連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか)で、黒島結菜演じるヒロイン・比嘉暢子ら4兄妹の母・優子役を演じている仲間由紀恵。仲間は黒島と同じく沖縄出身者で、本土復帰50年を迎えた沖縄が舞台の本作に特別な思いをもって参加している。本作に出演し、故郷の沖縄に対してより一層いろいろな思いを抱いたという仲間に話を聞いた。

  • 『ちむどんどん』比嘉優子役の仲間由紀恵

沖縄料理に夢をかける暢子をはじめとする4兄妹の奮闘が描かれている本作。上京して料理人となった暢子(黒島)、お金のトラブルが多い長男の賢秀(竜星涼)、結婚して母になった長女の良子(川口春奈)、引っ込み思案で病弱な歌をこよなく愛する歌子(上白石萌歌)という4人の子供たちを、夫・賢三(大森南朋)亡きあと優子は女手一つで育てあげてきた。第15週ではついに優子が過去に経験した壮絶な戦争体験が描かれた。

仲間は、『ちむどんどん』の出演が決定した当時を振り返り「沖縄が舞台で、1964年ぐらいから現代までという長い期間のお話ということで、沖縄のどういう歴史や文化をチョイスした朝ドラになるのかなと思っていました。今回は戦争の話にも触れるということで、しかもある意味、私がその語り部のような役割を担わせていただくことはとても光栄でした。自分にとっても意味のあることだと思い、一生懸命取り組ませていただきました」と述懐。

優子が自身の戦争体験を家族に話すシーンについて、「あの辺りのシーンは、共演者のみんなも心をこめて演じようと、いつもとは少し違う雰囲気で、スタジオに入ってこられた気がします」と撮影を振り返る。

また、しっかりと描きこまれた戦争体験のシーンについて仲間は「そこを具体的に演じていいんだということにちょっと驚きました」と言う。「そういう部分をリアルに感じてもらうためには、あのくらいグイッと踏み込んでいただいた方が伝わるのかなとも思いました。また、脚本の羽原(大介)さんや、制作統括の小林(大児)さんなど、作り手の方々が抱く沖縄への愛情や、そういうものを伝えたいという思いは、台本を読んだ時にも感じました」と深く受け止めたそうだ。

そして「沖縄への思いは、このドラマに携わってからより強くなってきました」という仲間。「本作に携わるにあたり、戦争や沖縄のことを少し勉強させていただいたのですが、改めてそういう過去を忘れてはいけないなと思いました。だからまずは『ちむどんどん』を観て沖縄を好きになっていただき、興味を持ってもらって、そのなかで戦争の話にも触れてもらい『こういう歴史を忘れちゃいけない』と思っていただければと。今の沖縄が一番いいんじゃなくて、みんなでこれからもっと沖縄を良くしていきたいと、個人的には願っています」

この先、暢子の結婚にまつわるエピソードも描かれていくとのことで、その見どころについても語ってもらった。「暢子にとって結婚がゴールではないんです。暢子は料理人として修業をしたい、成功したいという気持ちで上京してきたから、その夢を結婚によって諦めるのかどうかというところが描かれます。結婚してお仕事をやめてしまう方もいらっしゃると思いますが、現代は働くママさんたちの時代でもありますので、暢子がどんな道をたどっていくのかを、ぜひ観ていただきたいです」

また、「他の兄妹たちも同じで、良子も子供を産んで、育てていくことで成長していきます。母としての良子、女性として、妻としての良子がどんなふうになっていくのかを見ていただきたい。そして皆さんも気になるニーニー(賢秀)に関しては、フーテンの寅さんのようにいろんなところにふらふらと現れて私たちを驚かせてくれるので、そこを楽しみにしていただきたいです。そして、末っ子の歌子も年頃にもなってきて、いろんな展開が待ち受けています。それぞれの人生を進んでいくので、どうか兄妹の成長を見守っていただきたいです」

■仲間由紀恵(なかま・ゆきえ)
1979年10月30日生まれ、沖縄県出身。1995年にドラマ『日本一短い母への手紙2』で女優デビュー。主演を務めた『TRICK』シリーズで注目され、その後も主演ドラマ『ごくせん』で人気を博し、『相棒』シリーズにも長きにわたって出演。NHK大河ドラマは『功名が辻』(06)で主演を務めた。NHK連続テレビ小説は『天うらら』(98)、『花子とアン』(14)に続き、『ちむどんどん』で3度目の出演。映画の近作は『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』(22)、『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』(22)が現在公開中。

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