EXILEデビュー20周年、ソロデビュー10周年を迎えたEXILE ATSUSHIが、誕生日である4月30日にニューアルバム『ONE』およびベストアルバム『THE BEST ~One + Only~』をリリース。ATSUSHIにインタビューし、アルバムやソロアーティストとしての現在・未来について話を聞いた。

  • EXILE ATSUSHI

――今回のニューアルバム『ONE』のタイトルに込められた意味とは?

2020年11月にグループ卒業と同時にリリースしたアルバムが40歳を記念した『40 ~forty~』で、今回の『ONE』は41歳の1でもありますし、卒業後に制作した1枚目のアルバム、第一歩という意味での1でもあります。いろんなジャンルがあるけれど、それも一つの音楽として届けるという意味もあります。また、こういうご時世で、混沌としている世の中になってしまっていますが、再び皆で気持ちを一つにできたらいいなという願いも込めました。

――制作過程で印象に残っている楽曲を教えてください。

「雪化粧」「I always love you~いつもそばに~」の2曲は強く印象に残っています。「Precious Love」以来の8年ぶりの“どバラード”で、恋愛だけじゃないラブソングという意味では久々に“どストレート”のラブソングを作れたと思います。なぜかバラードになると人生観を歌いたくなる自分がいるのですが、恋人だけではない、大切な人を思ういい曲ができました。そして、北海道の広大な大地の空の下、雪化粧の中でMVを撮るのは、僕の中ではずっと眠っていたアイデアで、昔からの夢でした。そういう意味でも「雪化粧」というタイトルになったり、イメージしたものが一気に形になったので、すごく思い入れが強い曲になりました。

――『ONE』はソウル・ナンバーもあればレゲエ・ナンバーもあり、さらに賛美歌もあり、バラエティ豊かな楽曲が揃いました。

日本のトラディショナルな側面のものや、阪神タイガースの秋山拓巳くんの入場テーマに作ったロックテイストのものまで、幅広く、自分の中で変な壁を作らずに制作しました。それが今回、レゲエのミュージシャンの皆さんにも力を貸してもらったりして、2曲トライするきっかけにもなりました。僕が歌ってJ-POPとして成立するのなら、表現の一つとしていろんなジャンルを歌いたい気持ちは常にあります。

――制作ペースも非常にスピーディーだったそうですね。

制作のペースで言うと、やはりコロナ禍が影響しています。コンサートができない分、曲を作って皆さんに喜んでもらうという感覚が強かったかもしれません。アルバムを作ろうと思って作ったというより、コロナ禍で活動している中で、そろそろ曲出さないとファンの皆さんも退屈しちゃうかなと、そういう思いでやっていたら気づいたら10曲になっていました。

――ソロとしての10年が凝縮されたベストアルバム『THE BEST ~One + Only~』の楽曲ラインナップに関して、10年間を振り返りつつ、どのように感じていますか?

歌手活動20年のほうがデビューしてきてから歩んできた道のりがあるので感慨深いです。運良く20周年を迎えられて、ソロ活動も10周年になったな、くらいの気持ちです(笑)。メモリアルな年ではありますね。あと今回のアルバムはファン投票で曲目を決めさせてもらいました。すごく驚きもありましたし、予想通り入ってきた曲もあり、「我ながら歴史あるな」と思いました。

――驚いた楽曲とは?

清木場俊介くんとの「fallin’」です。完全に第一章の曲でしたし、ボーナスCDの楽曲で、もちろん特別な人との特別な曲ではありますが、今回の投票にノミネートされていることも忘れていたんです(笑)。それが今回ファン投票で2位に食い込んできて、本当にびっくりしました。コアなファンの方は第一章から僕の曲を聴いていてくれていて、それを求めてくださっていることが顕著にあらわれた結果だと思いますし、10周年のソロのベストアルバムに彼の声が入るのはすごくスペシャルなことだなと、うれしい驚きでした。

――ファンの皆さんの熱意と言いますか、隅の隅までしっかり曲を聴いていると実感しますね。

そうなんです。シングルではないアルバム収録曲も複数入っています。投票してくださる方々は、隅から隅まで僕のメッセージを感じながら聴いてくださっていると感じられる、自分にとってもありがたい企画でした。

――「I always love you」については?

コロナ禍のツアー中、父親と同じぐらいお世話になり、大切な存在であるバンドメンバーのキャプテンがコロナウイルスにかかってしまいました。「誰がかかってもしょうがない」と最初は思っていたんですけど、「ツアーやらないほうが良かったかな」と悩んだ一方、やらずに立ち止まってもしょうがなかったし、そういう運命を受け入れるしかないと思ってキャプテンの復帰を祈って制作した曲です。すごく考えさせられた大きな出来事で、この曲はまたとても大切な曲になりましたね。