Amazon Web Servicesは11月30日(米国時間)、年次グローバルカンファレンス「AWS re:Invent」において、自動車メーカーの円滑な車両データ収集とニアリアルタイムなクラウド転送を高いコスト効率で可能にする新サービス「AWS IoT FleetWise」を発表した。

同サービスを利用することで、自動車メーカーは車両に蓄積されるさまざまなフォーマットのデータをスムーズに収集可能になる。また、それらのデータを一元管理してデータ形式を標準化することで、クラウドでのデータ分析にも取り組めるとのことだ。

自動車メーカーはAWSのマネジメントコンソール上で、車両タイプごとまたはフリート全体で複数の車種について、車両の属性、センサーおよびメーカー名、車種、搭載オプションを定義してモデル化を行う。車両のモデリング後は同サービスのアプリケーションを車載の通信ハブとなるゲートウェイ端末にインストールすることで、AWSと相互にデータの読み込みやデコード、送信ができるようになる。

また、開発者はインテリジェントフィルタリング機能を利用して、気象条件や位置情報、車両タイプなどのパラメーターに基づいて転送するデータの選別と転送タイミングのルール定義が可能だ。これにより、ネットワークのトラフィックを削減しながらニアリアルタイムに効率的なクラウドへのデータ転送を実現する。

クラウドに転送されたデータはさまざまなアプリケーションで利用でき、個々の車両で発生した不具合のリモート診断や、車両フリートの状態を分析してリコールの可能性や安全性の問題を回避するほか、自動運転や先進運転支援システムといった、分析と機械学習を用いる最先端技術の精度向上にも役立てられるという。

一例として、自動運転システムが路上のサイネージに表示されたテキストを90%未満の確度で識別した場合に、自動車メーカーはインテリジェントフィルタリングを使用して新設の高速道路を走行する車両の車載カメラで撮影したデータを収集するなど、クラウドへ転送されたデータごとに精度レベルのラベル付けをして自動運転システムに組み込まれる機械学習モデルの精度を向上させることも可能となる。

同様に、インテリジェントフィルタリングを活用し、気温が氷点下になると電気自動車のバッテリーからデータを収集して、そのデータの分析結果からクラウド内でシミュレーションを実行し、寒冷状況でのバッテリー性能の向上にもつなげられるという。