橋本環奈&上白石萌音が語る舞台『千と千尋の神隠し』への熱い期待

スタジオジブリの名作アニメ『千と千尋の神隠し』が『レ・ミゼラブル』を手がけた演出家ジョン・ケアードの演出により奇跡の舞台化! 豪華キャストも集結した本作の大きな話題の一つは、主人公の千尋役を橋本環奈さん・上白石萌音さんがダブルキャストで演じることだ。

誰もが知る傑作に挑むことになったお二人に、いよいよ開幕が近づく舞台への意気込みを伺った。

>>>橋本さん&上白石さんのアナザーカット、アニメ『千と千尋の神隠し』場面カットを見る(写真9点)

――舞台が本格的に動き始めたことについて、率直な気持ちをお聞かせ下さい。

橋本 舞台の話を最初に聞いたのが一昨年くらいで、そこから時間も経っているのでポスター撮影の時に「本当にやるんだ」という実感が湧いてきました。製作発表も経てもう後戻りできないという気持ちです。私にとって初めての舞台なので、どんなものになるのか全然想像が出来ないんですが、不安とか緊張とかはなく「どういうものなんだろう」というワクワク感があります。

上白石 製作発表の際に『千と千尋』の音楽が大音量でかかっていて、ずっと鳥肌が立っていました。オケのアレンジをするブラッド・ハークは超天才な方なので、帝劇での久石(譲)さんとブラッドのタッグがますます楽しみになりました。

キャストも様々なジャンルの一流の方々が集められていると思っていて、本当に皆さん明るくて楽しい方が多くて、素敵なカンパニーになるんじゃないかと凄くワクワクしました。

――原作アニメを観ての千尋の印象や魅力、またご自身で演じたいポイントは?

橋本 映画を改めて観させていただいたんですが、今自分が22歳なんですけれど、千尋は10歳なんですね。大人過ぎてもいけないし、かといって子供として演じるのも違うと思うので、そこのバランスは考えたいなと思っています。

千尋がどんどん成長していく姿は、観ていて応援したくなるじゃないですか、だからこそ皆さんが自分と一緒に世界に飛び込む気持ちになってもらえるように、客観的な目線を持って千尋として生きたい気持ちがありますね。

まずは何事も新鮮に感じることが大事だと思います。私自身初舞台ということもあり、千尋が感じる様々な「初めて」に繋がるところもあると思いますし、そこから色々なものを吸収していけたらなと思います。

上白石 私も10歳の少女というところがキーポイントじゃないかと考えています。千尋は本当に勇気がある子ですし、同時にめちゃくちゃ運を持っている子だと思うんですよ。一歩踏み外したら奈落の底に落ちるような階段とかも無事に渡り切るところなんか運動神経が良いし、ふとした時に奇跡みたいな選択が出来る勘の良さを持っているなって。

でも本人にはその自覚がなくて、とにかく一生懸命できることをやることが強い運に繋がっていると思うんです。子供ってそういうことがよくあるじゃないですか。そういう何も考えていないが故の強さを上手く出せたら面白いんじゃないかな、と。いっぱい映画や資料に触れて、いろいろと想像を働かせておきます。

▲一生懸命にハラハラドキドキの状況を乗り切る千尋の姿に上白石さんも注目。 (C)2001 Studio Ghibli・NDDTM

――お二人が10歳だった時はどんな子供でしたか?

橋本 10歳……何していたかな。でも既にお仕事はしていましたね。是枝裕和監督の映画『奇跡』(2011年)のオーディションが10歳くらいでしたかね。

上白石 映画館に観に行った!

橋本 本当ですか? とにかくヤンチャで、すごく生意気だったと思います。昔のメイキングとか見ると目も当てられないというか、割と恥ずかしい(笑)。とても活発な女の子だったって聞いていますね。そこは今も変わらず。アウトドア派ですから。

――インドア派の千尋とはそこが違う?

橋本 あまり似ていないかも。でも、千尋には踏み出す勇気があるじゃないですか、そこは似ているかなと思いますね。

上白石 私は10歳の時にメキシコに住んでいて、今振り返れば人生の転機を迎えていました。そこで楽しい生き方をたくさん学びました。人生の中でも一番気が強くてケンカっ早い、アクティブ期でした。

橋本 ケンカっ早い? そんなイメージないですけれど。

上白石 私は日本人学校に通っていましたが、その頃はすごく明るくガッツがあった時期で、自分のことを無敵だと思っていました。そういう意味では千尋に一番近かった頃かもしれません。

すごく正義感が強くて、ちょっとやんちゃな子が静かな子をからかったりしたら、立ち上がって「人の気持ちが分からないの?」と言っちゃう学級委員タイプで、今からしたら考えられない(笑)。

――橋本さんは、なぜこのタイミングでの初舞台を選んだのですか? 

橋本 これは「たまたま」としか言いようがないですね。今までは自分が舞台に立つということが全く想像できなかったんですよ。でも周りの役者さんから「舞台は楽しいからやった方がいいよ~」ってすごく生き生きした、童心に帰ったような無邪気な表情でよく言われていて、実際そういう方たちの舞台を観に行くと「凄い!」と圧倒されていました。だからこそ「やるからには本気でやらないと」と考えていたんです。

今回『千と千尋』のお話をいただいた時、舞台云々を超越して「これはやりたい!」と純粋に思いました。これだけ愛されている不朽の名作の主役をやらせていただけることは凄く光栄なことですから。

全く想像がつかないし、不安もあったんですけれど、この挑戦は自分にとって大きな節目になるんじゃないかと感じているので、今のタイミングで良かったんじゃないかなと思っています。

上白石 (橋本さんに)舞台、本当に楽しいですよ! 考える時間や悩む時間がいっぱいあるのが好きなんです。一行のセリフについて何日も悩めるってこんなに贅沢なことはないし、そうやって同じ脚本に日々向き合うことで自分の足りない部分とか、もっとこうしたいという欲が出てくるんですね。

映像の仕事は撮影が細切れな上にどうしても追われることが多くて、セリフを覚えては出しの繰り返しになってしまう。その瞬発力の楽しさもあるんですけれど、本当に根を詰めて考えられる、ちゃんと苦しめる舞台こそが私にとって初心に帰れる、地に足がついた場所なんです。

長期間苦楽を共にしたカンパニーの皆さんとは本当に家族みたいに仲良くなるし、毎回物語が最初から最後まで描かれる。しかも同じ脚本で同じことやっているのに、1回も同じ舞台にならないのが生の楽しさだと思っていて。本当に「生きている」「お芝居している」という感覚を毎日痺れるくらい味わえるのがたまらなく好きです。

同じくらい怖さや不安、緊張もあって、たまにふと我に返った時に「何でこんなことしているんだろう」と思うこともあるんですけれど、やっぱり私は小さい時から、そしてこれからも一番舞台が好きなんだろうなって思います。

――この舞台で自分にどんな課題を与えたい、もしくは期待したいことはありますか。

橋本 ある意味で自分の新しい面を見つけられるのかな、という気はしています。どういう世界なんでしょう、でもワクワクする気持ちはあります。一つの役をこんなに長く、じっくりと考えながら演じることがまず初めての経験なので、映像の中では描かれない千尋の人生を深くとらえていけたらなと思います。

周りの豪華なキャストの皆さんには胸を借りたいですし、ジョン・ケアードの演出がとにかく楽しみで。『レ・ミゼラブル』は勿論、先日の『ナイツ・テイル―騎士物語―』も本当に凄い。「こんな動きや作りなんだ」と驚かされるビックリ箱のような衝撃と、盛り上がって感動するさせたかと思えば癒やされる場面の強弱もあって、2~3時間でこれだけの感情を味わえるってめちゃくちゃ夢が詰まっていて素敵ですよね。

あれだけのものを作られる方が『千と千尋』という異世界をどう描くのか、またどんな演出を付けるのか――そんな舞台で自分が作り手側に回れたことが凄く光栄です。

上白石 ジョンがよく使う、凄く好きな言葉に「このシーンをリハーサルを重ねたものとして見せたくない」というのがあるんです。舞台で描いているものを、今初めて起きているように見せたいって。それってお芝居の全てのような気がしているんです。

特に今回の千尋は、初めての経験を積み重ねてちょっとずつ成長していく、物語を動かすというより動かされるキャラクターだと思うので、どれだけその場の空気や起こっていることに素直に反応できるかが凄く大切になってくる気がしています。

毎回初めての感動を驚きと新鮮さをもって受け止められるよう、柔らかく存在できたらなと思います。

橋本環奈/ヘアメイク:森本淳子(GON.) スタイリスト:鈴江英夫(株式会社H)

上白石萌音/ヘアメイク:冨永朋子(allure) スタイリスト:嶋岡隆、北村梓(Office Shimarl)