老人保健法が改正され、75歳以上の高齢者を対象にした「後期高齢者医療制度」が平成20年度に導入されました。親のためにも、知っておきたい知識をわかりやすく解説します。

◆「後期高齢者医療制度」とは?

「老人保健法」が改正され、75歳以上の高齢者を対象にした「後期高齢者医療制度」が平成20年度に導入されました。「後期高齢者医療制度」とは、昭和58年の「老人保健法」制定以降も高齢者の医療費が増え続けたため、75歳以上患者の一部負担と公費負担を増やし、世代間や保険者間の公平を保つために生まれた健保や国保から独立した制度です。

後期高齢者医療制度の財源は、患者が医療機関等で支払う自己負担分が原則1割、現役世代(国保など若年者の保険料)からの支援金が国保や被用者保険者から約4割、国が約4割、都道府県が約1割、市区町村が約1割を負担して成り立っています。

◇75歳以下でも入れる場合がある!?

後期高齢者医療制度には75歳の誕生日当日に加入します。身体障害者手帳などで3級以上か4級の一部の障害に該当するなら、65歳以上74歳以下でも各医療保険制度(国保、健保、共済等)の後期高齢者医療保険へ申請することができます。

75歳の誕生日より前に障害が理由で加入する方は、申請することで新しい保険証が届きます。

後期高齢者医療被保険者証。令和2年8月からカード型になりました

◆どんな手続きをすると後期高齢者医療制度に入れるの?

75歳の誕生日を迎える本人はこれまで加入していた医療制度(国保、健保、共済等)で自動的に後期高齢者医療制度に加入します。

ただし、健保に加入していた75歳の誕生日を迎える人の配偶者が、後期高齢者医療制度に加入することにより、被扶養者(配偶者)は国保に加入することとなりますので手続きが必要です。

◆後期高齢者医療保険料っていくら?

後期高齢者医療制度は加入者がどのくらい保険料を負担しているか、確認してみましょう。

後期高齢者医療保険料額は、被保険者全員が負担する「均等割」と所得に応じて負担する「所得割」の合計です。

被保険者が負担する保険料は、各都道府県の後期高齢者医療広域連合が、個人の所得に応じて決定します(2年ごとに保険料率が見直しされます)。

令和2~3年度の後期高齢者医療保険の全国平均保険料率は、均等割4万6987円、所得割率9.12%(都道府県ごとに異なり、最高が北海道10.98%、最低が岩手7.36%)です。厚生労働省によれば、令和2~3年度の平均保険料は月額約6397円です。

なお、2年ごとの保険料率の改定にともなって、保険料の支払い額が変わるのは、振込み・口座振替等の人は7月から、年金引き落としの人は10月受け取り分からとなります(お住まいの市区町村によっては時期が異なる場合あり)。

◆医療機関等にかかるときの自己負担は?

医療機関等の窓口での支払いは医療費等の1割または3割です。自己負担の割合は毎年8月1日に判定しています。

令和3年8月からの後期高齢者医療被保険者証であれば、同じ家庭に令和元年度住民税課税所得(令和元年1月から12月までの所得により決定)が145万円以上の人がいる場合は3割負担、家庭内の被保険者全員が住民税額145万円未満なら1割負担になります。

平成29年度住民税課税所得が145万円以上の方でも、世帯収入520万円未満等条件を満たせば、お住まいの市区町村の担当窓口に基準収入額適用申請をし、認定されると申請日の翌月より自己負担の割合が1割に変更となります(毎年、申請が必要です)。

なお「75歳以上であっても課税所得が28万円以上でなおかつ年収200万円以上(単身世帯)。複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上の方に限って、医療費の自己負担を2割とする」という後期高齢者医療制度の改正案が、令和3年の国会で可決しています。

また「一定所得以上の後期高齢者の自己負担が2割になるにあたって、長期頻回受診患者等への配慮措置として、影響が大きい外来患者について、改正案施行後3年間、1カ月分の負担増を、3000 円以内に収まるような措置を行う」としています。

◆後期高齢者医療制度でも、高額療養費制度は使える!

高額療養費とは、1日から月末日までの1カ月ごとの自己負担額が、表にあるような自己負担限度額を超える場合に、超える額を払い戻す制度です。

高額療養費30年8月以降の上限額(75歳以上の人)

事前に申請をしなくても、診療月から数カ月後に申請書を送付する自治体が多数です。お手元に届きましたら、お住まいの区市町村の担当窓口にご提出ください。なお、一度申請すると振込口座が登録され、次回から自動的に振り込まれます。

このように75歳以上の医療保険、後期高齢者医療制度ですが、一部の人にとっては保険料値上がりとなります。ですが医療機関に通う頻度が増える75歳以上の多くの人が1割負担で医療を受けられる大切な制度であるとも言えますね。

民間で終身払いの医療保険を検討するなら、75歳になってからの医療保険料支払いも考慮してから、保険を決めた方がいいでしょう。

文:拝野 洋子(マネーガイド)

文=拝野 洋子(マネーガイド)