宝島社はこのほど、『女性の悩みはFemtechで解決! オトナ女子のためのカラダの教科書』(1,650円)を発売した。

フェムテック製品を活用するための準備・助けとして「まずは自分の女性としてのカラダのことをちゃんと知ってほしい」という思いから生まれた"カラダの教科書"。

著者は、日本産科婦人科学会専門医、成城松村クリニック院長の松村圭子氏。 生理日管理を中心としたアプリ「ルナルナ」の顧問医なども務める。

同書の中から、「妊娠に適しているのは何歳までだと思う?」への解説を抜粋して紹介する。


女性ホルモンの分泌量からすると20代で妊娠するのが理想

カラダのしくみは、1人の女性が子どもを5〜6人産んでいたころと変わっていません。女性のカラダが成熟して卵子の質がよくて女性ホルモンの量もしっかりとある20代に妊娠・出産するのが理想です。

まずは卵子の話をしましょう。卵子のもとになるのは卵巣にある原始卵胞です。生理がくるようになると原始卵胞が順番に育ちます。その中でいちばんタイミングのよい卵子が生理周期に合わせて1個ずつ卵巣から飛び出します(排卵)。原始卵胞の数は生まれたときが100~200万個ほど。10代では20~30万個、20代では10~15万個、35歳前後では2〜3万個。1カ月で1000個ほど数が減っていきます。数は減る一方で増えることはありません。さらに年齢を重ねると卵子の質が低下することもわかっています。

女性ホルモンのエストロゲンは妊娠しやすくする準備をし、プロゲステロンは妊娠状態をキープする役割があるので、どちらも量が豊富なほうが妊娠にとっては有利なのです。

遅くても35歳までに出産を考えたほうがいい

ところが現実を見ると、女性が初めて出産する年齢は上がってきています。厚生労働省の統計によると1975年に第1子を産んだ母親の平均年齢は25・7歳でしたが、2019年には30・7歳でした。約45年の間に5歳も出産年齢が上がっています。

これはあくまで平均年齢なので、20代で産む人も40代で産む人もいるのですが、妊娠できるのはギリギリ35歳と肝に銘じたほうがいいでしょう。35歳を超えると卵子の数が減って質も悪くなっていきますし、女性ホルモン量も十分ではなくなりますから。

40代で出産する人を見て、自分もいけると思ってはダメ

周りを見渡しても30代後半で産むのは普通で、40歳前後で産んだ知り合いもいるという人もいるかもしれません。あるいは有名人の誰それさんが43歳で出産などのニュースが流れると、43歳でも産めるんだと思ってしまうかもしれません。でもそれはたまたまうまくいっただけのこと。ニュースでは触れていなくても壮絶な不妊治療を経ての妊娠・出産だったかもしれません。

仮に妊娠できたとしても卵子の質は加齢とともに悪くなっていくので、健康な赤ちゃんが生まれるかという心配も出てきます。

29歳以下で出産すると…赤ちゃんが障害を持つ確率400人に1人以下、ダウン症になる確率1000人に1人以下
41歳で出産すると…赤ちゃんが障害を持つ確率53人に1人、ダウン症になる確率82人に1人

という調査結果もあります。

赤ちゃんだけでなく母体のリスクも上がります。妊娠中は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、流産、早産の心配が! 無事に産んだとしても特に年齢が高い母親は体力がいります。では深刻な産後うつになることもあります。出産の後に待ち受けている子育てに出産は早いほどリスクが低いことを知ってください。


同書には「女性が妊娠できるのは1カ月のうちわずか3日程度。その短時間の間に健康な卵子と健康な精子が合体して、子宮に用意されたベッドにうまく落ち着いてようやく妊娠できるのです」ともある。年齢とあわせて考えると、妊娠はまさに奇跡。

  • 『女性の悩みはFemtechで解決! オトナ女子のためのカラダの教科書』(宝島社/1,650円)

このほか同書では、「自分の生理が何日間隔でくるか把握してる?」「PMSって知ってる?」「どんなタイミングで排卵するか知ってる?」「平均的に何歳くらいで生理がなくなると思う?」といった生理や妊娠、更年期、閉経など現代に生きるすべての女性に知ってほしいトピックスをわかりやすく解説している。