人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol.39は、ジャニーズWEST・小瀧望さんが主演を務めるオシドラサタデー『鹿楓堂よついろ日和』(テレビ朝日系、毎週土曜23:30〜)に、永江ときたか役で出演している葉山奨之さんが登場します。

2011年デビューと中学生の頃から俳優として活動している現在26歳の葉山さんは、これまで、『連続テレビ小説 まれ』『僕たちがやりました』、映画『太陽の子』など、数多くの話題作に出演。主演からバイプレイヤーまでをこなす注目の若手俳優です。

『鹿楓堂〜』は、アニメ化もされて大ヒットした同名漫画を実写化。古民家風の和風喫茶店を舞台に、料理担当のときたか(葉山)、お茶担当のスイ(小瀧)、スイーツ担当の椿(なにわ男子・大西流星)、珈琲担当のぐれ(佐伯大地)が、悩みや傷を負ってやってくる人々をお出迎え。彼らなりのやり方で、お客さんの心とお腹を満たしていきます。

あらすじを聞くだけで土曜の夜が楽しみになる、魅惑の着物男子と極上グルメが登場する“癒し系飯テロドラマ”で、“中身がおじいいちゃん”と言われるときたかは、どこまでもおっとり。葉山さんは、そんな彼の役割をどう捉えているのでしょうか。本作の魅力はもちろん、葉山さん自身のお話を交えつつお伺いしました。

――“中身がおじいちゃん”で趣味の多いときたかですが、葉山さんご自身がそれらの趣味に影響を受けることはありますか?

僕自身、料理も趣味の一部ではあるのですが、特に(ときたかが作る)陶芸作品は気になりますね。高そうな器が小道具としてあるので、そういうのを見ていると興味が湧きます。

今回、撮影で料理を作る中で、器にこだわるとよりいっそう料理が引き立つなと思ったんです。食器の形や柄などで印象が変わるので、今後はそこにもこだわって、長く使えるいい食器を探したいなと思いました。

――ときたかは、おっとりとしていて静かな役どころです。辛い過去もあるようですが、どこまでも柔らかくいられる理由はなんだと思いますか?

鹿楓堂のメンバーに会えたことが一番の理由なのではないかと思います。学生時代、スイと出会ったことが自分の人生の中で救われたポイント。そこからスイが店を持って、椿とぐれと出会って……。ときたかとしては、“こんな自分でもちゃんと受け入れてくれるんだ”と感じたと思うんです。

今まで出会ったことのない彼らと一緒に生活をして店をやるのは刺激的だし、“自分は生きていていいんだ”と常に感じられる。みんながいい距離感でいてくれるからこそ、自分らしくいられるんだろうなと思います。

――鹿楓堂の空気感を作り出すにあたって、ときたかの人柄はすごく重要だと感じました。あの4人の中で、ときたかはどんな役割を担っていると思いますか?

温かくて何もかも受け入れてくれるので、4人の中でもお母さんのような存在。一番達観しているキャラクターだと思っています。感情が揺れ動くこともないし、小さなことでもビクともしない。たまにスイも暴走するので、そこも「これこれ!」って注意して引き戻したり……。ほかの3人よりも全体を見ていないとできない役回りなので、カメラが回っていないところでもアンテナを張るようにしています。

――演じている時はもちろん、撮影チームの中でも全体を見る立場にいるんですね。

そうですね。キャスト・スタッフ全体的にコミュニケーションをとるように心がけています。

――いざ撮影に入ってみて、鹿楓堂メンバーの印象に違いはありましたか。まずは、小瀧さんについて教えてください。

ありがたいことにのんちゃん(小瀧さん)とは、共通の友人がいて、クランクイン前に会うことができたんです。のんちゃんは、少年っぽさがありつつも、年上なのかなと思っていたら、まさかの年下で……。初対面のとき、のんちゃんに「35歳くらいですか?」って聞いたら「いやいや、ちゃうちゃう。10(歳)若い!」って(笑)。

現場に入るとよりいっそう座長感が強いというか。リーダーという言葉がすごく似合う人だなと感じました。僕があるシーンで悩んでいると、いいパスを投げてくれたり、(大西)流星くんとの関係を見ていると、お兄ちゃんっぽくて引っ張ったりしているので、さすが座長だなと思います。

――大西さんはいかがですか?

流星くんは20歳になったばかりなんですけど、“自分が同じ歳のとき、ここまで大人たちと対等に会話できていたかな?”と思うくらい、人間が完成されているんですよ。流星くんも20歳に見えないので、それこそ精神年齢は35歳くらいだと思います。

――(笑)。

いろいろな要素を持っている人なので、もはや年下ではない感じで接しています。流星くんを見ていると、彼の中で、いろいろと考えているんだろうなと感じるところもあって、本当に自分が情けなくなるというか……(笑)。流星くんに負けないように、僕も若さをキープしたいなって思います。

――少し年上の佐伯さんの印象はいかがですか?

大地くんは落ち着いていますし、ちゃんと地に足をつけているというか。本人も遊びたい瞬間があると思うんですけど、最年長ということもあってドシッとかまえてくれている印象があります。だからこそ、安心して飛び込ませて頂いてます。

でもいろいろな面でお兄さんとしていてくれるんですけど、そんな大地くんが一番緊張しいで、本番に弱い部分もあって(笑)。そこがカワイイし、愛おしいところです。撮影を通じて、よりいっそう、大地くんを好きになりました。

――葉山さんのパーソナルな部分もお聞きしたいです。いまの自分を形成したと思うテレビ番組を教えてください。

コロナで自粛期間になったとき、エンターテインメントをはじめ、ほとんどの仕事が遮断されて。でもだからこそ、この時期を大事にしなきゃなと思ったんですよ。

自粛が明けたときすぐに再出発できるよう準備をする中で、ドラマ『北の国から』のDVD BOXを買って、最後まで見たんですけど、衝撃を受けて……。いま自分がやっている芝居が本当にこれでいいのか考えさせられました。

――役者というのを改めて考えるきっかけになったんですね。

改めて(自分が活動する)数十年も前に“こんなにすごい方々がドラマ界を支えていたんだ”と思いました。どこまでが台詞で、どこまでがアドリブなのか分からなかったですし、お芝居も圧巻で、とにかく衝撃でしたね。

――言わずとしれた名作ですが、どのあたりが胸に刺さったのでしょうか。

見ている途中に気になったので、(『北の国から』の脚本家)倉本聰さんが書かれている分厚い台本集を買って、台詞を照らし合わせながらお芝居を見たんですけど、(役者の方たちが)台本に忠実にやっていたことが分かって……。僕もやっていて分かるのですが、一言一句間違えずに演じるのってものすごく大変なことなんです。

それを当時小学生の吉岡(秀隆)さんたちが演じているのを見ると、すごいなと思いましたし、越えられない壁ってあるんだと感じました。よりいっそう自分も頑張ろうと思えたので、自粛期間中にいい発見ができたと思います。

――役者をするにあたってターニングポイントになった出来事を教えてください。

ウチの事務所では、社長が(所属俳優の)芝居を生で見るレッスンがあり、僕が16歳の時、ちょうどその機会があったんです。

まだ入って2年目で、その空気だけでとても緊張してしまいました。僕の番になり、台詞を一言話した瞬間、「カット。全然違う。普段何を学んでいるんだ?」と厳しい言葉。その一言だけを4時間ほど繰り返しました。最後に「台詞一言だけで色が見えるようになってきた。モノトーンで喋るのではなく、一言だけでも魅力的な芝居ができる俳優になれ」と言われときは、我慢できずそのまま号泣しました。生半可な気持ちでしてはならない。俳優としての志をこの時叩き込んで頂きました。

――俳優として一皮剥けた瞬間だったんですね。

そうですね。僕が20歳くらいのとき、『連続テレビ小説 まれ』に出演したあと、『スタジオパークからこんにちは』に出させてもらったとき、自分のことを1時間くらい掘り下げてくださったんですが、社長がその番組をたまたま見ていたらしくて。後日、社長から「奨之がここまで成長しているとは思わなかった」と言われたときは、また泣きました。

僕は、社長に言われて変われたんです。あのとき社長に指導を受けていなかったら、今の自分はいなかった。これからも俳優を続けるにあたって、芝居力を磨いて「自分の代表作です」と言えるものを社長にプレゼントしたいなと思っています。

(取材・文・写真:浜瀬将樹)

オシドラサタデー『鹿楓堂よついろ日和』

毎週土曜23:30~24:00 テレビ朝日系

小瀧望 葉山奨之 大西流星 佐伯大地・白洲迅・藤井流星 ほか