鶴田謙二11年ぶりの最新画集『つぶあん』担当が明かす極美画稿の味わい

漫画家・鶴田謙二の豪華カラー画集『つぶあん』が、5月下旬に復刊ドットコムから発売される。

一度見たら忘れられない個性的な美少女、精緻なタッチ、センス・オブ・ワンダーを感じさせるディテールにあふれた作品やイラストは、数多くのファンに熱烈に支持され続けている。

11年ぶりの刊行となる画集『つぶあん』はいかなる内容となるのか、担当編集・大野修一氏にいち早くその内容について話をうかがった。

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――今回11年ぶりの画集を企画した理由は?

「そういえば『キャプテン・フューチャー』関連イラストに絞った『FUTURE』以来、画集が出ていないな」と数年前から思っていて、どんなものが何点あるかなどを調べたり、企画をまとめていきました。その段階では鶴田さんの手元に何があるのかが分からない状態だったので、あまり急がずに準備をさせていただいて、このタイミングで出せることになったのです。

――画集タイトル『つぶあん』の由来は、どういうところから?

18年分の未収録イラストの見当がついた段階で、2分冊にしての刊行になることは読めていました。そこで、画集タイトルは2冊が対になるものとして考えることになりました。こちらから、また鶴田さんからもいくつか案を出し合って数学用語や化学・物理用語などを並べていましたが、なんだかやりすぎ感がある。そんなやりとりの末、最後に鶴田さんから出てきたのが「つぶあん」「こしあん」というセットのタイトルでした。

鶴田さんいわく「昨日スーパーに行った時、思いついたやつですけれど……」ということでしたが、実にしっくりときたので「これにしましょう!」となりました。

――具体的にどんなイラストが掲載されているのか、その内容をお教えください。

2004年の画集『コメット』刊行以降に鶴田さんが描いた小説、ノンフィクションの書籍への装画や挿画。カードや雑誌の表紙、単体のポスターに、『エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』や特撮番組の版権画などのカラーイラストを収録しています。

――本書の構成面でのこだわりについて、お教えください。

数学用語のタイトルだったら違ったかもしれませんが、図らずも和菓子なタイトルになりましたこともあって、ご贈答用の箱詰めセットのような、開くとワクワクするような、どこか雑多で、それでいて渋い感じの本になっていればいいと思います。『つぶあん』と『こしあん』の2冊で、鶴田さんの18年が感じられるのではないでしょうか。

――担当から見た「本書最大の売り」は何でしょうか?

現在ではイラストは最初からデジタルで描かれることも多いですが、筆のタッチを十分に感じられる鶴田さんの絵の魅力はやはり特別だと思います。

個別になると、実際に見られることが少なかっただろう茨城県警のポスターや、昔の「モンスター・コレクション」の絵、雑誌やムックに掲載されただけの綾波レイや『ジャイアントロボ』のイラストでしょうか。

――鶴田氏との編集作業のやり取りの中で、強く印象に残ったことは何でしょうか。

「今回の編集作業」では特にありません。昔から感じていることですが、絵の上手い人は、自分の絵の上手さに無頓着だなと思います。鶴田さんに限ったことではありませんが。

――鶴田謙二という作家はどんな人? 長い付き合いの中で、何か印象的なエピソードなどありますか?

つかみどころのない人です。あと、意外に背が高い。

――鶴田氏のイラストの魅力はどんなところにあると思われますか。

温度や匂い、触感のようなものがイラストから醸し出されているところです。「触りたい気」にさせる絵だと思います。

――今秋に予定された続刊『こしあん』について、ここだけの先出し情報などありましたらお教えください。

『つぶあん』とのセットなので、まずは『つぶあん』を手に取って、何が残っているかを感じ取ってください。

  

――発売を楽しみに待つファンに、改めてメッセージをお願い致します。

数年ぶりの鶴田さんの新刊だと思っていたら、先日白泉社さんから『モモ艦長の秘密基地』第1巻が出て、今年は3冊出ることになりそうです。読者&編集、ご同慶の至りでございます。

鶴田謙二(つるた けんじ)

1961年静岡県生まれ。1986年に『広くて素敵な宇宙じゃないか』が『週刊コミックモーニング』に掲載されデビュー。代表作に『The Sprit of Wonder』『Forget-me-not』がある。

イラストレーターとしても活躍しており、2000年、2001年、2013年に星雲賞のアート部門を受賞、2000年にはSFマガジン読者賞を受賞している。現在は漫画作品『モモ艦長の秘密基地』『冒険エレキテ島』を手がけている。

(C)Kenji Tsuruta 2022