庵野秀明・樋口真嗣が驚嘆!日本特撮美術の父・井上泰幸の個展が開催

東宝特撮の黄金時代を牽引し、庵野秀明、樋口真嗣をはじめとする数多くの映画人に影響を与えた特撮美術監督・井上泰幸。生誕100周年を記念して、その偉大な業績を振り返る個展が3月19日(土)から6月19日(日)まで、東京都現代美術館にて開催される。

井上泰幸は『ゴジラ』(1954)から本格的に美術スタッフとしてのキャリアをスタート、特撮の神様・円谷英二の下でリアルなミニチュアセットを手がけ、日本の特撮美術を躍進させる偉業を数多く成し遂げた。

『空の大怪獣ラドン』(1956)の福岡・岩田屋デパートビルのミニチュア&本物の溶鉄を使ったラストの火山、『モスラ』(1961)の渋谷のセットや決壊する小河内ダム、シーンに合わせて3か所に組んだという『キングコング対ゴジラ』(1962)の熱海城など、実景を驚きのレベルで再現するこだわりは、特撮ファンに大きなインパクトを与えた。

▲福岡・岩田屋周辺ミニチュアセットのメイキング写真/『空の大怪獣ラドン』(1956)より。 (C)TOHO CO., LTD.

 

加えて『緯度0大作戦』のアルファ号、『日本沈没』(1973)のわだつみなどのメカニックデザインや、『ゴジラ対ヘドラ』(1971)のヘドラや『ウルトラQ』(1966)のゴメスなどの怪獣デザインも担当。東宝スタジオにおいて2004年まで撮影に使用され続けた特撮用大プールの設計まで手がけるなど、その仕事は実に多岐に渡っている。

▲ヘドラ デザイン画/『ゴジラ対ヘドラ』(1971)より (C)TOHO CO., LTD.

本展では、生前井上が残したスケッチ、デザイン画、絵コンテをはじめ、記録写真や資料、撮影で使用されたミニチュアやプロップ、当時を再現したミニチュアセットを展示。”空気の層まで取り込む” と言われた、綿密な調査に基づく仕事ぶりに肉薄する。

さらに今回は、井上の愛弟子の一人であった三池敏夫が『空の大怪獣ラドン』で知られる西鉄福岡駅周辺のミニチュアセットを美術館のアトリウム空間に再現することとなった。セットの背景画は島倉二千六、ミニチュア制作を老舗マーブリングファインアーツが手がけ、井上の精緻な仕事が現役の職人たちによって令和の世に甦る。

日本特撮映像史を支えたキーパーソンの足跡を俯瞰できる貴重な機会となるだけに、映画・特撮ファンならずとも大いに注目すべき展示となりそうだ。

>>>井上泰幸が手がけたスケッチ、『ゴジラ』シリーズのイメージボードを見る(写真11点)