バールのようなもの”とは何だろうか?ニュース解説の専門家でもある番組秘書・野村明大アナによると、金庫破り事件などで犯行に使われた道具が見つかっていない場合、警察は記者に「バールのようなものが使われた」と説明するという。それをそのままニュースで伝えるのでよく耳にするようになったそうだ。“ようなもの”と言ってしまうと、バールそのものではないことになってしまうので、「バールか、バールのようなもの」がより正確ではないか?との突っ込みもある。



政治に関するニュースによく出てくる“政府首脳”や“政府筋”という言葉も謎だ。結局誰のことなのか。名前を出さずにこんな言い方をするのはなんだか怪しい。



そこで番組から論客たちへの質問は「政府筋の情報を信用できるか」というもの。

今回初出演の長野智子氏(キャスター・ジャーナリスト)は具体的な例を出して「信用できない」と回答。

「去年の広島の平和記念式典の時に、菅総理が挨拶状を、ページを飛ばして読んでしまい、なぜ飛ばしたのかという話になった。ニュースでは“政府筋”の話で、『のり付けされていた。事務方のミスである。』と伝えられた。 そんなことあるのかな、とみんな思った。するとジャーナリストの女性が、総理は挨拶文を壇上に置いてその場から去ったので、広島市が保管しているのでは?と気づき情報公開請求した。それを確認するとのり付けは全くされてない綺麗な挨拶文だった。結果的にそのニュースは間違っていたということだ。この件に関して某通信社に問い合わせたところ、『政府関係者が言ったことをそのまま報じたので間違いではない』と答えたという。しかし“事実”ではない。“政府筋の話”とは、そういう風に伝えるから、信用できない。」

報道で事務方のミスとは伝えられたこの件、実際にはのり付けがなかった、ということはあまり伝わっていない。重要な話だ。



門田隆将氏(作家・ジャーナリスト)がこれに続く。

「記者たちの怠慢による産物だ。要するに政府の人が言ったことをそのまま右から左に報じている。 裏取りしないといけない。その作業を怠り、非常に楽な商売をしている。」と手厳しい。

須田慎一郎氏(経済ジャーナリスト)が経験から語る。

「自分は20代の頃、数年間新聞記者をやっていた。実は“裏取りしない”のが記者。担当記者、番記者というのがあって、相互の信頼関係、持ちつ持たれつもたれあい、の構図がある。のり付けなんかされてないだろうと思っても、そう書くことで情報を流した相手に対して貸しを作る。そんな閉鎖的な状況の中で『のり付けされてなかった』と書いたら次からオフレコ懇談に呼ばれなくなる。」



番組議長・黒木千晶アナがメディアの立場として補足する。

「職業倫理として取材源の秘匿が大前提。先ほどのブラックアウト(大規模停電)の議論の中で須田氏が“電力会社によりますと…”と言っていたように、取材先との関係もある。」

ところが須田氏が「だから$#*@●◇(放送ではサイレンが鳴った)って言えない。」とどうやら実名を出したようで、黒木アナが目を丸くした。



論客たちの意見が飛び交う中、今回初出演の読売テレビ・諸國沙代子アナは「信用できる」としつつ「しかし、“とある球団関係者”は信用できないことも・・・」と回答。

熱烈な阪神ファンとして知られる諸國アナ。「“とある球団関係者”の名で球団内の不協和音を報じるのは腹立たしい。」と熱弁をふるうなか、須田氏が「最近、矢野監督に関しては多い。」と実名を出して一同爆笑した。



ここで竹田恒泰氏(作家)が「“政府筋”とは事務次官か?」と聞くと須田氏が解説。

「いや、内閣官房副長官。元々は、歴代最高の副官房長官と呼ばれた石原信雄氏に与えられた名称だった。」と須田流解説。

竹田氏がさらに「事務次官はなんと呼ぶのか?」と聞くと口々に解説しようとする。

門田氏によると「“首脳”を使う。“その省の首脳によれば”とか。わざと変える場合もある。曖昧にするため。」だそうだ。

最後に黒木アナが締める。

「様々なご意見があると思うが、職業倫理としては取材源の秘匿というのはあり、それでも少しでも記者たちが分かりやすく情報を伝えたいと思っていることだけは、皆さんに伝えたい。」

今回の議論を参考に、ニュースに“政府筋”“政府首脳”などと出てきたら、その裏にある意図を自分なりに読んで受け止めようと感じた。



【文:境治】