アップフロントからの独立・中島卓偉が語る今後「ハロプロはもちろん、ハロプロ以外にも曲を」

ソロ活動に加え近年はアンジュルム、つばきファクトリー、Juice=Juiceなどアップフロント系アイドルへ楽曲提供でも注目を集めているロックミュージシャン・中島卓偉。今年3月末に所属事務所・ジェイピィールームおよびアップフロントグループを退所し、新たな個人事務所を設立。現在はミュージシャンとして活躍しながら代表取締役社長としても精力的に動き回り多忙を極めている。今回はそんな卓偉が新章に突入する自身の活動内容について前のめりで激白してくれた。(前中後編の後編)

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──独立を機に、具体的な音楽性や活動形態に変化は出るのでしょうか?

卓偉 ここまで23年間やってきて、僕もいろいろなことに挑戦してきたんですよ。アコギばかりのアルバムも作りましたし、激しいバンドサウンドだけのアルバムも作った。それで今の僕が何を考えているかというと、ファンの望むことをストレートに出していきたいなということなんです。せっかく独立一発目なんだから、自分の一番コアな部分を存分に出し切りたいなと。おそらくファンもカルピスの濃い原液部分が欲しいと思うんですよ。薄まっていない中島卓偉を求めているというか。

──8月13日から始まる東名阪ツアーも、ギター、ベース、ドラムだけのストレートなバンドサウンドが期待できそうです。

卓偉 そもそもバンド形式でのライブは2年以上まともにやれていなかったわけだから、僕自身もそうだけど、ファンだってフラストレーションが溜まっていたはず。古い曲も含めて、みんなが望む中島卓偉を出し惜しみなく提供していきます!

──5月に配信リリースされた『風に飛び乗れ』もポップかつハードな卓偉節が全開でうれしくなりました。

卓偉 もともと歌も一発撮りで、ライブ感を出していきたいタイプなので、オーバープロデュースされたものではなく生々しい手触りは大事にしたいんです。今の音楽は打ち込みが主流になっているけれど、僕は14歳のときからずっとバンドで叩き上げてきたものだから、生演奏のグルーヴじゃないと本気を出せない身体になっている。間もなく次の新曲を発表する予定ですし、アルバムも年内には出せると思う。そのアルバムはアクティブな楽曲が増えるんじゃないかな。なぜかと言うと、それはやっぱり激しい曲を自分がやりたいから(笑)。ここからは本当に一気呵成に攻めていくつもりです。

──アイドルに楽曲を提供するようになる前と後では、卓偉さん自身のソングライティングにも変化は出ましたか?

卓偉 当然ありました。ハロプロの制作陣っていうのは、ものすごく音楽的にマニアックな方が多いんですよ。僕も音楽マニアということに関しては人後に落ちないつもりで、「僕と同じレベルで音楽を語れる奴はいない」くらいに考えていたんですよね。でもハロプロのスタッフはすごく幅広い切り口を持っているし、アイドルのヒット曲を作るためのノウハウもある。やりとりをしていてハッとすることも多かったし、すごく深い信用関係が築かれているのは間違いないです。アイドルとか関係なく、学ばせてもらったことは本当に多いですね。

──そういえば卓偉さんが作曲を担当したつばきファクトリーの最新曲『アドレナリン・ダメ』はリリース前に再生回数100万回を突破。ファンから絶大な支持を集めています。

卓偉 いや、もう本当にそれはうれしい! つばきに限らず、ハロプロには引き続き全力で曲を書き続けるつもりなので、そこは期待していただけたらと思います。結局、僕は自分の名前でこれまで活動を続けてきたけれど、ヒット曲らしいヒット曲もなかったわけですね。だからハロー!の中で自分の曲がきちんとヒットに繋がったことは、作曲する人間として率直にうれしかった!

──具体的な数字で評価されますからね。

卓偉 毎回ものすごい数の曲がコンペに上がる中、自分の曲がスタッフから目をつけられて、しかもそれがシングルのA面に選ばれる……これは想像以上に大変なんですよ。もうそこは自分の中でプライドに関わる領域かもしれない。逆に「売れなかったら分かっているんだろうな?」という無言の圧力も感じて、発売日までは胃が痛くなる思いもしますが(笑)。もっとも『アドレナリン・ダメ』の成功に関しては、メンバーの頑張りも非常に大きかったと思いますけどね。

──「頑張り」とは?

卓偉 あの曲のポイントは、どうやってファンキーさを出すかということなんです。ファンキーさを出すアプローチというのはいくつかあって、たとえばドラムの叩き方を跳ねさせる方法もそうだし、跳ねたループをプラスしていくようなやり方もある。でもね、僕に言わせれば一番大事なのは歌う人間のリズム感なんですよ。音の伸ばし方、切り方、ブレス。だから、それを僕は仮歌に入れて納品するんです。絶対、仮歌の方には依頼しない。ディレクター陣も書いた本人である卓偉の歌が一番イメージに近いと理解してくれているから、「このまま練習させるね」と言ってくれましたし。

──つばきは『就活センセーション』のときもファンキーな難曲にチャレンジしていましたよね。結果、あれで日本レコード大賞の最優秀新人賞も獲得しましたし。

卓偉 あれはメンバーと同様、僕も感無量でした。ソングライターとしてのプライドを絶対に強く持つべきなんだと励まされましたし。僕が20代だった頃から、アップフロントのスタッフは作曲能力を買ってくれていたんですよ。そこで言われたのは「アイドルっぽい曲を書く必要なんてないんだ。お前にしか書けない曲を作ってくれ」ということ。そこは最初に真野(恵里菜)ちゃんに『My Days for You』を書いたときから一貫していると思う。

──ところで卓偉さんは、今の時代にロックをやる意味ってどういうところにあると考えますか? 昔はミュージシャンに影響されてファッションから政治観まで感化される若者が続出しましたが、今はそこまでロックに社会的影響力があるとも思えないんです。

卓偉 確かにメッセージ性が弱まっているのは間違いないでしょうね。ミュージシャンの発信力が矮小化しているというか。でも、それでいいんじゃないのかとも思う。というのもこの話は社会構造の変化というのが大きくて、昔はジョン・レノンが「ラブ&ピース」と言ったら「本当にその通りですよね」って世界中が納得したけれど、今のネット時代だったら「いやいや、それは違くね?」という声も方々から上がるでしょう。何かを言い切ることが難しい時代になっているんです。だから僕はよく考えます。「もし今の時代にジョー・ストラマーや忌野清志郎さんが生きていたら、どんなことを発信するんだろう?」って。表現者である以上、アーティストが何かを表現するのは当然の話。この制約だらけの世の中で、それでも曲を書いて、詞を書いて、メッセージを届けなくてはいけない。でも、どういう発信の仕方が今の時代に適切なのか? そこはすごく慎重に見極めなくてはいけないフェーズに入っていると思う。社会風刺するような歌詞は今後もどんどん難しくなっていくだろうし。

──どんなことを発表しても、必ずそこにアンチは沸くでしょうからね。

卓偉 僕自身に関して言わせてもらうと、自分の生きてきた人生の中で傷ついたこと、つらかったこと、うれしかったこと、感じたこと……そういったことすべてを切り刻んでメッセージにしていく。「こういうことがあったんだ」ということを自分の経験を踏まえながら語ることを最後まで貫き通したいと思います。それが自分の使命であり、義務。

──ありがとうございます。今日は多岐にわたってお話を伺いましたが、最後に中島卓偉が新章に突入するにあたり、改めて意気込みをお願いできますか。

卓偉 とにもかくにも僕はライブ第一主義の人間。だからライブは積極的にやっていくことをここに宣言します。あとは新しいCDアルバムも秋頃にはなんとか出したいと考えていますね。それとは別の曲もどんどん書き続けていきますので、それがパッケージになるかどうかは分からないけれど世の中には発信していくつもりです。もちろんハロプロへの楽曲提供も引き続き全力で頑張りますよ。独立したということで、ハロプロ以外のところにも今後は楽曲提供する機会があるかもしれない。ハロプロ以外のアイドルもあり得るし、アイドル以外のジャンルにも機会があれば挑戦していきたいですね。

──それは期待が高まりますね! 熱心なハロプロファンからは「我が軍以外のところに書かないでくれ」って懇願されるかもしれませんが(笑)。

卓偉 ハロー!のファンは本当に僕によくしてくれるんですよ。街で会うと、握手を求めながら「今回の新曲もめちゃくちゃいいです。卓偉さん、ありがとうございます!」とか言われますし。思えばメンバーたちもみんな優しかったな。「うちのグループにも書いてほしいです!」とか言ってきてくれたり(笑)。いずれにせよ、ハロプロとも変わらず関わっていきますし、心機一転、ソロとしても気合を入れ直します。今後とも引き続き、応援よろしくお願いします!

(取材・文/小野田衛)

▽中島卓偉(なかじま・たくい)

1978年10月19日生まれ。1999年にロックミュージシャンとしてデビュー。現在活動は23年目に突入している。2001年頃より楽曲提供を始め、ハロプロに提供した代表曲に『My Days for You』(作曲)、『大器晩成』(作詞・作曲)、『次の角を曲がれ』(作詞・作曲)、『就活センセーション』(作詞・作曲)など。

■公式サイト:http://takui.com/

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■ライヴ情報:7.10(日)東京 原宿RUIDO ◇ 8.13(土)東京 Veats Shibuya ◇ 8.14(日)大阪 OSAKA MUSE ◇ 8.17(水)名古屋 Electric LadyLand