大一番の戦型は相掛かりに

渡辺明名人への挑戦権を争う第80期順位戦、(主催、朝日新聞社・毎日新聞社)は、1月13日にB級1組の11回戦が一斉に行われます。対戦カードはそれぞれ藤井聡太竜王(8勝1敗)-千田翔太七段(7勝3敗)戦、佐々木勇気七段(7勝2敗)-横山泰明七段(5勝5敗)戦、稲葉陽八段(6勝3敗)-久保利明九段(3勝6敗)戦、三浦弘行九段(5勝4敗)-近藤誠也七段(3勝6敗)戦、郷田真隆九段(5勝4敗)-木村一基九段(2勝7敗)戦、松尾歩八段(2勝7敗)-阿久津主税八段(2勝7敗)戦となっています。

過去の対戦成績はそれぞれ、藤井―千田戦が藤井竜王の4勝1敗、佐々木―横山戦が3勝3敗、稲葉―久保戦が稲葉八段の5勝4敗、三浦―近藤戦が1勝1敗、郷田―木村戦が郷田九段の16勝11敗、松尾―阿久津戦が阿久津八段の18勝11敗となっています。

■藤井竜王は本日の結果次第でA級昇級決定の可能性も

藤井―千田戦は昇級戦線における大一番です。ここまでただ一人1敗の藤井竜王は、本局に勝って、かつ佐々木七段と稲葉八段のいずれかが敗れると、2局を残してA級昇級が決まります。対する千田七段は現在三番手ですが、最終戦に藤井―佐々木戦が組まれているため、本局とオーラスの木村九段戦に勝てば、文句なしでA級昇級となります。

藤井竜王は10日に王将戦第1局を戦ったばかり。中2日での対局となりますが、タイトル戦から中2日での順位戦は、昨年の11月に経験済みです。この時は両対局とも勝っていますが、その再現がなるでしょうか。

対する千田七段は6日に2022年の初対局を白星で飾っています。一昨年の朝日杯準決勝では藤井竜王を破り、貴重な星を生かして自身の初優勝に結びつけました。今回も強敵相手の勝利を昇級という果実につなげたいところです。

本局は藤井竜王の先手番です。過去の両者の対戦で藤井先手番の時は角換わりか矢倉のいずれかでしたが、本局は相掛かりの出だしとなりました。藤井竜王が早めに角道を止める指し方を選び、じっくりした戦いを志向しているようです。

大一番が決着するのは、おそらく日が変わるころでしょう。その時に笑顔を見せているのはどちらでしょうか。

相崎修司(将棋情報局)

B級1組の首位を走る藤井竜王(写真は第71期ALSOK杯王将戦挑戦者決定リーグのもの)(提供:日本将棋連盟)
B級1組の首位を走る藤井竜王(写真は第71期ALSOK杯王将戦挑戦者決定リーグのもの)(提供:日本将棋連盟)