「土砂災害」が「約3,500件」発生した年も…身を守るために知っておくべき“3つのポイント”とは?
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。6月26日(日)の放送では、国土交通省 水管理・国土保全局 砂防計画課長の草野慎一(くさの・しんいち)さんに、「土砂災害 その備えが命を救う」をテーマに話を伺いました。


(左から)青木源太、草野慎一さん、足立梨花



◆“雨”以外の原因でも発生する「土砂災害」

土砂災害には、いくつか種類があります。代表的なのは「がけ崩れ」「地すべり」「土石流」です。

「がけ崩れ」は、斜面の地表に近い部分が雨水の浸透や地震などで緩み、突然崩れ落ちる現象。「地すべり」は、地下水の影響と重力により、斜面の一部、あるいは全部がゆっくりと斜面の下方へ移動する現象。そして「土石流」は、山腹や川底の石、土砂が長雨や集中豪雨により、一気に下流へと押し流される現象を言います。

日本は傾斜が急な山が多く、台風や大雨、地震や火山活動が活発なため、地形的・気象的な条件により土砂災害が発生しやすい環境にあります。直近10年間の発生件数は、平均で年間約1,450件です。

なかでも2018年は、1982年の統計開始以降最も多い“年間約3,500件”の土砂災害が発生。特に「平成30年7月豪雨」の影響による土砂災害は、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。このときは、梅雨前線が本州に停滞して活発になり、九州から東北にかけて広い範囲で断続的に激しい雨が降りました。この影響で、西日本を中心に2,581件の土砂災害が発生し、119名が亡くなりました。

草野さんは、2014年に長野県木曽郡南木曽町を流れる梨子沢で、集中豪雨による土石流が発生した際、その後の対応のために実際に現場に行ったことがあるそうです。以前の梨子沢周辺は樹木が多く生えていて建物も密集していましたが、「それらがすべて流されてしまっていたので、まったく違う場所に思えました。そして、梨子沢第2砂防堰堤(さぼうえんてい)という施設を見たときに、そこには1つ200トン、つまり軽自動車200台分ぐらいある巨石が数え切れないぐらい堆積していて、自分が今見ている光景が現実のものとは思えませんでした」と振り返ります。
   
このときは集中豪雨の影響による土砂災害でしたが、「雨がまったく降っていないときにも、突然発生することもある」と草野さん。例えば、2018年に大分県中津市耶馬溪(やばけい)で発生した土砂災害は、数日前にわずかな降雨があったものの、その後は降雨のない状況で、突然がけ崩れが発生。6名の方が亡くなりました。このときは“地下水”が起因となり、浸食、圧迫することによって岩盤が不安定化、結果的に崩壊してがけ崩れが発生したと考えられていて、必ずしも雨が降っているときに発生するわけではありません。

都道府県により、土砂災害発生の恐れがあると指定された区域を「土砂災害警戒区域」と言います。この区域は公表されており、その数は全国で約68万ヵ所にものぼります。これは基礎調査がおこなわれた場所だけの数で、まだ調査が終了していない場所もあるので、今後もっと増える可能性があります。

例えば、東京都が公表している「土砂災害警戒区域」と土砂災害計画区域よりも危険性が高い「土砂災害特別警戒区域」を示した地図を見てみると、土砂災害特別警戒区域を示す赤い印が東京の都心にも点在しています。草野さんは、東京の例のように「土砂災害は山あいに住んでいる方だけが警戒すればいいというものではなく、一人ひとりが土砂災害から身を守れるように日頃から備えておくことがとても重要」と警鐘を鳴らします。

◆土砂災害から身を守るために

番組後半では、土砂災害から身を守るために最低限知っておくべき3つのポイントを紹介しました。

1.どこから逃げるか
まずは自分が住んでいる場所が土砂災害警戒区域かどうかを確認しましょう。前述の通り、土砂災害警戒区域は全国に約68万ヵ所もあるため、“我が家は大丈夫”などと高をくくらないことが大切です。

草野さんは「自分の家はもちろん、職場や日頃よく立ち寄る場所などは、普段から市町村が作成する土砂災害ハザードマップや都道府県のWebサイトなどを利用して、『土砂災害警戒区域』や『土砂災害危険箇所』に該当していないかの確認を」と注意喚起をします。また、該当していない場合でも「土砂災害が発生する場合があります。付近に傾斜が急な土地や小さな沢があれば注意してほしい」と話します。

2.いつ逃げるか
次に、土砂災害警戒情報や雨量の情報に注意することが重要です。土砂災害警戒情報は、気象庁のWebサイトや各都道府県の砂防課などのWebサイト、テレビ・ラジオの気象情報でも発表されるため、「雨が降り始めたら積極的に情報を確認してください」と草野さん。

この土砂災害警戒情報は、警戒レベル4の情報であり、市町村の判断で避難指示が出されるのが原則です。避難指示が出されると、危険な場所からは全員避難する必要があり、まさに土砂災害警戒情報が出されたタイミングが“逃げる”という行動を執るべきタイミングとなります。なお、夜中に大雨が想定される場合は、「避難指示が発令されていなくても、早めに避難することがとても重要」と補足します。

3.どうやって逃げるか
最後のポイントは「避難場所、避難手段の確保」です。

お住まいの地域に土砂災害警戒情報が発表され、自治体から避難指示が発令されたら、近くの避難場所など安全な場所に避難してください。その際、ご近所の方などに声をかけることを心がけてください。
また、お年寄りや障がいのある方などの避難に時間がかかる方や、浸水などで避難場所への避難が困難と判断したときは、近くの頑丈な建物の2階以上や家のなかのより安全な場所、がけから離れた部屋や2階などに移動してください。

今回、土砂災害から身を守るために最低限知っておくべき3つのポイントを紹介しましたが、状況は一気に悪くなる場合もあるため、早めに避難することが大切です。

草野さんは、「実際に恐ろしい体験をすることは難しいですが、土砂災害についての知識を増やし、また避難訓練に参加することで擬似的な体験にはなる」と強調。「家族や地域の人、職場の人と土砂災害について話をしたり、普段から地域の避難訓練に参加したり、もしものときに避難行動を起こしやすくしておくことがとても大切」と力を込めます。

実際、甚大な被害に見舞われた「平成30年7月豪雨」でも、避難行動によって命を守った事例も。東広島市黒瀬町の洋国団地では、約50軒ある人家のうち、約10戸が全半壊、20戸が床下浸水しましたが、死者やけが人はいませんでした。この団地では、団地内で防災マニュアルや防災マップを作成して防災意識を高めていたことに加え、自力で避難するのが難しい住民の避難を支援する担当者を決め、土砂災害が発生する4年前から年に2回、土砂災害を想定した避難訓練を実施していました。

そうした対策の効果もあって、川の近くに住む高齢の女性は“川の流れが気持ち悪い”と感じて警戒情報発表前に自主的に避難したほか、団地に住む高齢者夫婦は、高齢者の避難を支援する担当者に連絡して、車で迎えにきてもらい避難することができたそうです。

6月は土砂災害防止月間ということもあり、「この機会に、ご家族や職場の仲間、地域の方とお住まいの地域や職場が土砂災害警戒区域に指定されていないか、もしものときはどこに避難すればいいのかなど、一緒に話し合ってみてください。また、雨の多いこの時期は特に土砂災害に警戒して、もしものときには早めの避難行動を」と呼びかけました。

この日のテーマを通して、足立は「避難指示が発令されていなくても早めに避難することは大事だし、恥ずかしいことでもない。何もなかったら、それはそれで“良かった”で済ませることなんだなと、改めて感じました」と感想を口にします。

一方、青木は、地域の避難訓練に参加することの大切さを痛感した様子。「“日頃から防災意識を高めておく”これに尽きますよね。まず日本は土砂災害が多い国ということを認識して、日頃から防災意識を高めていきましょう!」と語りました。


(左から)青木源太、足立梨花



<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/