5月21日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)では、動画やアートなどのデジタル資産“NFT”を活用した新たなファンビジネスを特集。スポーツ界でも活発化するNFTにまつわる取り組みを紹介した。

NFTとは、最新技術によって唯一無二のものだと証明されている改ざんが難しいデジタルデータのこと。本物と偽物が一目でわかる上に、データの所有者が明確になることもあり、プレミア的な価値を持つデジタルアートや音楽データなどが次々と誕生しているという。

そんなNFTを日本のスポーツ界でいち早く取り入れたのがプロ野球だった。埼玉西武ライオンズでは、コロナ禍の動員制限によって収益が減少したことを受け、新たなファンビジネスの形を模索。昨年9月には埼玉西武ライオンズ専用のNFTサイト「ライオンズコレクション」を開設し、NFTビジネスに踏み出している。

サイトでは、試合ごとのスタメンボードムービーやヒーローサインムービーなどをNFTとして販売。昨年引退した松坂大輔のメモリアルムービーは、直筆サイン色紙とのセットが30万円で落札されたのだとか。サインなどの現物とのセット販売については、埼玉西武ライオンズ事業部部長の後藤広樹が「注目度の高い商品とNFTコンテンツをくっつけて販売することで、まずは手に取ってもらい、知ってもらうところからのスタートです」と説明。新たなファンビジネスとして、今は定着を目指している段階であることを語った。

また、ライオンズだけではなく、パ・リーグでもNFT事業を進めており、先日は、日本中が注目した千葉ロッテマリーンズ・佐々木朗希が完全試合を達成した動画を2万5千円で販売。限定20個が一瞬のうちに完売した。

パシフィックリーグマーケティング株式会社執行役員の園部健二は、完全試合の動画は他でも見られるものの、唯一無二の動画を所持することに価値があると強調。「インターネットでもモナリザの絵は見られると思うんですけど、ルーブル美術館にある絵は所有していないですよね。今だと動画などがそういった価値のあるものとして購入できる形になる」と例えた。

佐々木の完全試合のように、試合の名シーンをNFT化する試みは、Jリーグでも始まっており、今年3月には「ダゾーン・モーメンツ」というサービスがスタート。選手ごとの名場面の動画を内容によって「レジェンド」「スーパーレア」などにランク分けし、NFTとして販売している。

4月からスタートした「プレイヤーズ・アンセム」では、トレーディングカードのようなパックの中に、3つの動画が収められている商品を販売。思わずコレクションしたくなるようなアイデアでNFTの魅力を訴求している。

実際にファンにも好評のNFTだが、実は選手にとっても大きなメリットがあるという。改ざんが難しいため、ネットオークションなどでの転売を防ぎ、2次流通によって選手が権利収入を得ることも可能に。今後は整備が進むことによって、購入者同士でNFTを売買する度に、選手にロイヤリティが支払われるようになる。公式の場で本物の商品だけが取り引きされるというNFTの特徴について、解説の北澤豪は「本物であることが価値として担保されるのが重要な部分」と指摘した。

そして、番組では日本の小学生の描いたNFTアートが240万円で売れた事例を紹介。スポーツ界だけではなく、一般人にとっても大きな可能性を秘めているNFTについて、北澤は「小さい頃からプレーの映像を撮ったりするのが大事になってくる」と話し、園部も「プレー動画を公開することでスカウトの目にとまったり、動画そのものに価値がついて、購入していただけたりする可能性はある」と補足した。

さらに、北澤は「我々なんかがやってきたプレー映像をデジタル化することで、引退後のビジネスにもなったりすると思う」と、NFTが選手のセカンドキャリアになる可能性があることを示唆。MCの勝村政信は「(NFTで)球団の収入が上がったりすると、またクオリティが上がるじゃないですか。そういうことの助けにもなるのかなって。だから本当に頑張っていただきたい」とエールを送った。