年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、繰下げ受給しても老齢厚生年金が増えないケースについて、専門家が回答します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、繰下げ受給しても老齢厚生年金が増えないケースについてです。

◆Q:繰り下げても厚生年金受給額は増えないと言われました

「65歳、給与60万5000円(老齢厚生年金は全てカット、受給できず)。老齢基礎年金は受給開始し、厚生年金は繰り下げにしようと思っていると年金事務所の職員に伝えましたが、繰り下げても厚生年金受給額は増えないと言われました。これって本当ですか? 対策としては、現在給与から天引きされている厚生年金保険料の支払いを止め、手取額を増やすことでしょうか?」(匿名希望)

◆A:在職老齢年金制度で支給停止になっている老齢厚生年金額は、繰り下げても増えません

年金事務所の職員の方の言う通りです。相談者のように給与が高くて、在職老齢年金制度によって、支給停止になっている場合、将来受け取る老齢厚生年金額は、繰下げ受給しても増えません。繰下げによる年金の増額は、65歳以降、在職時に受け取っている老齢厚生年金額についてのみ可能です。

相談者の場合は、現在、受け取れる老齢厚生年金がゼロのため、繰下げ受給をしても増額しないということになります。

もし繰下げ受給することで、老齢厚生年金の受け取り額を増やしたいと考えるなら、二つの方法があるのではないでしょうか。

一つは現在の給与や賞与を下げることです。在職老齢年金制度で老齢厚生年金が支給停止とならないように給与を調整できないか、人事部等に相談してみてはいかがでしょうか。

もう一つの方法としては、厚生年金に加入しないで働くことです。フルタイムではなく労働時間数を週20時間以下に減らす、または業務委託として働く等、働き方を変えることが必要となります。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行う。現在は年金事務所にて、年金相談員も担当している。

文=拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)