自動車の未来を担う学生たちは、いったいどんなクルマが好きなのだろうか。参考にするにはちょっと偏り過ぎかもしれないが、日本自動車大学(NATS)の学生たちが作ったカスタムカーを見る機会があったので、製作グループに話を聞いてみた。

  • 日本自動車大学のカスタムカー「NATS TARGA-STANCE」

    「東京オートサロン2022」のNATSブースでギラギラのカスタムカーを発見! 現代の学生たちは、何を思ってこうしたクルマを作ったのだろうか

『ワイスピ』の世界観を表現

6人の学生からなるチームが製作したカスタムカー「NATS TARGA-STANCE」のベースはマツダ「RX-7」(FD3S)。リトラクタブル・ヘッドライトを採用した最後の日本車としても知られる3代目RX-7は、同シリーズの中でも丸みを帯びたデザインが特徴的だ。デザイン性の高さは世界でも評価されており、生産終了から20年がたった今も人気がある。

「NATS TARGA-STANCE」のカスタムイメージは、クルマ好きにはおなじみの映画『ワイルド・スピード』の世界観。NATSのカスタマイズ科では、同様のコンセプトを持つカスタムカーをこれまでも東京オートサロンで発表してきたが、日本ではドミニク・トレット(ワイルド・スピードシリーズの主人公)が操る車両のバイナル(カッティングシートなどを使ったクルマの装飾)を貼ったクルマをあまり見かけないことから、今回の「NATS TARGA-STANCE」を考案したという。

  • 日本自動車大学のカスタムカー「NATS TARGA-STANCE」

    サイドボディにはアートファクトリーグラフィックス製のバイナルが

現状でも「当初のイメージ以上の出来栄え」というが、そこに至るまでには自動車大学の学生ならではの創意工夫があった。例えばリアウイングだ。もともとはトヨタ「80スープラ」用のパーツだが、学生たちはインターネットオークションで安く購入し、センターでカットするなど大胆なリメイクを行った。

  • 日本自動車大学のカスタムカー「NATS TARGA-STANCE」

    「80スープラ」のリアウイングを大胆にリメイク。ありもののパーツを「RX-7」用に調整した単純なカスタムではない

最もこだわったシャコタンカスタムは、「着地」を目指して学生たちがリップスポイラーなどを自作した努力の結晶。左右の形や長さを合わせるのに苦労したそうだが、頑張った分だけ気に入っているポイントでもあるという。

  • 日本自動車大学のカスタムカー「NATS TARGA-STANCE」

    車高を極限まで下げたシャコタンカスタム。スレスレどころか、ほとんど地面に接触してしまっている

ちなみに、車高はエアサスペンションで上下させられる仕組みで、停車中であればセンターコンソールにあるリモコンで調整できる。走る際には上げて、駐車時には下げておくという実用性と趣味性を両立させる使い方が可能だ。

  • 日本自動車大学のカスタムカー「NATS TARGA-STANCE」

    ルーフにも他車種からパーツを流用し、タルガトップとした

現在はターボキットを組んでいる途中であるためエンジンはかからないが、今後はエンジンセッティングを行い、走行できる状態に仕上げていく予定であるとのこと。というのも、このカリキュラムはカスタマイズ車両を作って車検を取得し、その車両でテストランキャラバンを兼ねた卒業旅行に行くまでがセットなのだとか。

今後、運が良ければ公道を走行する「NATS TARGA-STANCE」の姿を見られるかもしれない。

  • 日本自動車大学のカスタムカー「NATS TARGA-STANCE」
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