趣味のクルマと向き合う幸せ。リフトに載せられた1台以外のすべてのクルマにカバーがかけてあるガレージ|ルーツが同じ仲間だからこそ、分かり合える趣味の世界 Vol.5

アメリカには熱心なニッポン旧車の愛好家がいることは、この連載を通じてお伝えしてきた。やはりニッサン、トヨタ、ホンダのファンがアメリカでは多いのだが、今回は三菱車を大切に乗り続けているオーナーと、その仲間を紹介する。2人は、ルーツが同じであるという強い絆でも結ばれているのだ。 

【ルーツが同じ仲間だからこそ、分かり合える趣味の世界 Vol.5】

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 コンスタンティーノさんのガレージでは、リフトに載せられた1台以外のすべてのクルマにきちんとカバーがかけてあった。並んだ8台の日本旧車を避けるように置かれた多少の整備道具と併せて、おびただしい数のタイヤが目についた。

「以前、オートクロスをやっていたことはあります。今あるタイヤとホイールは、私は実際にクルマに取り付けてみて、見た目が自分で気に入るまで、交換しながら探すので、たくさんたまったのです。もともとは自分では何の作業もしなかったけど、結局はタイヤ交換機を買って、自分でやることにしました。今では溶接もできるようになりました」

 ドリフトキングのビデオを流しながら、ガレージでクルマの経験を話すコンスタンティーノさんは楽しそうだ。

シアトルは自然豊かな場所柄、キャンプやハイキングなどのアウトドアアクティビティーが人気だ。奥さまのレティシアさんもアウトドアが好きな1人。ところがコンスタンティーノさんは、軍隊の訓練で嫌というほど野山を歩き回ったから、とにべもない。それでもレティシアさんはクルマ道楽を理解してくれていると言う。

「なぜかって、クルマは私のパッションだし、お金だってギャンブルやお酒につぎ込むよりましだろうし、それに、あまりクルマのショーにも出かけずに、いつでも家にいるからじゃないのかな」

>>【画像22枚】往年のラリーでの戦歴を誇る1973年式三菱ランサー1600 GSR、1981年式三菱ランサーEX 1800 GSRターボもおさめられている、日本旧車が9台収まる巨大なガレージなど

 発する言葉から、クルマと静かに向き合って付きあうコンスタンティーノさんのスタンスが伝わってくる。そんなコンスタンティーノさんは映像診療機器のメンテナンス技師として、大学病院勤務から最近転職し、現在はタコマ市にある軍病院で働いている。海軍での志願兵役を経験したためなのか、時々照れ笑いを低くもらすだけで、口調はいつも静かで慎重である。そんなしゃべり方がもどかしいのか、ヌグさんは耳を傾けながら、いつでも話に横やりを入れたそうにせかせかしている。

 クルマにあこがれていた昔のこと、じっくりとクルマと向き合っている現在のことを、友と静かに語り合うことを何よりの楽しみとするコンスタンティーノさん。日本旧車の思い出、おとなしい趣味を理解してくれる家族、日本旧車が縁を取り持った友人。どれもこれも本人にとって、生涯かけがえのない財産なのである。

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