5月28日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、Jリーグによる社会連携、通称“シャレン!”を特集。各クラブが行っている取り組みを紹介した。

今年、開幕30年目を迎えたJリーグでは、地域密着の理念を掲げ、各クラブが強いだけではない、地域に根ざしたクラブ作りを目指している。そのためのカギとなる社会連携活動、通称“シャレン!”は、各クラブが自治体や企業、住民やサポーターたちと連携して、地域社会の課題を解決していく取り組みのこと。元V・ファーレン長崎の社長で、今年の3月からJリーグの理事に就任した髙田春奈は、V・ファーレン長崎による“シャレン!”の一例として、雲仙普賢岳の噴火災害から30周年を迎えた昨年に、新人研修と絡めた防災啓発活動を行ったと説明した。

V・ファーレン長崎だけではなく、“シャレン!”の活動はJリーグ全体に広まっており、2021年の調査では、年間活動回数が全クラブ合計で2144回を記録。髙田は「サッカーに詳しい人だけではなく、地方に行けば行くほど、お年寄りや女性の方だったり、お子さんだったりの裾野を広げていく必要がある」と、“シャレン!”によってクラブと地域社会が連携する重要性を強調した。

また、MCの勝村政信は、“シャレン!”が成功したクラブの例として川崎フロンターレを挙げ、「今は王者の風格が出ていますけど、“シャレン!”がうまく行って、サポーターの皆さんとチームが連携して、強くなって今のあの位置まで行った感じがしますもんね」とコメント。髙田も「率先して(地域社会に)出て行かれて、サッカーでも結果を出されているのは、素晴らしい模範だと思います」と同意する。

実は、“シャレン!”の誕生には、そんな川崎フロンターレのレジェンド選手が関わっていた。川崎フロンターレ一筋で、現在Jリーグの特任理事を務める中村憲剛は、選手時代に当時チェアマンだった村井満と対談したそうで、「“Jリーグはそういう(社会連携)活動に関心があるように見えないです”というのを、啖呵を切るみたいな感じで言ってしまったんです。それを村井さんはちゃんと聞いてくれて、“シャレン!”を立ち上げてくれたんです」と振り返る。

当時、タイトルに恵まれなかった川崎フロンターレは、チーム強化と同時にホームタウン活動にも注力。中村は「そういう活動をしているからタイトルが取れないっていう声をすごく耳にすることがあって。ただ、結果が出なくてそう言われるのはしょうがない。なので初めて優勝した時には、その活動も含めて自分たちのやってきたことが肯定された瞬間でした」と、思いを明かした。

中村の提言がきっかけで生まれた“シャレン!”は、普及する過程で各クラブの取り組みを表彰する制度「シャレン!アウォーズ」も誕生。毎年、全クラブの中からソーシャルチャレンジャー賞、パブリック賞、メディア賞が選ばれている。

3年連続でメディア賞に選ばれたガイナーレ鳥取は、米子市や照明会社と協力して、スタジアムをまるで都心のデートスポットのように改造。ピッチやその周りをイルミネーションで彩り、焚き火エリアやバーベキューエリアを設置することで、試合がない日でも地域の人々が集まるスタジアムを目指している。

このガイナーレ鳥取による取り組みについては、解説の坪井慶介も「サッカーに興味がない人でもスタジアムに入れるというのはいいですよね。そういう人達も取り込めるっていうことを考えると」と絶賛。髙田も「メディア賞ということで、メディアの皆さんが取り上げたいという意味では、すごくビジュアル的な良さというのもあると思います」と解説した。

実は、このアイデアは「野人」の愛称で親しまれた元日本代表で、現在はガイナーレ鳥取の代表取締役GMを務める岡野雅行によるものだという。スタジオに登場した岡野は、酔ってスタジアムに泊まった際に見た星空に感動したそうで、「スタジアムは夜も静かで、真っ暗なんですけど、星がびっくりするくらいきれいで。なんかもったいないなって。そこからバーベキューしながらとか、そういう発想になったんだと思います」と説明。しかし、酔っ払ってピッチで寝たという岡野のエピソードに、勝村は「野人っていうより、原始人ですよ、それはもう」とツッコんでいた。

他にも、番組ではカターレ富山が県内の福祉施設や健康食品会社と共同で行っているプロジェクトに密着。カターレ富山では、地域の高齢者や認知症の方などにサポーターとして、クラブを応援してもらうという取り組みを2年前から行っており、20人から始まったプロジェクトは、現在1000人が参加しているという。

サッカーを通じて高齢者らにワクワクを取り戻すこの施策について、髙田は「サッカーという存在があることによって、すごく人生が豊かになったって言う方にたくさんお会いして。かつ、そういう方の声を聞くと応援されている私たちもすごく嬉しくなるという素晴らしい循環が生まれる。その最たる例だなっていう風に思いました」と語った。

現在58クラブすべてが“シャレン!”に取り組んでおり、その活動の先には地域に根ざしたJリーグの理想の形がある。髙田は“シャレン!”は試合のおまけではないと主張しながら、「Jリーグが日本を元気にしていけるものを持っていると思うので、サッカーの大事な要素として、これからも“シャレン!”を育てていけたらいいなと思っています」と意気込んだ。