ひとり親、特に母子家庭の生活は相変わらず苦しい状況が続いています。母子家庭同様、その厳しさが認識されるようになってきた父子家庭も含め、現状を見てみましょう。

ひとり親、特に母子家庭の生活は相変わらず苦しい状況が続いています。父子家庭も含め、現状を見てみましょう。

◆母子家庭の8割は離婚が原因

5年に1度実施される、厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査の結果(平成28年度)」(2022年7月時点で最新)によると、20歳以下の子がいる「母子家庭」は123.2万世帯で、「父子家庭」は18.7万世帯。母子家庭と父子家庭を合わせたひとり親家庭は141.9万世帯に上ります。

ひとり親世帯となった主な理由は次の通りです。

◇母子家庭

離婚:79.5%

死別:8.0%

その他

◇父子家庭

離婚:75.6%

死別:19.0%

その他

母子家庭では79.5%と8割近くが離婚が原因で、死別は8%ですが、父子家庭では離婚が75.6%と低めな分、死別でひとり親になった割合が19%と母子家庭より高めです。

◆核家族ひとり親は女性で7割超

ひとり親世帯の親の平均年齢は、母子家庭で41.1歳、父子家庭で45.7歳と、父子家庭の方が5歳高くなっています。ひとり親世帯の末子の平均年齢は、母子家庭で11.3歳、父子家庭で12.8歳と、やはり父子家庭の方が高くなっています。

また、親と同居している割合は、母子家庭で27.7%、父子家庭は44.2%と、父子家庭の方が多くなっています。父子家庭の場合、家事や育児で親の世話になっているケースが多いのではないかと想像します。

◆母子家庭の就業率8割。半数以下がパート等

仕事をしている割合は、母子家庭は81.8%で、パート・バイトは43.8%と高めです。一方、父子家庭では85.4%が働いていて、パート・バイトの割合は6.4%とかなり少なくなっています。

母子家庭と父子家庭の大きな差がここにありますが、もともと専業主婦やパートだったこともあって、正社員などで安定的に収入が得られる割合が低いのが母子家庭の現状といえます。

◆母子家庭の母親の平均年収243万円、父子家庭の父親の平均年収420万円

母子家庭、父子家庭それぞれの「親自身の収入」と「世帯の収入」の年間平均額は以下になります。

なお「親自身の収入」とは、親の就労収入(働いて稼いだお金)に生活保護法に基づく給付、社会保障給付金、養育費、仕送り等を足した額。「世帯の収入」とは同居親族の収入を含めた世帯全員の収入のことを指します。

◇母子家庭

母自身の収入:約243万円/年

世帯の収入:約348万円/年

◇父子家庭

父自身の収入:約420万円/年

世帯の収入:約573万円/年

親自身の年間収入、世帯の年間収入ともに前回調査と比べやや増えた結果となっています。

ひとり親のための施策が多少は効いているのかも知れませんが、一方で、子どものいる一般世帯の平均年収を100とすると、母子家庭49.2、父子家庭81.0と、まだまだ少ないことは明らかです。

◆協議離婚の場合ほど養育費を決めていない!

養育費はひとり親にとって子どもを育てていくうえで重要な資金ですが、これに関して「取り決めをしている」割合は、母子家庭で42.9%、父子家庭が20.8%と低いままです。

特に、離婚をする際に、2人の同意を持って離婚する協議離婚の場合ほど「取り決めをしている」割合が低くなっています。よく話し合わずに離婚届に判を押すのは間違いなのですが……。

なお、養育費の取り決めをしていない理由としては、母子家庭では「相手と関わりたくない」(31.4%)「相手に支払う意思や能力がないと思った」(20.8%)が多く、父子家庭では「相手に支払う意思や能力がないと思った」(22.3%)「相手と関わりたくない」(20.5%)が多くなっています。

◆養育費を受けているのは母子家庭で4人に1人

ちなみに、母子家庭の母が養育費を「受けている」と答えた割合は24.3%と低く、平均月額は4万3707円。父子家庭で「受けている」のは3.2%とさらに低く、平均金額は3万2550円。

たとえ取り決めをしていても、子どもの健全育成のために必要な養育費が実はきちんと支払われていない現状がある、ということが大きな問題といえます。養育費が支払われるかどうかは、年収の低い母子家庭にとってはそれこそ死活問題ともいえるでしょう。

◆子どもの最終進学の目標は一般家庭より低め

子どもの最終進学目標を「大学・大学院」としているのは、母子家庭で46.1%、父子家庭で41.4%。残念ながら一般家庭よりもこの割合は低めになっています。

「子どもを社会で育てる」ことを基本スタンスとして考えれば、ひとり親支援は十分とはいえません。特に子どものいる一般世帯の平均年収の半分弱しかない母子家庭では、特に深刻です。これを6割程度に引き上げる対策を取るべきではないかと思います。

ひとり親であっても支障なく子育てができるように子育て支援が充実すれば、少子化問題も改善するものと信じます。

■参考書籍:「離婚を考えたときにまず読む本」(日本経済新聞出版社、豊田眞弓著)

文:豊田 眞弓(FP、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー)

FPラウンジ代表。保険や学費、奨学金などに詳しく、家計全般の相談を受けている。講演や記事の監修、コラム執筆などでも活躍。大学・短大で非常勤講師として学生にマネー教育を行っている。

文=豊田 眞弓(FP、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー)