鹿島戦に出場した広島MF松本泰志 [写真]=J.LEAGUE via Getty Images

 ポジション争いがますます激しくなりそうだ。サンフレッチェ広島のMF松本泰志は、7日に行われた明治安田生命J1リーグ第12節の鹿島アントラーズ戦に途中出場し、3-0の完勝に貢献。好機を演出するなど持ち味を発揮してアピールした。

 鮮やかなボール奪取からチャンスを作った。74分、ハーフウェイライン付近で相手MFアルトゥール・カイキにボールが入ると、松本が猛然とプレスに向かう。「球際で勝つところが自分の持ち味でもある」。A・カイキからボールを奪い切り、自ら持ち上がって左サイドにパス。これを受けたFWジュニオール・サントスが得意の個人技でDFをかわしてシュートを放ったが、これは惜しくも枠を外れた。

 パスを出した後もゴール前に入っていた松本は、「折り返してくれたら僕が決められたんですけど(笑)」と笑顔で振り返りつつ、「でもジュニオールもあの場面で個の突破が特徴だし、得点につながればすごいいいシーンだった」とブラジル人FWの選択にも理解を示した。自身の役割や試合展開により前線へ上がる機会は少なかったが、それでも松本らしさが光った。このワンプレーだけでもポジション争いが激しくなりそうな予感すらあるシーンだった。

 広島は3-5-2の新布陣で首位の鹿島を迎え撃ち、前半にMF柏好文のゴールで先制に成功した。ワンボランチはMF野津田岳人が先発出場したが、前半のうちにイエローカードを受けたため途中交代。松本が後半スタートからピッチに立った。「球際で戦うところ、ボールを持ちすぎずにシンプルに叩くことを意識して試合に入った」。相手も反撃に出てくる状況での出場だったが、中盤の底でバランスをとりつつ、シンプルなボールさばきなど安定したプレーで45分を戦った。

「清水戦の反省を生かした試合の入りができた」。松本は4月29日に行われた第10節の清水エスパルス戦でMF東俊希とダブルボランチを組んで先発出場したが、思うようなパフォーマンスを発揮できずに2人とも前半のみで交代となっていた。このとき、ミヒャエル・スキッベ監督はチームとしてボールロストの多さを指摘しつつ、スピード感や球際の強さを求めて離脱明けの野津田とDF塩谷司を後半から投入していた。

 その悔しい思いを鹿島戦で晴らした。「清水戦はボールの失い方とかが悪かったので、そういう反省点をこの試合で生かせたのは良かった」。自身が出場した後半にチームとして2得点を加え、「前半も良かったですけど、後半はさらに活性化させることができて良かった」と手応え。首位の鹿島相手に完勝し、「自分たちのやっていることが発揮されたので自信になる」と確かな自信も得た。

 今季の広島は主に塩谷と野津田がダブルボランチのスタメンをつかんでいるが、チーム力の底上げには競争が欠かせない。松本が2人の定位置を脅かす存在になれば、ボランチのポジション争いはますます激しくなる。それが今季好調の広島のさらなる飛躍につながるはずだ。

取材・文=湊昂大