Tani Yuukiが語る、「Myra」がTikTokで大ヒットするまでの音楽人生と未来

TikTokを中心に人気を集め、ストリーミング累計1億回再生突破。今や代表曲「Myra」未聴の若者はいないと思われるほどバズっているシンガーソングライター・Tani Yuuki(タニユウキ)だが、彼がどんな音楽人生を歩んできたか知る者はまだ少ない。

部屋に閉じ篭っていた学生時代に音楽に救われ、RADWINPS・野田洋次郎の才能に影響を受けて曲作りに没頭し、VTuberアーティストとしてのデビューが決まるも頓挫してしまい、そこから自力で「Myra」などの名曲を生み出してブレイクを果たし、スターダムへ駆け上がろうとしている今に至るまでのストーリー。ぜひご覧頂きたい。 

-これまでのキャリアにおいて今最も注目度が高まっていると思うのですが、この状況に対してどんな感慨を持たれていますか?

2020年に発表した「Myra」が今も広まり続けていて、それは凄く有り難いことだし、良いチャンスを頂いたなと思っているんですけど、これからは楽曲だけでなく僕自身を知ってもらうことが重要なのかなと。今はネットだけじゃなく街中でも僕の楽曲がよく流れていて、僕の知らないところで「Tani Yuukiが話題になっていたよ」という話もよく聞くようにはなっているので、この機会を今後の音楽活動の為にもしっかり活かしていきたいなと思っています。

-TikTokというツールによって「Myra」や「W/X/Y」といった楽曲たちが世に広まっていったわけですが、そもそもTikTokを活用しようと思ったきっかけは何だったんでしょう?

音楽仲間がYouTubeで公開していたカバー動画のショートバージョンをTikTokに載せたら、すごくバズったんですよね。で、TikTokでの反響が大きくなるにつれてYouTubeの再生回数もめちゃくちゃ伸びていったんです。一方、僕はYouTubeチャンネルを開設するも全然伸びなくて、まずは母数を増やさなくちゃいけないと常々思っていたから、そのTikTokの可能性に懸けて僕も投稿していくようになったんですけど、そしたら「Myra」がどんどん広まっていって。

-その当時「聴いてさえもらえば」みたいな自信はあったんですか?

根拠のない自信はありました。ただ、バンドやソロでライブをやってたんですけど、来ても知り合いぐらいで、お客さんを呼ぶということが出来ていなかったので、そもそも「知ってもらえてないよね」と思っていたんです。なので、伸びるかどうか分からないけど、まずは僕の曲を聴いてもらわなきゃいけないと。そこでTikTokというツールでチャンスを得ることができて、多くの人に聴いてもらえる結果も伴ったことは嬉しかったですね。

-そこに至るまでのルーツも知りたいのですが、音楽の道を歩んでいくことになったきっかけは何だったんでしょう?

音楽好きの家庭で育って、父親は海外のハードロックが好きで、母親は王道のJ-POPが好きだったから、家や車の中でいろんな音楽が流れていたんですよね。あと、ふたりとも若い頃から楽器をやっていて、父親はバンドでエレキギターを弾いていたんです。ジェフ・ベックモデルのストラトを持っていて、壊れていたから僕が修理に出したらネックを取られてヘッドだけ返ってきて「これ、ベックモデルなんだけど……」とめちゃくちゃガッカリさせちゃったこともあるんですけど(笑)、それぐらいギターが好きで。で、母親は小さい頃からピアノをやっていたから、家にもピアノがあって。その流れで妹もピアノを習っていました。

-音楽一家だったんですね。

まだ母親のおなかにいる頃から音楽はずっと聴いていたと思うんですけど、自ら音楽を奏でるようになったのは、中学2年生のときにおじいちゃんがアコースティックギターをくれてから。当時の僕は病気で学校に行けなくなっちゃっていて、そのせいで家族に対してもコミュニケーションがとれなくなってしまって。だから自分の中にどんどん閉じ篭っていったんですけど、そんなときにおじいちゃんがホイってアコギを渡してくれたんです。弾き方が分からないなりにイジるところから始まって、YouTubeで勉強しながらカバーをやるようになって、そうなると必然的に歌うようにもなるじゃないですか。そうしたら歌詞が自分の心境と重なって、親との間のわだかまりみたいな想いを自分の部屋で大声で歌うことで間接的に伝えたりして(笑)。

-音楽によって自分の気持ちを表に出せるようになったと。

音楽に救われました。高校生になってもギターを続けていて、進路を考えたときに「勉強は出来ないから音楽しかない。自分も誰かの想いを代弁できるような曲が作れるようになりたい。シンガーソングライターになりたい」と思って、親に頼んで専門学校に行かせてもらったんです。それでオリジナル曲も少しずつ作れるようになっていったんですよね。

-その当時はどんな音楽の影響を受けながら作曲していたんですか?

高校生のときに出逢ったRADWINPSの影響が大きかったですね。曲を作ることになって、ラブソングから書こうと思ったときも「野田洋次郎さんだったらどうやって書くだろう?」とイメージしながら作曲して。でも、もちろん全然上手く書けなくて「うわ、悔しい!」と悩んでいるあいだにRADWINPSは新曲をどんどん出していくわけですよ。それに「そういう表現もあるのか」と驚かされつつ、自分にはそれが出来ないからムシャクシャしたりして(笑)。

-野田洋次郎に追いつけない自分に腹を立てていたと。

自分が何者でもないくせにそれで落ち込んだりもしたんですけど、シンガーソングライターをやっている同級生から「自分は自分でいい」といったことを気付かせてもらって。僕は僕なりに自分の性格に合った楽曲を作っていこうと思えるようになったんですよね。

-模倣から始まったけど、自分のオリジナリティを重要視するようになっていったわけですね。

そうですね。あたりまえなんですけど、「俺、RADWINPSじゃないもんな」と思って。あと、専門学校でスリーピースバンドを組んだことも大きくて。そのバンドのベーシストがめちゃくちゃ音楽理論的な話をしてくれたんですけど、僕は何を言っているのか全然分からなくて。それを理解したくてピアノを始めたんですよね。おかげでギターだけじゃなくピアノでも曲作りができるようになって、専門学校を卒業するときにパソコンを買って自分でアレンジもするようになっていくんです。それまでアレンジは誰かに頼んだりしていたんですけど、待ち時間がすごく長かったりして。だから自分で出来るようになろうと思って、パソコンでDTMを始めたんですよね。

-ひとつひとつ段階を踏んで、音楽家としての基盤を作っていったんですね。そこから「Myra」の大ヒットに至るまでどんなストーリーを歩んでいったんでしょう?

当時はTikTokもなかったので、自分の楽曲を発信するのに音楽専用のSNSなどを使っていたんですけど、それで収益が得られるような仕組みではなかったんですよね。ライブをやりながらオーディションを受けまくっては落ちまくっていたんですけど、専門学校を卒業する直前に受けたオーディションに受かったんですよ。それでオリジナル曲も作って、ミュージックビデオも作って「この日にリリースします!」というところまで決まったんです。でも、その直前に呼び出されて「ごめん。上の事情でナシになりました」と。すべての制作も終えて、あとはデビューするだけだったから「え、あんなに凄いものを作ったのにナシになったんですか?」となって。その時点で専門学校は卒業していて、社会に出た一発目がそれで。ダメージはデカかったですね。

-とんでもない洗礼ですね。

いきなり放り出されてしまったので、心の底から「勘弁してくれよ」と思いました。音楽以外の勉強はしていないから会社員にはなれないし……でも「楽曲さえ作れれば何とかなるかもしれない」と思って、それでパソコンを買って、自分でアレンジまで仕上げられる状態にしたんですよ。その経験がなければ、今でもアレンジは誰かにお願いしていただろうし、今の自分の音楽は生まれていなかったと思います。何なら顔も表に出していなかったかもしれないので。そのときはVTuberアーティストとしてデビューする予定だったんです。

-全く違う音楽人生を歩んでいたかもしれないんですね。

そのifストーリーも見てみたかったですけど(笑)。自分はシンガーソングライターになりたくて音楽を始めたので、それは本来やりたいこととは離れていたんですよね。そういう意味では、VTuberアーティストとしてデビューできていたとしても、限界はあったと思います。でも、そこで出逢ったスタッフの人が今の自分をマネージメントしてくれている会社の社長なんですよ!

-なるほど。そのときの縁があってこその今。

あと、その当時、ミュージックビデオを撮ってくれたカメラマンさんがTani Yuukiとして一発目のミュージックビデオを作ってくれました。そのようにひとつずつ回収していく流れが「Myra」以降の1年間ぐらいであったんです。

-かつて解散してしまったクルーが再集結していくストーリーがあったんですね。まるで『ONE PIECE』じゃないですか。

今、ジャケ写やアートワークを手掛けてくれている人もその当時からの付き合いだし、面白いですよね。

-ちなみに、最初のデビューが頓挫してしまってから、Tani Yuukiとしての1stシングル曲「Myra」の大ヒットまでは、自身の体感としては長い道程でしたか?

想像していたより早かったです。見つけてもらえないことがあるのも知っていますし、そういう意味では、僕は本当にツイていたと思っていて。もし「Myra」がバズらなかったとしても、楽曲の配信は続けていく予定だったんです。それまで弾き語りでオリジナル曲を上げていたんですけど、ちゃんとアレンジして整えて出したら反応が違うんじゃないかと思って、それをTikTokに定期的に投稿していこうと。それの第一弾が「Myra」だったので、いきなりここまで伸びるとは思っていなかったんです。

-「Myra」がそこまでバズった要因って何だと思います?

よく聞かれるんですけど、ぶっちゃけ分からないんですよ(笑)。皆さんが考察してくれている通り、タイトルにインパクトがあったんじゃないかとか、僕の今の基本スタイルでもある語尾を揃えているところが心地良かったんじゃないかとか、リズムやコードに中毒性があるんじゃないかとか、僕もそれぐらいしか分からなくて。でも、その中のどれかの理由でインフルエンサーの方が動画に使ってくれた。いろんなアーティストの方がカバーしてくれたのも大きかったと思いますし。

-錚々たる先輩アーティストたちにカバーされていますよね。あの流れに対してはどんな気持ちになりました?

褒められ慣れていないのと似ているところがあって、やたら「ありがとうございます!」みたいな反応をしても媚びを売ってるみたいになるし、どう反応していいのか分からなかったんですよ(笑)。でも、EXILEのNAOTOさんが「Myra」で踊られていたり、僕が学生時代にテレビで観ていたヒーローみたいな方々の動画に自分の曲が使われているのは嬉しかったですね。地元の友達に自慢したくなっちゃうぐらいの衝撃はありました。

-その状況に辿り着くまで紆余曲折あったわけですから、なおさら嬉しいと感じますよね。その甲斐あって「Myra」以降の楽曲も再生回数を伸ばし続け、それらが収録された1stアルバム『Memories』(※絶賛配信中/2022年4月6日よりタワーレコードでCD販売開始)も注目を集めています。

「Myra」がバズった当初は「他の曲も聴いてもらえるんじゃないか」という期待もあったのですがなかなかそうもいかず。「W/X/Y」がリリースから数ヵ月後経ってから伸びてきて、それに合わせて「愛言葉」もたくさん聴いてもらえています。今度こそTani Yuukiとして注目してもらえている気がして嬉しいですし、進歩できている感覚がありますね。

-今現在、Tani Yuukiはどんなアーティスト/音楽家になっているなと思いますか?

今も発展途上ではありますが、曲が持つ雰囲気の振り幅が広くなったと思っています。YouTubeに公開している動画の最後に必ずカメレオンのレーベルロゴを入れているんですけど、多様に擬態できる変幻自在なところを大事にしたいんですよね。なので、これからも新しい音楽にどんどん挑戦していきたいし、いくつになっても進化し続けるアーティストになりたいと思っています。

-「え、この曲もTani Yuukiなんだ?」みたいな驚きを与え続けることができたら面白いですよね。ちなみに、今後の音楽活動における夢や目標ってあったりしますか?

ドームでたくさんの人を集めてライブすることですね。そこを見据えてステップアップしていきたくて、Zeppツアーが出来るようになりたいです。それが実現できたらさらに大きい会場へ進んでいって、ステージの規模を大きくしていけたらなって。

-いわゆるスターダムを目指していくと。SNS発アーティストでその扉をぶち開けられている人はまだ居ないので、期待しています。では、最後に、そんなTani Yuukiの音楽とストーリーに注目してほしい皆さんへメッセージをお願いします。

初めましての人は、きっと僕のアルバムが出ていることもこのインタビュー記事で知ったと思うんですけど、「Myra」や「W/X/Y」を含む僕のこれまでの音楽活動をまとめた、現時点でのTani Yuukiのすべてが分かる作品になっているので、ぜひ聴いてほしいです。そして、ライブを観に来てもらえたら嬉しいですね。

Interviewer:平賀哲雄

Photo:Jumpei Yamada

Hair Make:中井正人(DEUCE)

<リリース情報>

Tani Yuuki

1stアルバム『Memories』

=収録曲=

1決別の唄

2.W/X/Y

3.おかえり

4.Myra

5.非lie心

6.Unreachable love song

7.Night Butterfly

8.油性マジック

9.百鬼夜行

10.曖昧ミーマイン

11.愛言葉

12.記憶

13.We are free

14.Life is beautiful

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<ライブ情報>

「Tani Yuuki PresentsLIVE LOTUS」

2022年4月23日(土)渋谷 Spotify O-WEST

時間:OPEN 17:00 / START 18:00

出演者:映秀。、おいしくるメロンパン

2022年5月20日(金)渋谷 Spotify O-WEST

時間:OPEN 17:00 / START 18:00

出演者:Anly、meiyo

チケット販売中

eplus.jp/live-lotus/

「Tani Yuuki Acoustic Live Tour” reachable love song”」

2022年6月5日(日)福岡 ライブハウス秘密

2022年7月10日(日)仙台 Retro Back Stage

2022年8月11日(祝木)大阪 BERONICA

2022年8月12日(金)名古屋 BL cafe

チケットオフィシャル抽選先行受付中

https://eplus.jp/acoustic-live/